学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第54回日本人工関節学会(阿部寛道)

2024年2月23日、24日の2日間に渡り、京都府の国立京都国際会館で第54回人工関節学会が開催されました。学会のテーマ「極」-人工関節手術の極意・究極のテクノロジー探求・質を極めた臨床研究-の名に相応しい、人工関節に特化したとても深みのある学会でした。

私はAHRGのデータを用いた「Taper wedgeステムとfully hydroxyapatite-coatedステムにおけるステム周囲骨密度変化の比較」という演題で口演させていただきました。人工股関節置換術後、人工骨頭置換術後の大腿骨ステム周囲の骨密度や骨反応といったテーマがメインのセッションは、自分の発表のセッション以外にもあり、最近では非常に熱い分野だと思います。今回の自分の研究や他の演題からもステムの違いにより大腿骨にかかる荷重、応力遮蔽が異なるため、患者さんの大腿骨形状や骨質なども総合的に判断し、よりベストなステム選択をするべきだということを改めて実感しました。他のセッションやセミナーも勉強になることばかりでとても刺激的で有意義な学会でした。

当教室のHipグループ、Kneeグループからも多数の参加があり、学会初日の夜には京都府内のお店にて「大ジョイントミーティング」が開催されました。大曲厚生医療センター研修医1年目の泉隼先生(京都ご出身)、今年度入局されました同センター研修医2年目の菅原聡馬先生、3年目の秋田赤十字病院長岡佑樹先生(京都ご出身)にもご参加いただき、大いに盛り上がりました!

来年は名古屋での開催となります。また演題を出せるよう、日々の診療・研究ともに精進して参ります。

第45回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会(河原木剛)

2024年2月3日(土)、第45回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会@仙台に参加してきました。

東北の各施設から、基礎から臨床にわたり20前後の発表があり、多くの学びと感動を得ることができました。私は基礎分野の研究会に現地参加するのが初めてでしたが、他施設で行われている研究内容を聞いて、今まで考えたこともなかった研究手法やアプローチ方法を学び、有意義な時間を過ごすことができました。

なお、私自身は「テリパラチド製剤が転移性骨腫瘍に及ぼす影響の検討」のテーマで発表させていただきました。ディスカッションの場では、会場の先生方から今後の研究の方向性についてアドバイスをいただき、とても身が引き締まる思いでした。今回の発表では優秀演題賞をいただくことができ、日々ご指導いただいた教室の先生方には大変感謝しています。ありがとうございました。

特別講演は、大阪市立総合医療センター整形外科の多田昌弘先生より、「関節リウマチの骨と関節~オステオサルコペニア対策~」と題してご講演いただきました。薬物・食事・運動療法による骨代謝・筋への効果について、数多くの研究を報告していただきました。特に興味深かったのが、多田先生自身が運動療法によって大幅に筋量が増加したというデータを提示いただいたことです。多田先生の運動療法後のCTで脂肪量が激減し、筋肉量が大幅に増加していたことにとても感銘を受けました。我々の教室にはボディービルダーがおりますが、私はというと最近運動をサボりがちでした。今後はしっかり運動に励んで、サルコペニアにならないよう気をつけます。また、患者さんにも運動療法の大切さについて具体的に説明していこうと思います。
(研究会のあとは、食事療法として牛タンを食べ、タンパク質をしっかり補給してきました。)

第34回東北脊椎外科研究会(岡本憲人)

2024年1月27日に開催された東北脊椎外科研究会に参加致しました。

今年で34回目となる歴史ある研究会であり、若手脊椎外科医の研鑽の場ともなっています。昨年まではハイブリッド開催でしたが、今年からは従来通りの現地開催、会場もフォレスト仙台といつもの東北脊椎だな…と感じました。自分が整形外科1年目で発表した時の記憶が昨日のことのように思い出されます…。

今回からは前日の意見交換会(以前の症例検討会)も再開され、秋田からも精鋭の先生方が参加されました。

前日の意見交換会後の同門会の様子。

秋田からは全部で6演題の発表がありました。渡辺学先生も華々しく東北脊椎デビューを飾りました。今後のさらなる活躍が期待されます。来年も演題出しましょう!

