研究会レポート」カテゴリーアーカイブ

第31回秋田県スポーツ医学研究会がWEB開催されました(野坂光司)

2月17日 第 31 回秋田県スポーツ医学研究会がWEB開催されました.

シンポジウムは3つの演題をご講演いただきました.「秋田県中学生強化指定選手のメディカルチェック」 を当講座の木島泰明先生 から,「秋田県女性アスリートへのアンケート調査」 を秋田大学産婦人科 小野寺洋平先生 から,「障がい者スポーツを含む市民スポーツを支えるスポーツドクターとしての社会実験」を当講座の 木村竜太先生から報告してもらいました.どの活動も現場に飛び込んで得られた内容で,非常に素晴らしい内容でした.

特別講演1は,広島大学大学院医学科学研究科 人工関節・生体材料学講座 准教授 中佐智幸先生から「足関節のスポーツ障害 ~距骨骨軟骨損傷・慢性足関節不安定症を中心に~」をご講演いただきました.足関節はスポーツ障害を多く認め,特に足関節捻挫の発生率は高く,そのうち20-40%は慢性足関節不安定症になるといわれていること,慢性足関節不安定症では,痛み・不安定性のためスポーツ活動の継続が困難になることもあること,また軟骨・骨軟骨損傷も合併することも多いこと,スポーツ活動の継続あるいは変形性足関節症への進行を防ぐため,これらの疾患を適切に治療することが重要であることをわかりやすく講演いただきました.

特別講演2は, 秋田大学大学院医学系研究科代謝・内分泌内科学講座 教授 脇裕典先生から「肥満症診療の動向と最新の治療戦略」をご講演いただきました.肥満は様々な健康障害の上流に位置しており,肥満と肥満に関連ないし起因する健康障害を合併する場合に肥満症と言い,医学的に減量が勧められること,肥満は,遺伝的要因,環境要因,社会的要因などが合わさって生じること,最近,秋田県内で減量・代謝改善手術が可能になったほか,約30年ぶりの肥満症を適応症とする新たな薬物療法の登場など,治療の選択肢が拡がっていること,また、全身の糖・脂質・エネルギー代謝に重要な役割を果たす脂肪細胞のエピゲノム解析で見出した肥満を制御する転写因子NFIAに関する知見や,運動療法支援のアプリ開発などの試みなどをご講演いただきました.

全国から多くの視聴者に参加していただき,非常に活発な議論が繰り広げられました.ご講演いただきました先生方,関係各位には心より御礼申し上げます.

第44回秋田県リハビリテーション研究会(佐藤光)

第44回秋田県リハビリテーション研究会が秋田大学医学部付属病院で10月21日に開催されました。コロナ規制の緩和により対面での研究会の開催が可能となり、多くの先生方やコメディカルの皆様の参加があり、盛り上がりを見せました。

一般演題は医師や理学療法士・作業療法士など様々な職種から9つの演題がありました.対面の利を活かした活発な討議も行われ、非常に充実した研究会であったと思います。

特別講演は2023年4月に秋田大学大学院理学療法学講座の教授に就任された本郷道生先生から「脊柱変形のリハビリテーション-小児から高齢者まで-」という題でご講演いただきました。小児の特発性側弯症から高齢者のいわゆる腰曲がりまで、保存療法・運動療法・手術等わかりやすく、また自験例と多くのエビデンスを踏まえてお話いただきました。明日からの診療にすぐに使えることも多々あり、非常に勉強になるご講演でした。

最後に、運営・開催に携わった先生方の皆様に深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第12回秋田県股関節研究会(阿部寛道)

2023年10月14日(土)、第12回秋田県股関節研究会が秋田温泉さとみで開催されました。近年はオンラインのみでの開催となっておりましたが、久しぶりの現地(+zoomのハイブリッド)開催となりました。

秋田県股関節研究会会長 木島泰明先生よりご挨拶

まずミニレクチャーとして、市立秋田総合病院の藤井昌先生より「謎の股関節痛に潜む関節外病変の影 -あなたが選ぶシン・おはよう股関節!アンコール:グランプリ作品」と題してご講演いただきました。変形がなくても股関節の痛みを訴える患者さんの場合、何を考える必要があるか、理学所見、画像所見、超音波ガイド下ブロックの効果など効果を総合的に判断することが重要であることがよくわかり、日頃の診療で使える知識を得ることができました。

