月別アーカイブ: 2015年7月

工藤大輔先生結婚式 (木村竜太)

7月25日(土)、当教室の若手筆頭、工藤大輔先生の結婚式が盛大に執り行われました。

奥様は当院脳外科医ということもあり、整形外科と脳神経外科合わせて50人以上が参加されました。

島田教授からは「工藤の結婚式をぶち壊すぞ」と気合を入れられて臨んだ式でしたが、始まってみると・・・本当に素晴らしい結婚式でした。美男美女、さらに仕事も文句のつけようのない先生方ですが、それ以上に「お二人の人柄」が結婚式の雰囲気そのものでした。

参加者全員、最初から最後まで笑顔の絶えない素敵な式になりました。

工藤先生、絵里奈先生、おめでとうございます!!

 

追記:整形外科結婚式名物!?ノーザンネイキッズこと裸参り部も参加し、工藤先生を奉納させていただきました。次はあの御方の式ですかね。

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2015 朝野球 (河野哲也)

今年度も、杉村キャプテンの元朝野球に参加しました。

朝野球についてはご存知の方も多いかと思いますが、おさらいです。

医学部グラウンドでam6時過ぎより始まる野球大会で、医局・部活単位で参加し、鎬を削る大会です。

我がノーザンデーモンズは、昨年準優勝している強豪です!医局員に加え、今年も病棟の垣根を越え,看護師さんが加勢してくださいました。

予選リーグでは,危なげない試合運びで3勝1分けと予選2位で決勝トーナメント進出。決勝トーナメントでは,軟式テニス部との対戦。最終回2死まで,大差で負けていましたが、ここから逆襲が始まりました。安打、相手のエラーなどが重なり、あれよあれよと言う間に1点差まで攻め立て、誰もが「ルー○ベルトゲーム」を思い浮かべたのではないでしょうか!?

そして、わたくし河野に打席が、、、。結果は三振、ゲームセット。。。無念です。

今年はベスト4となりましたが、来年も優勝を目指し出場したいと思います。

先生方、看護師の皆様方、来年もよろしくお願い致します!

 

予選リーグ

3-1 対 泌尿器科 勝利

6-3 対 バトミントン部 勝利

3-3 対 陸上部 引き分け

8-2 対 バレー部 勝利

 

決勝トーナメント

6-7 対 軟式テニス部 敗退

朝野球

第33回日本骨代謝学会学術集会(粕川雄司)

平成27年7月23日~25日に東京で「第33回日本骨代謝学会」が開催されました.骨・軟骨代謝の基礎的研究から骨粗鬆症の臨床的な研究まで,幅広いテーマが取り上げられている学会です.臨床に関しては,日本整形外科学会,日本内分泌学会・日本リウマチ学会との合同シンポジウムが開催され,骨・軟骨代謝とそれぞれの分野の疾患との関連についてディスカッションが行われました.

今回この学会で佐々木 聡先生が,学会の機関誌であるJBMMの論文賞を受賞されました.受賞された論文は,「Low-energy diaphyseal femoral fractures associated with bisphosphonate use and sever curved demur: a case series」です.大腿骨の弯曲とビスホスホネート製剤の使用が,大腿骨の非定型骨折と関連することをまとめたもので,米国骨代謝学会(ASBMR)の非定型大腿骨骨折に関するコメントにも引用されています.日本や海外から多くの骨代謝に関する論文が投稿される雑誌で,論文賞を受賞されたことは大変喜ばしいことと思いました.佐々木 聡先生,おめでとうございます.

また,日本骨代謝学会と日本整形外科学会との合同シンポジウムでは,宮腰尚久准教授が「骨粗鬆症性脊椎病変の病態と治療戦略」と題し,骨粗鬆症による脊柱変形と転倒や消化器症状の関連とその治療についてご講演されました.このシンポジウムでは,骨代謝と関節リウマチ,骨折,後縦靭帯骨化症,腫瘍についての関連,軟骨再生の現状や将来展望についての討論がされていました.