「超高齢社会の脊椎外科:Big Data からみる高齢者の脊椎手術の課題」というテーマでシンポジウムも開催され、尾野祐一先生が秋田県の高齢者脊髄損傷の治療状況を発表されました。高齢者脊髄損傷患者は今後も増えていくことが予想されます。後方支援病院の拡充など、今後の課題も提起していただきました。特別講演は東海大学医学部医学科 外科学系 整形外科学 准教授 酒井 大輔 先生から「新技術で進化する脊椎疾患の手術治療:脊柱変形を中心に」としてご講演いただきました。側弯症手術からUBE、Virtual Reality、椎間板再生の基礎研究まで多岐にわたる酒井先生のご経験を教えていただきました。非常に刺激的で勉強になりました。

表彰式では前回の最優秀演題賞に木村竜太先生の「成人脊柱変形に対する選択的腰椎固定術の可能性と限界」が選ばれました!おめでとうございます!前年度会長の小林孝先生から表彰があり、同門一同で大喜びです。


そして今回の若手優秀演題賞には、秋田労災病院佐藤千晶先生の「健常成人女性の各年齢別の全脊椎アライメントと身体機能の変化」と秋田厚生医療センター東海林諒先生の「LLIF による ASD 矯正手術において、近位 PPS 固定は PJK を予防する」がダブル受賞となりました!白熱した質疑応答も加点要素となったかもしれません。先生方おめでとうございます!

今年も非常に実り多い研究会となりました。来年も秋田大学をアピールできるように頑張りましょう!


第7回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(佐藤貴洋)

2023年11月3日から5日まで宮崎県のシーガイアコンベンションセンターにて第7回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が開催されました.本会には粕川准教授,河野先生,木村先生,飯田先生,小滝先生と参加致しました.夏季集会ほどではありませんでしたが,リハビリテーションの学会ということもあり,多職種の方々が多く参加し盛り上がりをみせておりました.

粕川准教授は教育講演を担当され,脊髄疾患患者におけるフレイル,サルコペニア、ロコモに関して熱くご講演されておりました.そして本会では遂に小滝先生が学会発表デビューを果たしました.普段通り堂々とした佇まいで立派に発表をしておりました.小滝先生と同じセッションには末梢神経ブロックを用いたリハビリテーションに関してご講演されている先生がおりました.自分自身も研究している内容でとても興味深く拝聴させて頂きました.

夜の同門会は,牛,鶏,芋焼酎など宮崎らしい料理を楽しみました.私自身会期中体調が優れず,観光できませんでした.宮崎は神が宿る町ということで名所も多く,また別の機会に遊びに来たいなと思いました。.

今回でリハビリ学会は2回目の参加でした.今回学べたことを今後も研究に生かしていき,学位論文へとつなげていきたいと思います.今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

第50回日本股関節学会(阿部寛道)

2023年10月27〜28日に第50回日本股関節学会がヒルトン福岡シーホークで開催されました。Akita Hip Research Group (AHRG)からは8演題発表がありました。

学会に先立ち、10月26日に教育研修セミナーベーシックコースが開催され、市立秋田総合病院 藤井昌先生が講師の1人としてご講演されました。とても勉強になる内容でしたし、大御所の先生方の中でご活躍する藤井先生の姿に非常に感銘を受けました。

AHRGの先生方の演題を中心に、自分が興味のある一般演題も回りましたが、各病院で行われている最先端の研究を知ることができ、刺激を受けたと同時に、股関節分野の奥深さも再確認しました。来年は自分も演題を出せるように臨床と並行し研究も進めていければと思います。

今回はなんと、大曲厚生医療センター研修医1年目の西澤実柚先生が学会に参加いただきました!整形外科、中でも股関節分野に興味があるとのことで、日々積極的に勧誘いただいている岩本陽輔先生はじめ、大曲厚生医療センター整形外科の先生方には感謝申し上げます。10月27日の夜にはAHRG大同門会が開催され、西澤先生にも参加いただき、とても楽しい福岡の夜を過ごしました。学会期間中を通じて、もつ鍋や水炊き、海鮮料理といった美味しい博多料理を堪能でき、満足しております。

最後になりますが、日々ご指導頂いております宮腰尚久教授はじめ、不在期間中に業務を代行して下さいました先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第48回日本足の外科学会学術集会(富永健太)

2023年10月26〜27日に大阪市のグランフロント大阪で大阪医科薬科大学の安田稔人会長のもと第48回日本足の外科学会学術集会が開催されました。

当教室からは柏倉剛先生、野坂光司准教授、千田秀一先生、青沼宏先生、平鹿総合病院の理学療法士の佐藤さん、そして私で参加して参りました。

会長講演は『これからのアキレス腱断裂診療―アスリートの早期スポーツ復帰のために―』というテーマでご講演いただきました。Foot&AnkleとSportsを志している自分にとってはとても刺激的で勉強になる内容でした。

その他にも足の外科関連の様々な最先端の内容に触れることができ有意義な2日間を過ごせました。

自分は秋田県の足根骨癒合症についての調査を発表させていただきました。獨協医科大学埼玉医療センターの前教授である大関先生から「こういう疫学的な調査は極めて大切です。引き続き頑張ってください。」といった温かいお言葉をいただきました。発表だけで終わることなくしっかりと論文化いたします。