藤井昌先生

特別講演Iでは「股関節研究会でしか聞けない股関節の診方の話」というテーマのもと、前半は秋田労災病院 三浦隆徳先生より、「“大腿神経ブロック”だけではないブロック注射と効果の比較」と題してご講演いただきました。股関節手術の際の神経ブロックは、大腿神経ブロックだけではなく、最近ではPENGブロックという方法が用いられており、三浦先生が共著者として参加した、「ネットワークメタアナリシス」という手法で用いたPENGブロックの有用性の関する研究を紹介いただき、他のブロックと比べ鎮痛効果や患者満足度の優位性を示すことを提示いただきました。
後半は秋田県立医療療育センター 河野哲也先生より、「こどもの股関節疾患の診方 -他科の先生や保護者の皆様へ上手にお伝えするために-」と題してご講演いただきました。4月から療育センターに赴任された河野先生より、開排制限や歩容異常など、小児の患者さんの鑑別、診察方法を大変わかりやすく教えていただき、非常に勉強になりました。特にご家族への説明の仕方については、日常診療ですぐに実践できる、とても参考になる内容でした。

特別講演Ⅱでは静岡赤十字病院四肢関節再建センター センター長 西脇 徹先生をお招きし、「骨盤骨切り術 -股関節外科医の英知の結晶/股関節の疼痛」と題して大変貴重なご講演を賜りました。疼痛については、報酬系の効果や侵害受容刺激のメカニズムなど、アニメーションを用いながらわかりやすくご教示いただきました。また、骨盤骨切り術という大変難しい分野の海外・日本における手術方法の歴史の変遷や、実際に西脇先生がSPOを行った症例の中で、数ヶ月のうちに競技復帰している例についても提示いただき、大変感銘を受けました。“より低侵襲に、より安全に”という目的で、数十年の間に手術方法が改良されていった歴史を考えると、今後もますます発展していく分野なのだろうと思いました。

今年の秋田県股関節研究会も大変勉強になる素晴らしい会でした。
本研究会会長である木島泰明先生の開会の挨拶内で、森下耀先生、久田朱里先生、私がAkita Hip Research Groupへ加入したことについて紹介いただきました。今後、秋田県の股関節分野の発展に少しでも力になれればと思います。今後ともご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

第78回秋田県整形外科医会(河原木 剛)

令和5年10月7日(土)、第78回秋田県整形外科医会が秋田県総合保健センターで開催されました。今回も現地とウェブのハイブリッド開催で、専門医取得前の医師によるResident Award Sessionと、専門医取得後の若手医師によるYoung Specialist Award Sessionで多くの演題発表がありました。最優秀演題賞は、それぞれ中通総合病院の岩渕圭一郎先生、秋田厚生医療センターの原田俊太郎先生が受賞されました。大変おめでとうございます。岩渕先生からは、手の舟状骨骨折は、骨折型に応じて適切な手術アプローチを選択することで、とても良好な治療成績が得られることを報告していただきました。大変素晴らしい術後成績で感銘を受けました。原田先生からは、従来であれば切断されていた足部の重度骨軟部感染に対し、デブリードマンとCLAPを併用することで下肢を温存できた症例について発表していただきました。CLAPの有用性のほか、CLAP使用における留意点や、デブリードマンの重要性についても改めてお話いただきました。また、他の演題も大変勉強になるものばかりでした。

特別講演1は、昭和大学横浜市北部病院 副院長/整形外科教授の川崎恵吉先生より、高齢者に多い上肢骨折の治療戦略や手術治療のピットフォールを、骨粗鬆症治療に絡めて教えていただきました。自分自身今まで触れる機会がなかった人工肘関節についてもご講演いただき、超高齢の骨接合が困難な上腕骨通顆骨折に対しては、人工肘関節置換術が有用な治療選択肢となりうることを教えていただきました。