教室からは,野坂光司先生,土江博幸先生,木下隼人先生と粕川がポスター演題で発表しました.これからも,骨代謝・骨粗鬆症の研究を継続できるように頑張っていきたいと思います.

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留学便り14 (木島泰明)

2015年の5月から6月まで、フランス・リヨンのLyon-Ortho-Clinicで研修させていただきました木島泰明です。今回は、Nicolas Bonin先生の股関節鏡手術についてレポートしたいと思います。(6月の終わりに半年ぶりに帰国し、7月からは秋田の現場に復帰させて頂いておりますが、5月以降のことに関するレポートがまだでしたので引き続き留学だよりを発行させて頂きます。)

初日は朝9時にLyon Ortho Clinicのオフィスで待ち合わせ。行くと、フランス語を話すスイス人のフェローもその日から6ヵ月の予定で研修に来ていました。診察室を兼ねた自分の部屋で外来をやり、別の部屋の秘書さんが外来や入院・手術の予約の管理をするというスタイルはパリのNogier先生と同じ。月曜と水曜が外来日で、火曜と木曜が手術日、金曜日は自分の仕事をする日とのこと。外来でのスタイルはジーンズにワイシャツでしたが、Nogier先生と違うのは白衣を着るところです。

手術室への1件目の患者さんの入室は、秋田のJT整形と同じ朝7時。1日5-6件、多い日は7-8件の手術を行っています。ほとんどは股関節鏡手術やプライマリーの人工股関節置換術(THA)ですが、人工股関節の再置換手術や臼蓋棚形成術など、股関節鏡手術やプライマリーTHA以外の手術がある日は少な目に組むようです。

背の高い男性の専属看護師2名を雇っているようで、いつもはその2名とBonin先生の3人で手術をされているようですが、僕の研修期間中は、スイスからの研修の先生と交代で手洗いさせて頂きました。  Center Edge (CE)角が10度前後の寛骨臼形成不全で20代くらいの若い患者さんに対しては仰臥位での棚形成術を行っていました。1例しか見られませんでしたが、AHRG会長に比べれば小ぶりな棚をT型のプレートで固定しており、2本のロフストランド杖は持たせていましたが、術直後から荷重は許可していました。ただAHRG会長と同じだったのは、海綿骨を骨頭側に向けて設置していました!「カーブが合うからね」だそうです!

今回、見ることはできませんでしたが、大腿骨頭の骨軟骨損傷に対してのモザイクプラスティも時々行っており、成績も良いとのことでした。切除するべきCamの位置から骨軟骨柱をグラフトとして採取するのだそうです。

円靭帯の周りの炎症性滑膜だけしか有意な所見がなかった患者さんもいらっしゃり、術後1ヵ月は痛みなく経過は良かったものの、3ヵ月で痛みが再燃してしまったようです。このように「メカニカルな症状」(動作時痛、他動運動時痛)ではなく、関節鏡視下の滑膜切除をしても再燃してくるような股関節痛の場合にはリウマトロジストに紹介して抗炎症的な治療、具体的にはステロイド関節注射や内服薬投与などを受けてもらう、とおっしゃっていました。

ちなみに、股関節のAnterior impingement signは屈曲・内旋で股関節痛が出るかどうかをみるものですが、「関節水腫になっているような症例ではどの方向に動かしても痛いよね」とおっしゃっていました。確かにそうですよね。chondromatosisなどでもそのようです。chondromatosisではposterolateral portalも必要なことが多いのでカプセルの切開も大きくなるものの、術後はむしろ固くなることが多いのでカプセル縫合は行わないとのことです。再発例も少なからずあるので、毎年MRIでチェックしているとおっしゃっていました。

診断には単純X線写真を重要視されており、寛骨臼側はCE角とVertical Center Anterior margin (VCA)角、Acetabular roof obliquity (ARO)を、大腿骨側はαアングルを必ずチェックしていました。さらに単純X線写真で分かる場合には、下前腸骨棘(AIIS)の位置もチェックし、acetabular edgeよりもAIISが遠位であればグレード3としてインピンジメントのリスクと評価しています。

