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第4回 出羽・阿賀リウマチフォーラム(齋藤光)

2018年6月2日、秋田ビューホテルで第4回の出羽・阿賀リウマチフォーラムが開催されました。昨年の第3回は新潟県で開催され、今年は秋田県での開催となりました。

 

関節リウマチとは、関節が炎症を起こし軟骨や骨が破壊され、関節の機能が損なわれる病気です。治療の第一目標は早期治療介入し、身体機能や社会活動を保ち、長期にわたる生活の質を最大限にすることであり、多職種の連携が重要です。一般演題では医師、看護師、検査技師、理学療法士の先生よりご講演をいただき、様々な視点からディスカッションが行われました。またフロアからも沢山の質問があり、盛り上がりをみせておりました。

 

教育講演では市立秋田総合病院の柏倉剛先生より「秋田県におけるリウマチ診療 AORAの取り組み」についてご講演を賜りました。秋田県での関節リウマチ治療の歴史から、AORAの活動内容、AORA registryから得られた秋田県内のリウマチ診療の特徴について、詳細なデータをお示しいただきました。また秋田県のリウマチ患者には高齢者が多いといった観点から、治療薬、腎機能、骨粗鬆症治療のポイントについてもご講演いただきました。

 

特別講演では、国立病院機構大阪南医療センター 統括診療部長 橋本淳先生より「我々の取り組んでいるチーム医療の考え方−リウマチのトータルマネジメントをめざして−」についてご講演を賜りました。リウマチ治療の歴史から、患者が求める医療の変化、最新の手術治療について、網羅的にご講演いただきました。リウマチ患者には多様なケアが求められ、全人的医療が必要となりますが、一人の医師には限界があるため、チーム医療が重要となります。体制作りには多くの時間と労力がかかりますが、長期的な治療を見据えた医療、予防医学のためにはコメディカルスタッフの協力が不可欠であり、各々がプロフェッショナリズムをもって診療にあたることが重要とのことでした。

 

リウマチ診療にあたる我々は、チーム医療を担う一員として、最新・最適の医療を提供できるよう、これからも日常診療に取り組んでいこうと思います。

 

秋田県慢性腰痛フォーラム (粕川雄司)

2016年11月4日金曜日、ビューホテルにて秋田県慢性腰痛フォーラムが開催されました。寒さが厳しくなり天候も悪かった当日ですが、非常に熱気があり盛り上がったフォーラムとなりました。

はじめに、秋田厚生医療センターの阿部利樹先生より「慢性腰痛に対するデュロキセチンの使用経験」と題して御発表いただきました。有訴者が最も多い腰痛に対する薬物治療は、近年複数の薬剤が使用可能となり進歩しています。その慢性腰痛に対する薬物治療の成績について、詳細なご検討をお話しされ大変勉強になるご講演でした。

次いで、千葉大学大学院医学研究院整形外科学の折田純久先生より「腰痛の診断と治療、そのおもしろさとむずかしさ~基礎研究から低侵襲手術まで~」と題した特別講演を頂きました。腰痛に関する基礎実験で新たな治療法について検討されていること、診断が難しいことが多い病態を新たな画像診断法を用いて診断していること、さらに低侵襲の手術法である側方進入による椎体間固定術により腰痛の軽減を目指して治療されていることなどをご講演されました。基礎から臨床まで幅広いお仕事について多くのエビデンスを提示いただきながらのご講演は、大変勉強になりました。特に、折田先生の素晴らしいプレゼンテーションは秋田県の整形外科医にとっては衝撃でした。今後、秋田の先生方のプレゼンテーションスタイルにも大きな変革がもたらされるかもしれないと感じました。冬の足音が近づく秋田まで遠路はるばるお越しいただきご講演いただいた折田純久先生、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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運動器疾患治療フォーラム (鈴木真純)

2016年5月26日、順天堂大学大学院医学研究科 整形外科・運動器医学准教授 石島旨章先生をお招きして開かれました、運動器疾患治療フォーラムの報告です。

まず一般演題1題目、木島泰明先生よりいただきました「変形性関節症の、その前に」という題でしたが内容としては、成長期のスポーツ選手の痛みに関する内容で非常に多岐にわたる内容で,良い意味ですっかりだまされました。痛みに関する因子に関して、股関節の内外旋が多変量解析においては有意な因子とはならなかったという結果は、hip groupの木島先生のご発表としてはどうなるかと思いましたが、too many toes sign、腰痛伸展時痛の関連、そして最終的には肩関節そして、股関節の外旋可動域との相関のお話でまとまっており、素晴らしいものでした。続いて、2題目は齊藤英知先生による「変形性膝関節症の手術治療-case discussion」のご発表を頂きました。まず、日頃の外来においてよく勧める機会の多いTKAですが、満足してない患者の割合に関しての報告では、自分が思っていたより意外に多いという印象をうけました。それに対し生理的な膝のmotionを重視した膝のACLを温存するタイプのTKAのcase presentation の術後の動画では、可動域は勿論ですがインプラント主導のぎこちない動きではなく自然な動きを獲得している様子には驚きました。そして最近齊藤先生の代名詞となりつつあるHTOのお話も加わり、変形性膝関節症の手術治療の全般的なお話となりました。