特別講演2では、東京医科歯科大学 運動器外科学教授の古賀英之先生より、半月板損傷の外科的治療の発展についてご講演いただきました。半月板損傷の基本的な事項から、治療の変遷、最新の治療戦略について、理論を交えながら詳細に教えていただきました。まるで教科書のような、あるいはそれ以上にまとまったプレゼンテーションで、手術動画も大変分かりやすく、目から鱗が落ちるような講演でした。

総じて、今回もとても勉強になる会でした。準備、企画、運営をしていただいた木島泰明先生をはじめ、会の運営に携わっていただいたスタッフの皆様、ありがとうございました。

第12回秋田・札幌整形外科合同セミナー(森下耀)

令和5年9月9日にホテルメトロポリタンにて第12回秋田・札幌整形外科合同セミナーが開催されました。コロナ禍によるオンラインのみでの開催が終了し、今回は現地参加も可能なハイブリット開催となりました。今回は私たちが札幌医科大学の先生たちをお招きして、秋田で開催しました。札幌から大勢の先生方にご参加いただき、厚く御礼申し上げます。

一般演題はまず札幌医科大学側から、札幌医科大学の小助川維摩先生から「骨SPECT/CTによるSUV解析を用いた人工関節感染の評価」、同じく札幌医科大学の池田康利先生から「Oxford UKAにおけるRadio Lucent Line出現群の検討〜新規開発した脛骨3°の内反シムの使用を含めて〜」の2題の発表をしていただきました。続いて秋田大学側から、中通総合病院の湯浅悠介先生から「中手骨頚部骨折の治療成績」、秋田大学の尾野祐一先生から「骨粗鬆症患者の筋量、骨量、および脊柱矢状面アライメントの経時的変化の検討」に関して発表がありました。股関節、膝関節の人工関節から手、脊椎まで幅広い分野に関してご講演いただき、大変勉強になりました。

特別公演1では札幌医科大学 黄金勲矢先生から、「運動器慢性疼痛の評価と治療」に関してご講演いただきました。ほぼ全ての患者さんの主訴である”痛み”に関して詳細に教えていただきました。慢性疼痛の患者さんなど普段の治療で悩むことが多いような症例を提示していただき、疼痛への理解が深まりました。全てが明日からの診療に活きる素晴らしい講演で、とても勉強になりました。

特別講演2では秋田大学 土江博幸先生から「テリパラチド研究あれこれ-非定型大腿骨骨折を中心に-」に関してご講演いただきました。今までの先生の行なってきた基礎・臨床研究の数々を紹介していただき、その膨大さに圧倒されました。臨床に真面目に取り組み、そこで生まれたクリニカルクエスチョンを研究に結びつける先生の姿勢には感銘を受けました。いつまでもリサーチマインドを持ちながら、日々の臨床に取り組んでいきたいと感じました。

非常に有意義なセミナーとなり、楽しく拝聴することができました。会の後には、久しぶりの秋田・札幌医大の懇親会が開催されました。私たち若手にとっては初めての懇親会でした。札幌医科大学の先生との交流は楽しく、とてもモチベーションが高まりました。これからの両大学の発展に貢献できるように、臨床に研究に取り組んでいきたいと思います。

来年は札幌で開催されるとのことなので、ぜひ勉強しにいきたいと思います。来年もよろしくお願いいたします。

第9回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会(石垣佑樹)

2023年7月29日に第9回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会が秋田市民交流プラザALVEにて開催されました。前年度に引き続き今回も第一部ハンズオンワークショップ、第2部ミニレクチャー・シンポジウム・特別講演の2本立てでの開催となりました。今回は対面のみの開催ということで現地に多くの先生方が集まり、普段お話しできない先生とも交流ができて非常に有意義な時間を過ごすことができました。

第一部には整形外科に興味のある学生・研修医の先生たちが総勢7名も参加してくださいました。「肩関節鏡」、「膝関節鏡」、「膝周囲骨切り術」、「人工関節置換術:従来法」、「ロボット支援ソリューションTKA」の5つのテーマで開催されましたが、それぞれの分野で県内トップの先生方が情熱的に指導してくださり、私を初め参加者は時間も忘れて没頭していました。熱中して取り組む皆さんの姿に、これからのASAKGの明るい未来が見えたように思います。あっという間の3時間で、全然時間が足りませんでした。すでに来年度のハンズオンワークショップが楽しみです。