またCTやMRIで寛骨臼が完全に後ろ開きでなくても、単純X線写真でcross over sign (COS)やprominence of the ischial spine (PRIS) signがあれば機能的あるいは相対的レトロヴァージョンがあり、pincerのリスクと判断されていました。

そして、Anterior impingement signが陽性で、上記のインデックスでpincerやCamを示唆する所見があれば、関節唇損傷がはっきりしなくても股関節鏡手術の適応とされております。実際にそういった患者さんのほとんどに関節唇損傷を認めますし、関節唇損傷の程度がごく軽く、縫合するほどのインスタビリティがない場合でも、しっかりCamを削るだけで症状が取れるとのことでした。

詳しい検査としては、Nogier先生と同じく、関節造影MRIではなく関節造影CTでの所見をしっかり見ていました。これはフランスのラディオロジストが主に関節造影CTを撮影して、患者さんが持ってくるためです。αアングルのチェックもCTの頸部に沿ったスライス(特に近位)で行うのが一番良いと話されていました。関節造影CTでは造影剤のノリで軟骨表面も見えるため、軟骨損傷がないかどうかも注意してみています。同様に、正常な関節唇はその表面が造影剤で追えますが、関節唇が見えず骨性の臼蓋縁のみのように見えるときは、関節唇の消失、または関節唇の骨化と判断していました。「関節唇の骨化は関節唇再建のいい適応だけど、なかなか手技的に難しく、臨床的には骨化の切除だけでもかなり成績は良い」と話されています。前方のインピンジメントがある場合、後方の軟骨損傷が起きることも多いようで、これはcontrecoup lesionと呼ばれています。この軟骨損傷が非常に大きい場合には、もはや股関節鏡での対応は難しく、年齢にも寄りますがTHAを勧めるケースもありました。

Herniation pitなどもCTでよく観察できます。Herniation pitはpincerメカニズムで生じる所見(もちろん病的意義がない同部の骨嚢胞もよくあることは指摘されています)、また、delaminationはCamによる損傷と考えられています。軟骨のdelaminationは鏡視下でプロービングしたときのwave signとして観察されます。

ときどきラディオロジストの好みで、患者さんがMRIを撮られていることもあり、そういう場合にはintensity changeのほかに円靭帯の有無も確認されていました。

画像上インスタビリティ(dysplasia)やインピンジメントが疑われないケースなどでは特にハイパーラキシティのチェックもしっかりと行っていました。股関節のラキシティが原因で関節唇損傷をきたすケースもあるようです。さらにラキシティも骨性のインピンジメントも疑われないケースでもダンスなど足を高く上げるようなスポーツをやっている方では関節唇損傷による痛みが取れない可能性があるようです。

CE角が15度から25度くらいの、いわゆるborderline dysplasiaの症例の関節唇損傷で、関節唇縫合しても症状が1年くらいで再燃し、仕方なくデブリしたもののすっきりせず、3回目の手術で棚形成をしたところ痛みがすっかり取れたという患者さんも外来受診されていました。ただ実際はそのようなケースは稀なようなので、まずは鏡視下の関節唇修復のみを行い、症状が取れない場合には臼蓋棚形成術を追加で行うという考え方でもいいのかもしれません(もちろん患者さんとの話し合いが重要ですが)。

Borderline dysplasiaでCamは明らか、でも関節唇損傷ははっきりしない、だけどAnterior impingement signが陽性、という患者さんもいて、そういう場合は、実際の手術ではCamの切除のみになることがあるのですが、それだけでも症状は取れているようでした。いかにCam切除が重要か、ということでしょうか。

やはりこの分野、診断や手術適応が難しいのですが、Bonin先生のところでたくさん患者さんを見せてもらったことで、かなり勉強になりました。それでは、Bonin先生の実際の股関節鏡手技のご紹介もしたいと思います。

 