また学会前夜には獨協医科大学、佐賀大学、島根大学、埼玉医科大学の同年代の先生方と懇親会をさせていただき親交を深めることができました。全体懇親会では早稲田大学スポーツ科学学術院の熊井司先生をはじめ各大学の先生方にご挨拶させていただくことができました。柏倉先生、野坂先生、千田先生がこれまで対外的にご活躍されてきたことで他大学の先生方との繋がりがあり交流することができました。今後自分もこの流れを絶やすことなく継続していければと思います。 最後にいつもご指導頂いております宮腰尚久教授をはじめAFG/AIMGメンバーの先生方、不在の期間に業務を代行して下さった先生方に感謝申し上げます。

第38回日本整形外科学会基礎学術集会(佐藤貴洋)

2023年10月19日,20日の2日間にわたり,日本の学術都市つくばで第38回日本整形外科学会基礎学術集会が開催されました.本学会は,基礎医学研究の演題を中心とした学会で,各大学の大学院生が多数発表をしていました.秋田大学の大学院生からは,五十嵐先生,笠間先生,原田先生,岡本先生,そして私が参加し発表しました.

私は「Akita Trainer」の演題で本学会に参加しました.筑波大学はリハビリテーションロボット「HAL」の先駆けとして知られており,私のセッションでもHALに関する演題が2つありました.これら2つの演題は,小児への使用経験についてのものでした.解析方法として,コンピュータを使用した歩行動作解析が取り入れられており,その高度な内容に感銘を受けました.

A-BONEの五十嵐先生,笠間先生,原田先生,岡本先生は,骨粗鬆症やサルコペニアに対して動物実験を用いた基礎医学らしい演題で発表されておりました.骨粗鬆症の権威である宮腰教授のもとでの研究でもあり,非常に質の高い発表でした.

今回の学会では実はもう一つ特別なイベントがありました.先日行われた日独Web conferenceにも参加されていたFrancis Kilian先生が今回の学会のために来日されておりました.秋田労災の奥山先生のお導きもあり,内輪だけのKilian先生との交流会,Clinical conferenceが行われました.秋田大学からは粕川先生と岡本先生がプレゼンテーションを行い,Kilian先生からも翌日講演予定の内容の一部をプレゼンテーションして頂きました.聞き取りやすいゆっくりとした英語で,日本とドイツでの治療における考え方の違いをより近い距離感で教えて頂きました.Kilian先生の病院は,世界中の留学生を受け入れているとのことで,今回の経験が秋田大学の海外留学の一助となることを期待しています.特に岡本先生には第1号として活躍してほしいと思っています.

今回の学会は色々な意味で新鮮なことばかりでした.本学会は大学院生ならではの会だと思うので,現在大学院生の方やこれから大学院生になる方も是非積極的に参加・発表していきましょう.

第25回日本骨粗鬆症学会(尾野祐一)

2023年9月29日~10月1日に名古屋国際会議場で開催された第25回日本骨粗鬆症学会に参加しました。整形外科医だけでなく、内科、放射線科、産婦人科、リハビリテーション科に加え、コメディカルスタッフも多く参加しており、どの会場も多くの聴講者がいました。ランチョンセミナーでは早々に整理券が売り切れ、昼前には長蛇の列ができているのが印象的でした(私は整理券をゲットできず、会場に入れませんでしたので、仕方なく学会周辺で“ひつまぶし”を堪能(^^)/)。

秋田からも多くの参加者がおり、宮腰教授、本郷教授、粕川准教授、野坂准教授、田村先生、土江先生、木下先生、赤川先生、長幡先生、私が演題を発表しました。同門グループの堀川先生は静岡から参加されていました。

今回の学会では、優秀演題賞を土江先生が受賞されました。演題名は「非定型大腿骨骨折発症後の完全骨折再燃に影響する要因の検討」で、土江先生が長年、多施設でのデータをまとめた研究です。一つの研究テーマから、次々と新しい研究結果を生み出していく土江先生には尊敬の念が尽きません!土江先生、おめでとうございます!