第2部では、初めに、村田昇平先生から「今日からみえる、すぐみえる、レントゲンでの内側半月板逸脱」と題してミニレクチャーをいただきました。特別講演を頂きました東京女子医科大学整形外科教授の岡崎賢先生も絶賛されたミニレクチャーでは、誰でもすぐに行える半月板逸脱の計測方法を教えていただきました。早速私も月曜日の外来から導入させていただきましたが、非常に簡便で患者さんの説明にもつながり大活躍でした。実臨床につながるレクチャーをしていてだきありがとうございました。これから、どんどん使わせていただこうと思います。

次に、「ASAKGからyoung doctorへのメッセージ」と題して、赤川学先生、塚本泰朗先生、大内賢太郎先生、瀬川豊人先生の4名の先生によるシンポジウムが開催されました。赤川学先生は「若手が創るASAKGの未来〜人工関節編〜」、塚本先生は「若手が創るASAKGの未来〜Arthroscopy編〜」と題して、膝人工関節・Arthroscopy分野におけるASAKGの過去や現状、そして先生方の目指すASAKGの未来について熱く語っていただきました。会場でその熱意によって「火がつけられた」先生は私だけではなかったと思います。先生方の熱意をさらに盛り上げれるように頑張りたいと思います。大内先生からは「肩関節外科医のすすめ」と題してお話をいただきましたが、なんといっても秋田県の肩関節外科医が「Blue Ocean」であるということが印象的でした。大内先生の講演を聞いて「Blue Ocean」に飛び込む決意をした先生は多くいたのではないでしょうか。今後の秋田県の肩関節分野は盛り上がること間違いなしだと感じました。瀬川先生からは「FMS(Functional Movement Screen)を用いた下肢疲労骨折症例再発予防の取り組み」について講演していただきました。再発予防に取り組むことの重要性と、実際の取り組みについて教えていただきました。瀬川先生のように自分自身がFull scoreをとって指導できるようにならなければいけないと痛感しました。是非、また詳しく教えていただきたいと思いました。

最後に、東京女子医科大学整形外科教授の岡崎賢先生より「中高年のスポーツにまつわる膝の諸問題」と題して特別公演を賜りました。日常の診療で困るところを的確に、わかりやすく、幅広く教えていただきました。最新の知見をご紹介していただきながら実臨床ですぐに活用できる知識を教えていただき、あっとういう間に時間が過ぎてしまいました。貴重な講演を聞かせていただき誠にありがとうございました。

私事ではありますが、今回のASAKGの幹事会にて皆様に承認いただき新幹事に任命していただきました。初代会長齊藤英知先生のもと、皆様で作り上げられてきたこの素晴らしいグループに参加させて頂けることにこの場をお借りして感謝申上げます。今回の研究会で自分にはかなり「火がついて」おります。この火を絶やすことなく他の若手の先生にも広げて、ASAKGのさらなる発展のために日々邁進して参りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。

第14回小児整形外科研究会(渡辺学)

2023年7月8日秋田市のアトリオンで第14回秋田県小児整形外科研究会が行われました。ハイブリッド開催でしたが、コロナも落ち着き現地参加者が多数見られました。今後は現地のみの開催が増えてくるでしょうか。

一般演題では、成人ではなかなか見ることのない足根骨癒合症や上腸間膜動脈症候群など小児特有の疾患に関する報告が多くあり、活発な質疑応答が行われました。今回自分は「ダウン症児における足部変形への対応-運動発達との関連も含めて」という演題で発表させていただき、優秀演題賞をいただくことができました。この場をお借りして、ご指導いただいた先生方に感謝いたします。

その後のミニレックチャーでは、今年度から秋田県立医療療育センターで勤務となった河野哲也先生から「当センターにおける最近の小児股関節疾患の動向」という題名で講義いただきました。秋田県の小児股関節疾患の疫学や各疾患に関しての診察、診断、レントゲンの見方などレクチャーいただきました。