まずは、足背にゼリー状のクッションを当てて、それを包帯で止めてから牽引台のブーツを装着していました。パリのNogier先生はPeripheral firstアプローチを用いていましたが、Bonin先生は、僕が産業医大の内田先生から教えて頂いたCentral firstアプローチを用いています。これは最初にまず牽引をして、大腿骨頭と寛骨臼の間にまずカメラを入れてしまう方法です。ただしBonin先生は手洗いをする前に一旦牽引して透視をみて、ポータルの位置と刺入角度を確認したら、あとは透視を片づけてしまいブラインドでCentral partを穿刺していました。牽引も、軽く徒手的に牽引した後で、牽引台のくるくる回すほうの牽引装置でだいたい20回転くらい牽引し、マーキングしたら20回転戻し、刺入する前に再び外回り看護師さんに20回回して、と言って牽引してもらう、という方法を取っています。この方法を用いれば、透視がなくても牽引の程度の再現性が得られるとてもいい方法だと感じました。また、足部だけに牽引負荷がかからないように膝上から牽引ブーツまで縦にテープを張り、牽引負荷が分散するような工夫もされていました。

最初のポータルの位置も我々の方法とほぼ同じですが、牽引したときにまっすぐ(患者さんに直角に、つまり遠位にも近位にも傾けなくていい位置から)central partに入るような位置というのはNogier先生と同じです。大転子の最近位部のちょっと内側のソフトスポットあたりだそうです。Central partに向かうには若干後方に傾ける方向になることが多いようです。セカンドポータルの位置は上前腸骨棘からパテラ中央に下したラインより2横指くらい外側で、ファーストポータルから4横指位の位置とのことで、これもいわゆるMid-Anterior portalの位置とほぼ同じか、やや近位の位置に来ます。まずエアで(還流液を入れないで)鏡視というのも一緒です。ちゃんと関節内にニードルが入っているかどうかの確認のためにシリンジで生食を関注することもありましたが、その場合には浣腸器で関注した水を吸引して抜いてでもまずはエアで鏡視していました。

関節包はポータル間を切開していますが、dysplasia(CE角25度以下)の症例以外は最後に関節包縫合は行っていません。初めにニードルを刺入したら、ニードルに通して細いガイドワイヤーを挿入し、次にスイッチングロッドをガイドワイヤーに通して刺入することで関節包の穴を大きくしていました。この時にはけっこう抵抗があるので、スイッチングロッドホルダーを使用しています(ストライカーのものは黒いボックス型、スミス&ネフューのものはT字型、これがあると便利です)。次いで、ガイドワイヤーを抜き、スイッチングロッドに通して、径4.5mmの金属カニューラを挿入し、カメラを入れます。

同様に2番目のポータルを鏡視しながら作成しますが、この時はスイッチングロッドに通して、径5.5mmと太めの金属カニューラを入れます。ただ5.5mmの金属カニューラは関節包を貫きにくいので、関節包の手前で止めておき、スイッチングロッドを抜いた後に、そのカニューラを通して慎重にビーバーメスを刺入して、メスで関節包を切開したあとで5.5 mmのカニューラを関節内まで進めていました。そして、カメラをスイッチして1番目のポータルが関節唇を貫いていないことを確認したのちに、1番目のポータルからメスを入れ、ポータル間の関節包を切開。その後で、1番目のポータルの方も5.5 mmカニューラに入れ替えます。そして、ここが味噌だと思うのですが、5.5mmカニューラを通してシェーバーを入れます!(ちょっと強引ですが、実際にはシェーバーを入れながら、金属カニューラを抜き気味にして、シェーバーの根本まで下げます)。シェーバーを抜くときは逆に金属カニューラを関節内に入れるようにしてシェーバーを引っ張る。アブレーダーは通らないですが、RFプローブやアンカー刺入の道具、アースロピアスやノットプッシャーもこの5.5mmのカニューラを通るので、ヘラを使わなくても道具の出し入れがスムーズで、縫合までこのカニューラで行けます!縫合はラッソーループなどは使わずにシンプルなマットレススーチャーを使用していました。カニューラの手前でピアスで1本糸をつかみ、そのままカニューラを通して関節唇を貫いてる間に、助手がもう1本の糸にノットプッシャーを通してモスキートを付けておく。これで軸糸がどちらになるかも迷わずに縫えます。