また、本学会には秋田県のOLS/FLSチームのメンバーも多数参加しており、夜には市立秋田総合病院、由利組合総合病院、大曲厚生医療センターのスタッフ間での交流会が行われたようです。秋田県全体に骨粗鬆症・骨折リエゾンサービスを普及していく“All Akita Associationプロジェクト”の成功には、各病院間の交流はとても重要です。本学会をきっかけに、今後の秋田でのOLS/FLS活動のさらなる発展を願っております。

第33回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会(若林玲奈)

2023年9月30日~10月1日に岩手県盛岡市のアートホテル盛岡で開催されたリウマチ地方会につきましてご報告させていただきます。秋田からは5つの演題が発表されました。すべてが一般演題「関節リウマチⅡ(外科)」の同セッションにまとめられ、このセッションはほぼ秋田の独壇場でした。杉村先生の単関節炎とRAの関連のご発表に始まり、小林先生の後期高齢者のMTX使用について、櫻場先生の生物学的製剤の検討、最後2題は連続で柏倉先生のリウマチ足に関する新しい知見のお話でした。沢山の質疑応答で活発なご発表でした。特に柏倉先生のご発表はご自身の似顔絵?(現在本格的なものを作成中とのことです)を交えたユーモラスなスライドを2題の最後に立て続けにご提示され、リウマチ足とロコモ/リウマチ外反母趾の全く新しい見方、という大変印象的な内容とともに、ご聴講の皆様の心に残るものとなったと存じます。

現地とオンラインのハイブリット開催の学会がまだ散見される中、この度はAORAメンバーの皆様にお誘いいただき現地へ赴きましたが、やはりPC前に座ってWebで拝聴するよりも、現地で参加したほうがしっかりと集中して勉強をできることを再認識できた会でした。また、集合写真に写られておりますように、ほかの病院から参加されていたコメディカルの方とご挨拶ができたことも、大きな成果でした。リウマチチーム医療として役を担ってくださっている、看護師、薬剤師、MSWの方々でした。チームへのリクルートのされ方、された時の気持ち、専門資格の取得や継続の大変さ、実際の仕事内容などを直接聞くことができ、問題点も浮かんできました。湖東病院でもぜひチームを作れたらと思い、参考にさせて頂きたいと思います。

最後に、日々ご指導頂いております宮腰尚久教授はじめAORAメンバーの先生方、不在の期間に業務を代行して下さいました先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第72回東日本整形災害外科学会/学術奨励賞受賞報告(佐藤貴洋)

長かった夏も終わり,秋が徐々に深まっている今日この頃,9月22日・23日に北海道旭川市にて東日本整形災害外科学会が開催されました.旭川に到着してすぐに本州とは違う「寒さ」を感じました.

今回私が発表するセッションは,第71回学術奨励賞受賞者講演と若手優秀演題アウォードセッション(上肢)でした.前者は前回発表演題のうち,座長(野坂先生)が選出した演題を論文化し学会誌へ投稿,学会誌に収載された論文の中から選出されます.今回私の論文をこの素晴らしい賞に選出頂きました.日々ご指導頂いている宮腰教授,野坂先生,その他多くの先生方にこの場を借りて深謝致します.

実は,若手優秀演題アウォードと合わせてダブル受賞を狙っていたのですが,流石にそれには叶いませんでした.今回自分のセッションで受賞された先生は,由利組合総合病院で研修をされた斉藤徹先生でした.演題は「Fat pad signの初期研修医における診断精度の検討」と由利組での研修時代の内容をご発表されておりました.今後より多くの研修医を整形外科ローテーションに誘う非常に興味深い内容でした.斉藤先生およびご指導された由利組の先生方各位大変おめでとうございます.

私には今学会でもう一つ仕事がありました.それは,9連覇を狙う駅伝大会です.もともと私は補欠でしたが,急遽竹島先生が諸事情で来られなくなり,レギュラーとして参加になりました.常勝軍団の中に補欠参加でしたので非常に不安な気持ちがありましたが,主務の大屋先生,キャプテンの長幡先生,エースの佐々木研先生が温かく迎え入れて下さいました.唯一の3km区間を走らせて頂きました.ライバル千葉大学のランナーは大鳥教授でした.3位秋田大学,4位千葉大学で3km区間第3走者に襷が渡されました.大鳥先生にタイムでは敵いませんでしたが,前走者が作ってくれたアドバンテージのおかげで3位のまま襷を第4走者佐々木研先生に繋げることができました.レースの結果はというと,第2走者の時田先生が全区間区間賞という快走をみせてくれたものの,各校のレベルも非常に高く,2位と一歩及びませんでした.大鳥教授率いる千葉大学が悲願の優勝を果たしました.今回千葉大学に負けてはしまったものの,抜いては抜かれを繰り返し,最終的には2位という最後までハラハラドキドキの面白いレースとなりました.朝早くから応援に来てくださった宮腰教授,本郷教授,野坂先生,本当にありがとうございました.

本学会は同期の岡本先生,大屋先生と参加できた初めての学会でした.それぞれ発表もあり,駅伝もありと同期の絆を深められる非常に有意義な学会になったと思います.大学で一緒に過ごせる期間が徐々に少なくなってきておりますが,1日1日を大事にして今後も診療・研究を一緒に頑張っていきたいと思います.