特別講演では、国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部 統括部長 関敦仁先生から「こどもの上肢疾患の診かた 手肘の先天異常を中心に」というテーマでご講演をいただきました。今までの聞いたことのないような先天性疾患に合併する手肘の変形や異常に関する内容でした。通常あるゴールドスタンダードな治療では対応が難しく、ケースバイケースで一つ一つの症例に治療を行っていく必要がありとても勉強になる講演でした。

小児は日常診療でなかなか出会う機会は多くありませんが、それゆえに診察が難しいことも多くあると思います。今回学んだことを生かし今後さらに成長していけるよう励んでいければと思います。

第16回秋田県手外科研究会(佐藤貴洋)

2023年6月3日秋田温泉さとみにて第16回秋田県手外科研究会がハイブリッド形式で開催されました.昨年は大学医局で本部のPC操作を行ってのオンライン参加でしたが,今年は発表者全員が現地での参加となり初めて現地参加しました.

エコーハンズオンでは,テーブル講師に指名されました.描出がまだ得意でなく,知識や経験もまた不足しているため,自分が講師となるに戸惑いを感じました.今後はしっかり人に教えられるように頑張ろうと改めて思いました.

本会では白幡毅士先生が司会,千馬誠悦会長の御発令で開始されました.急遽湯本先生が欠席されたため,一般演題の持ち時間が1人14分に伸び,深いディスカッションが可能となりました.秋田大学からは白幡先生の御指導の下,小滝先生,中西先生と自分の3演題を発表しました.自分以外の2人とも非常に見やすいスライドと落ち着いた発表,適切な質問対応で非常に素晴らしい発表でした.齋藤光先生,久田朱里先生からも貴重な症例を報告頂き,とても勉強になりました.

ミニレクチャーでは湯浅悠介先生が舟状骨骨折に関して診断から治療までレクチャー頂きました.スポーツ障害に関する復帰時期や経験した症例から得た知識についても詳しく教えて頂きました.近しい先輩のレクチャーということで非常に興味深く拝聴しました.

特別講演ではJACHO大阪病院の島田幸造先生より「肘関節外科の怖さと面白さ 〜肘関節鏡視下手術を実践して〜 」と題してご講演頂きました.肘関節外科で御高名な島田先生が下積み時代から症例に触れ,何を感じ,ご研鑽を積まれたのか詳細に教えて頂きました.島田先生は多くの手術をご執刀されるだけでなく,多くの論文もご執筆されておりました.手術した症例から感じたことを論文のテーマとして取り上げ,それをさらに深める研究する姿勢は,本当に素晴らしいと感じました.

僭越ながら閉会式の前に一般演題の最優秀賞の発表があり,私の演題を選出頂きました.本発表は白幡先生を始め,大学にいる小滝先生,中西先生のご助力を得て作成したものであり,先生方には心から感謝しております.今後も手外科医を目指し,臨床・研究共に精進していきたいと思います.

第77回秋田県整形外科医会(森下耀)

2023年5月20日, 第77回秋田県整形外科医会が行われました. COVID-19が5類感染症に移行し, 現地開催がメインの会となりました. 日頃より大変お世話になっている先生たちと久しぶりに対面でお話ができ, 大いに盛り上がりました.

まず, シンポジウムでは4名の先生がご講演をくださいました. 高齢化の進む秋田ならではのお話で、”高齢者に対する整形外科診療”と題し, 脊椎脊髄病, 骨軟部腫瘍, 関節疾患, 外傷疾患についてお話しいただきました. 高齢者の診療の現状と課題について語っていただき, 高齢者医療のモチベーションが高まるとても有意義なシンポジウムとなりました.

続いて, 若手のセッションが行われました. 今回からはResident Award SessionとYoung Specialist Award Sessionの2部門に分けられ, 若手により多くのチャンスをいただけるようになり, 若手のモチベーションもとても高かったと思います. Resident Award Sessionでは16題, Young Specialist Award Sessionでは7題のたくさんの発表があり, 各発表に対して活発なdiscussionが行われました. Resident Award Sessionの最優秀賞は大曲厚生医療センターの長岡佑樹先生が受賞され, Young Specialist Award Sessionの最優秀賞は秋田厚生医療センターの東海林諒先生が受賞されました. おめでとうございます.