カメラや股関節鏡用デバイスはスミス&ネフューとストライカーの両方を使用していました。極力RFプローブは使わないようにされているとのことで、recessの郭清もシェーバーのみで、そんなに徹底しては行わず、シェーバーで臼蓋縁の骨が触れられるくらいになった段階でアブレーダーにスイッチしています。AIISの位置を中心に、内側は腸腰筋ノッチまでの範囲でacetabuloplastyを行うと話されていました。関節唇縫合に使用するアンカーはスミス&ネフューのもので、一番いい位置にまず挿入し、1個ずつ縫合しています。ノンスライディングノットで4回結んでいましたが、3回同じ方向に結び、4回目で逆にしていました。そして1個のアンカーで縫ったら、関節唇のスタビリティーをその都度確認し、OKなら終了。足りなければもう1個アンカーを追加、というように極力少数のアンカーで済むように縫合しています(だいたい1個か2個のアンカーで充分なスタビリティーを得られています)。関節唇を縫合したら牽引を解除するので、1-2個の縫合なら牽引時間も短くて済みます。

ついで、Camの切除へ。Camの切除はまず伸展・内旋位のままMid Anterior portalからの鏡視で Antero-lateral portalから外側のCam(Superior Cam)を削ります。関節唇からアブレーダー2個分くらい離れたあたりから、骨頭の球面の状態を確認しながら、球面状のカーブでなくフラットになっていればそこはCamと判断して削っていきます。もちろん、Bumpになっていれば当然削ります。ですのでSuperior Camは、場合によっては伸展位でも関節唇のすぐ脇から削るような形になるケースもあります。

次にカメラをスイッチして、前方のCam(Anterior Cam)を削ります。この時は股関節を45度以上屈曲させた状態で、関節唇のすぐ脇のところから削り始めていました。最後にSuperior CamとAnterior Camの間が残るので、そこを充分にチェックしつつ、ノーマルネックの谷までなだらかに削っています。ときどきCam側が肩のHill-Sachs lesionのように潰れていたり軟骨損傷があったりするケースもありました。

股関節鏡手術は大抵がデイサージェリーで、手術当日から歩かせて、帰れそうなら同日に帰宅します。なので、術直後から理学療法士が介入し、帰宅後の生活に対する指導を行います。具体的には、3週間くらいは一応、ロフストランド杖を持ってもらう(最初は2本)ことと、深屈曲だけは避けるように指導しているようです。荷重制限は行っていませんでした。

昔、肩の先生でbiceps killerと呼ばれる先生がフランスにいたそうですが、今でもフランスでは二頭筋長頭腱炎ではためらわずに二頭筋長頭を切離しています。それと同様に自分はpsoas killerかもしれない、とBonin先生はおっしゃっていました。Nogier先生のところにも腸腰筋腱の痛みの方が結構いらしていましたが、Bonin先生もそういう方には腱切離を鏡視下に行っています。Nogier先生は関節内で切離していましたが、Bonin先生は小転子部で切離します。最初に透視を見ながらカメラと鉗子を小転子の頂点まで、腸腰筋の下をくぐるようにして骨に沿って持っていき、そこでカメラを見ると上に腸腰筋腱が見えるので、そのままRFプローブでバッサリです。5分程度で手術は終了し、術後はしっかりストレッチを指導するとのことでした。時々、術後に足を挙げにくい方がいるようですが1ヵ月もすればしっかり挙げられるようになるとのことです。この手術はTHA後のpsoas impingement などで何年も苦しんでいる患者さんが一瞬で良くなるのですごいよ!と何度も話されていました。ちなみによくあるスポーツ選手の内転筋腱の痛みもなかなか取れない時は切っちゃうようです。鏡視下腸腰筋切離のポータルはMid-anterior portalとproximal mid-anterior portalの2つで、外旋位にするのがポイントのようです。

またNogier先生と同じように大転子部でのスナッピングヒップの症例に対しては、鏡視下に腸脛靭帯を切除するという手術も行っておりました。Nogier先生は楕円形に大きく切除されていましたが、Bonin先生は後方に凸の三角に切除するのが良いとおっしゃっています。あまり引っかからない前方の繊維は残すようにしているようです。