最後に、石島旨章先生による「変形性膝関節症の臨床症状の原因と治療」の御講演を頂きました。変形性膝関節症がなぜ痛いのか、一見至極当然のことですが全てを細胞レベルで説明するのは簡単ではないように思います。しかし、先生の御講演はまさにそれに対する答えと言え、その裏付けとしての臨床的・基礎的なデータのご呈示は改めて非常に勉強になりました。例えば血中の炎症性マーカーと、MRI所見と軟骨下骨に着目したstudy、Gradeに応じた膝関節症の治療に関する効果をまとめたものなどは、専門分野に限らず非常にためになりました。

Oxford Partial Knee Instruction Courseに参加して(齊藤英知)

2015.9.5より東京で行われた上記セミナーに参加させていただきました。単顆置換型膝関節(UKA)にも数種類あるわけですが、その中でもmobile bearingタイプの人工関節、いわゆるOxford kneeと呼ばれているものです。このタイプのUKAは、1976年から臨床応用が始まり、1982年からphase 1がスタート、1987年には手術器械を改良したphase 2となり、さらに低侵襲手術用の手術器械が開発されphase 3、現在は、phase 4で、インプラントと骨の固着をセメントに頼らず、HAとポーラスコーティングで行うセメントレスタイプのインプラントが開発し、実際の臨床で使用されております。豊富な科学的根拠とそれに基づく手術技術、手術成績など多くの実績を出されている, Nuffield Department of Orthopaedic Surgery, University of Oxford Nuffield Orthopaedic Centre, Oxford のProfessor Murray先生が特別講師として来日されました。講義の内容は基本的な内容でしたが、本家本元の先生のお話をお聞きできたことは、何事にも代えがたい経験となりましたし、直接discussionさせていただき、幸せでした。この経験を、若手の整形外科の先生方に伝え、秋田県の医療レベルが少しでも向上していくことを願う次第です。最後に感謝の言葉でこのブログを締めくくりたいと思います。

「ありがとうございました。」2015-09-05 10.30.03 2015-09-05 10.34.37

第7回Masters Fracture Forum Japanに参加して(野坂光司)

5月9~10日東京TKPガーデンシティ品川で開催された第7回Masters Fracture Forum(Course Chairmen:松下隆先生,新藤正輝先生)に講師として参加しました.今回は過去最多の242名(聴講者207名、講師・座長35名)の参加で,大変白熱した議論が繰り広げられました.

Masters Fracture Forumは,もともと海外における著名なLevel 1 Trauma CenterのOrthopaedic Trauma Specialistを対象に,世界各国より選ばれた専門医がカリフォルニアに集まり開催されている討論会です.Masters Fracture Forum Japanはこの会の日本版であり,国内から選抜したOrthopaedic Trauma Specialistが骨折治療についての高いレベルの討議を行うことによって,日本の骨折治療レベルを向上させることを目的とした会であり,この会から難症例における治療のエビデンスを発信できるようにしたいそうです.

初日の特別講演は土田芳彦先生で,海外と比較した日本の外傷治療の問題点について情熱的な語り口でお話し下さいました.2日目の特別講演は松下隆先生で,骨折治療のピットフォールとでも言うべきものを独自の視点から鋭く切り込んで下さいました.どちらも大変有意義でした.

僕の講演は2日目の最後のセッションで,松下教授,大関教授座長のもと,『皮膚トラブルを生じた足関節周辺骨折から学ぶべきこと』をテーマに,Ilizarov創外固定による治療の有用性について熱く話してきました.聴講の皆様に僕の熱い思いが伝わったことを祈っております.

外傷の議論は,やはり非常に白熱して,とても興奮します.不定期開催の会ですが,秋田大学および関連病院からも今後多くの先生が参加する価値のある研究会だと感じました.

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第8回秋田県整形外科RAトータルマネージメントフォーラム(杉村祐介)

11月7日、第8回秋田県整形外科RAトータルマネージメントフォーラムが開催されました。今回は特別講演に、東京大学整形外科講師の門野夕峰先生にお越し頂きました。

「関節リウマチと骨粗鬆症」のご講演では、基礎学術的な内容から、臨床の話題まで幅広い内容を分かりやすくお話してくださいました。特に日本最大級のRAコホートである「NinJa」からもたくさんのデータをご紹介いただきました。

関節リウマチ患者では、その疾患自体による骨粗鬆症、また治療薬の影響による骨粗鬆症を避けて通ることはできず、骨粗鬆症治療も早期から並行して行う必要性を説明してくださいました。

一般演題1では南秋田整形外科、杉村祐介が「AORA関節リウマチ患者における骨粗鬆症の検討」を発表しました。AORA関節リウマチ患者の椎体骨折の有病率を調査し、骨折患者は年齢が高くステロイド使用が多いことを報告しました。

一般演題2では由利組合総病院、野口英明先生が「関節リウマチ患者の大腿骨転子部骨折骨接合術後の歩行能力について」を発表しました。関節リウマチ患者の術後の歩行能力獲得は、非関節リウマチ患者に劣らないと報告しました。

今後、我々AORAも活動をさらに発展させていけるよう、頑張りたいと思います。