その後, 教育研修講演1として, 奈良県立医科大学 骨軟部腫瘍制御・機能再建医学講座 教授 朴木寛弥先生より『骨・軟部腫瘍 最近の話題から』と題し, ご講演いただきました. 骨軟部腫瘍の診断・治療の基本的なお話, 腫瘍切除と人工関節のお話, 新規治療薬などをわかりやすくご教示いただきました. 最近では, がんゲノムプロファイリングによって臓器別の治療から遺伝子別の治療へ進歩していたり, リバース型人工肩関節置換術を用いて機能再建を行っていたり, 骨軟部腫瘍の治療が日々進化していることを実感しました.

教育研修講演2として, 東北大学大学院医学系研究科 整形外科学 教授 相澤 俊峰先生より『知って損のない脊椎外科とヒヤリハット-末梢神経障害の話題も含めて-』と題し, ご講演いただきました. 豊富な臨床経験の中から実際の症例を提示し, 脊椎外科医が気をつけなければならないことを教えていただきました. 研究の分野のヒヤリハットとして, いわゆるハゲタカジャーナルに関してご教授いただきました. なかなか普段の研究会では教えていただけないような内容で, 参加者全員が明日からの臨床, 研究に活かせる実践的なものでした.

今回のシンポジウム, 若手session, 教育研修講演とも大変勉強になる発表とご講演の連続でした. 本日学んだことを活かし, 秋田県の整形外科診療をより良いものにできるように精進していきたいと思います.

第60回秋田県脊椎脊髄病研究会(渡辺学)

2023年3月4日秋田市にぎわい交流館AUで第60回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田赤十字病院の尾野祐一先生が務めておりました。Zoomと現地のハイブリッド開催となり少しずつ現地へ足を運べる回数が増えてきたように思われます。最近はコロナ感染も少しずつ落ち着いてきており3月中旬からはノーマスクが可能となり5月には5類となることが決まっております。今後も現地開催が増えることを祈っております。

研修医や若手整形外科への基礎講座として由利組合総合病院の菊池一馬先生、秋田大学医学部付属病院の工藤大輔先生、能代厚生医療センターの佐々木寛先生からそれぞれ出血への対応、硬膜損傷、髄液漏への対応、術後感染への対応をレクチャーしていただきました。脊椎外科を目指す研修医や若手の先生にはとても有意義かつ大事な内容であり、臨床に役立つ内容でした。

また今回は記念すべき第60回であり、記念企画として秋田大学医学部付属病院の本郷道生先生からこれまでの秋田県脊椎脊髄病研究会を振り返ってというお話をいただきました。第1回から現在まで、写真や懐かしいエピソードを交えたお話を聞くことができました。今後の展望も考えられており自分たちもその一員として成長していきたいと思いました。

一般演題は5題あり、珍しい症例や治療に難渋する症例の報告が多く、活発な議論がなされておりました。その中でも記念すべき第60回の最優秀演題賞に選ばれたのは、秋田赤十字病院の浅香康人先生でした「ブラウンセカール型の症状を呈した上位頚椎OPLLを伴う非骨傷性頚髄損傷の一例」についての報告であり、治療に難渋する症例で多くの意見が飛び交っておりました。

特別公演は稲波脊椎・関節病院院長の高野裕一先生より「脊椎脊髄疾患に対する内視鏡アプローチの最新のトピックス」についてご講演いただきました。ご自身の経験から早期離床の必要性を強く確認し内視鏡へ移行した経緯、従来法からMEDやLIFへの移行や注意点のお話、FESS(full-endscopic spine surgery)やUBE (unilateral biportal endoscopy)などに関する最新のお話などがあり大変興味深く拝聴いたしました。

来年にはさらにコロナ感染が落ち着き、第61回も現地の空気を感じながら開催されることを祈っております。ご講演いただいた先生方、本会開催に当たりご尽力いただきました方々に心より感謝申し上げます。