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↑ 病院の外観です。

 

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Bonin先生たちが開業したのはLyon-Ortho-Clinicですが、隣のClinique de la Sauvegardeの病棟と手術室を他科の先生たちと共同で使っています。

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↑棚形成の中の透視画像と使用しているT型プレート。

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↑股関節鏡時の牽引。足部だけに牽引力がかからないように。

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↑小転子部での鏡視下腸腰筋切離。

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↑ISAKOS期間中には産業医大・内田宗志先生たちが手術見学に来てくださいました。

 

第4回与次郎駅伝 (佐々木研)

2015年7月19日,秋田市千秋公園周辺において開催された第4回与次郎駅伝に参加しました.われわれ秋田大学整形駅伝部は4チームを職場対抗の部にエントリーしました.1人2.6kmのコースを1チーム4人でたすきをつなぎます.与次郎駅伝には2年ぶりの参加となりましたが,大会の規模も以前よりさらに大きく,レベルも上がった大会となっていました.職場対抗の部には約170チームがエントリーし,スタートの風景は駅伝とは思えぬ人だかりとなっていました.島田教授夫妻の熱いご声援も受け走った結果は・・Aチームは入賞には届かず13位,Bチームも18位と健闘しました.Cチームは44位,Dチームは78位でした.下記は各チーム・個人の結果です.(カッコ内:区間順位)

 

秋大整形駅伝部A 42分15秒 第13位

1区 岩本陽輔 11:20(62)

2区 根本 晃 10:22(17)

3区 成田裕一郎 10:56(15)

4区 佐々木 研 9:37(6)

 

秋大整形駅伝部B 44分06秒 第18位

1区 齋藤 光 10:51(49)

2区 山田 晋 11:24(34)

3区 小林 志 10:41(10)

4区 高橋靖博 11:10(35)

 

秋大整形駅伝部C 48分00秒 第44位

1区 長谷部 亘 9:42(23)

2区 長幡 樹 11:22(33)

3区 飯田純平 13:53(94)

4区 湯浅悠介 13:03(100)

 

秋大整形駅伝部D 51分40秒 第78位

1区 竹島正晃 10:39(43)

2区 河野哲也 13:09(96)

3区 冨岡 立 13:27(82)

4区 加賀 望 14:25(124)

 

個人別 与次郎ランキング

1位 佐々木 研 9:37

2位 長谷部 亘 9:42

3位 根本 晃 10:22

4位 竹島正晃 10:39

5位 小林 志 10:41

6位 齋藤 光 10:51

7位 成田裕一郎 10:56

8位 高橋靖博 11:10

9位 岩本陽輔 11:20

10位 長幡 樹 11:22

11位 山田 晋 11:24

12位 湯浅悠介 13:03

13位 河野哲也 13:09

14位 冨岡 立 13:27

15位 飯田純平 13:53

16位 加賀 望 14:25

 

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平成27年第112回東北整形災害外科学会 (河野哲也)    東北整災野球大会 (杉村祐介)

2015年7月17日、18日 福島市で第112回東北整形災害外科学会に参加してまいりました。

 

東北7大学学生セッション

今回から初めて行われることとなった、目玉セッションの一つになります。

東北7大学から学生が一人ずつ演題を披露するもので、本大学からは6年生の原田俊太郎くんが大役を務めてれました。秋田大学の演題は「秋田大学整形外科における学生リクルートの現状と成果」と、他大学とは一線を画した発表内容でした。受賞はなりませんでしたが、秋田大学整形外科の勢いを顕示してくれた素晴らしい内容だったと思います!一緒に働ける日が楽しみです。

東北整災

 

 

 

 

 

 

河野哲也

平成27年7月17~18日に福島市で、第112回東北整形災害学会が開催されました。今年も学会早朝に親善野球大会が行われ、我がノーザンデーモンズも日整会野球出場をかけ熱戦を繰り広げてきました。

【メンバー】

監督 島田洋一教授

1番 大内賢太郎(センター)

2番 千田秀一(ショート)

3番 加茂啓志(レフト)

4番 齊藤英知(サード)

5番 奥寺良弥(ファースト)

6番 杉村祐介(キャッチャー)

7番 関展寿(ピッチャー)

8番 本郷道生(ライト)

9番 嘉川貴之(セカンド)

控え 河野哲也、益谷法光、水谷嵩、木村竜太

 

【試合結果】

秋田大学(ノーザンデーモンズ)5 – 9 山形大学

 

初回、ノーザンデーモンズの打線がつながり、先制の4点をあげました。昨年までのキャプテン大内賢太郎先生は、今年はバッターに専念し、見事チーム史上初となる柵越えホームランを放ちました。しかし、山形大学に逆転を許してしまい、残念ながら敗退という結果となりました。勝利には投手陣や守備面の強化がまだまだ必要です。

来年は野球部出身の有望な若手医師が2名入局予定です。新たな時代を向かえ、是非とも悲願の日整会野球大会出場を目指し、準備していきたいと思います。

今回の大会にご尽力頂いた皆様、早朝から応援に駆けつけてくださった皆様、誠にありがとうございました。

来年も頑張りましょう!

2015東北整災野球

ノーザンデーモンズ主将 杉村祐介

出羽・阿賀リウマチフォーラム (杉村祐介)

平成27年6月27日、新潟市で出羽・阿賀リウマチフォーラムが開催されました。

この研究会は今回、初の開催で、秋田からは島田洋一教授率いるAORA医師15名と、中通総合病院のリウマチ診療に関わるナース、検査技師合わせ総勢21名で参加してきました。

 

研究会の前には、新潟県立リウマチセンターの見学の機会を設けていただきました。リウマチセンターは2006年に設立された公立病院で初めてのリウマチ専門病院です。特徴の一つが『連携』です。整形外科医と内科医の診察室が隣り合わせで、すぐに相談ができる環境となっています。診察室が円形に配置されているのにも驚きでした。また医師、看護師、リハビリスタッフとの情報交換も密に行われています。さらに、院外連携として、サテイラトクリニック(協力病院)との連携体制も構築されており、病状が安定している患者は、診療所などの地域の医療機関をかかりつけ医とする機能分担がなされています。もう一つの特徴は『教育』です。入院病棟では治療のための入院のほか、リウマチの教育入院も行っており、医師だけでなく、他職種からアドバイスを受けられる内容となっています。また、院内、外来などで患者向けのリウマチ講義も定期的に開催されています。さらに地域住民に対しての市民公開講座にも力を入れており、教育への意識の高さに感銘を受けました。

 

研究会においては、一般演題に、中通総合病院看護師の熊谷久美子さんが「総合病院における看護師の役割」、新潟県立リウマチセンター看護師の瀧澤夏樹さんが「関節リウマチ患者における疾患活動性と栄養状態の関連」、中通総合病院検査技師の佐々木由香さんが「当院における関節超音波検査の現況」、新潟県立リウマチセンター看護師の漆山由美子さんが「当院のフットケアの取り組みについて」を発表されました。それぞれの施設のスタッフの取り組みを知ることができ、リウマチ診療に対してお互いに刺激を受けることができたと思います。

教育講演では、新潟県立リウマチセンター副院長の伊藤聡先生が「高齢関節リウマチ患者におけるエタネルセプトの有用性」をご講演されました。高齢リウマチ患者に対する生物学的製剤の選択は日常診療でも非常に慎重になるところですが、新潟県立リウマチセンターの実臨床でのエタネルセプトのデータをご紹介頂き、普段疑問に感じているところの答えを得られる内容で大変勉強になりました。

特別講演では、我らが秋田大学大学院整形外科学講座の島田洋一教授が「リウマチ性脊椎障害と骨粗鬆症」をご講演されました。頚椎手術変遷の歴史から、生物学的製剤で脊椎病変進行を抑制できるかという最新のトピックスまで幅広く教えて頂きました。リウマチ患者の生命予後を左右する頚椎病変について、注意を払うべき頚部の動作指導などコメディカルにも分かりやすい内容についてもご講演頂き、リウマチ患者の頚椎病変の重要性を多くの人が認識できたのではないかと思います。

 

研究会の後には、新潟県立リウマチセンター、AORA合同でコメディカルスタッフも含め懇親会を行いました。新潟県のお酒もとてもおいしく、ざっくばらんな話しもでき、大いに盛り上がりました。

 

新潟県立リウマチセンターの勢いに負けずに、今後AORAも活動をさらに発展させていけるよう、頑張りたいと思います。

 

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杉村祐介

第48回日整会骨・軟部腫瘍学術集会 (鈴木真純)

7月10日、香川県高松市にて行われました、日整会骨・軟部腫瘍学術集会、特別研修会のご報告です。骨軟部腫瘍の診療に携わるにあたり、基本であり必修となる事項を習得する貴重な講演でした。特に会の冒頭で話されていた、この講演が行われるようになって以降、間違った初期対応で取り返しのつかない状況になるケースが減少してきたという言葉が印象的でした。

最初の御講演は、埼玉県立がんセンター整形外科部長 眞鍋 淳先生の「骨腫瘍の治療」でした。はじめの総論では腫瘍の種類に応じた、保存療法の適応・手術・科学療法・放射線治療に関することが中心で、実際に初診から治療までの一連の流れを経験することの少ない自分にとっては大まかな流れを確認できる良い機会となりました。次に、良性骨腫瘍・原発性悪性骨腫瘍・転移性骨腫瘍の治療に関するもので、これも各腫瘍の特徴最近の動向も交えて御講演されておりました。こちらも、所々を断片的な知識程度にしか知らなかった重要事項が満載であり、改めて勉強になりました。

次の御講演が、東京医科大学整形外科教授 西田 淳教授による「軟部腫瘍の診断」でした。序盤は2013年のWHO分類の改訂の話に始まり、好発年齢・腫瘍の良悪性による好発部位、組織学的悪性度など、序盤から自分の勉強不足を痛感する内容でした。この御講演の中でも治療に関して(主に手術治療を中心に)のお話がありましたが、あくまで診断の重要性に重きを置く内容が強調されておりました。後半では、もはや診断には必須とも言える、CT・MR・PET検査・エコーなどの画像診断における各検査の目的、見所などを詳しくご高説頂きました。最後に診断の最重要とも言える生検・病理診断に関しては、あくまで熟練した診断・評価能力が必須であり、次に行われる切除術を意識した対応が必要であることが理解出来ました。

最後に、御講演頂いたお二人の先生が共通しておっしゃっていた、『骨軟部腫瘍は患者の生命に直結する分野であり、不用意な生検が治療結果を左右する。』という言葉がこの会において最も印象に残りました。短時間の研修でしたが、少ない機会かもしれませんが日常診療で、今までと違った姿勢で腫瘍の診療に臨もうと考える十分なきっかけになったと思います。

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AORA セミナー 2015 (宮本誠也)

平成27年7月10日にAORA祭り(AORAセミナー)が開催されました.平成22年7月に,地域格差のない標準医療を目的として設立され5年という節目を飾る盛大な会でした.平日にもかかわらず,参加者が140名以上とこれまでの研究会の常識を覆し伝説をつくりました.

冒頭の目玉はとして準備したのが,真っ赤な法被です.島田教授から,「伝説作りに必要なサプライズ」=「気合の入った赤の法被(はっぴ)」であろうとの一言.専門の業者さんと色,形,デザインを検討しました.学会発表準備よりも時間と頭を使いました.教授と二人で登場した時の会場の雰囲気は,二度と経験できない(?)体験でした.

一般演題1は,中通総合病院の看護師・熊谷久美子さんから総合病院における看護師の役割について,一般演題2は,同病院の検査技師・佐々木由香さんから関節超音波の導入についての発表でした.

特別公演1では,谷村一秀院長(北海道内科リウマチ科病院)に「RA診療における関節エコー検査の有用性」について,基礎から応用までご講演いただきました.引き続き特別公演2では,前日本リウマチ学会理事長の小池隆夫北大名誉教授から「リウマチ診療−過去・現在・未来−」と題してご講演いただき,<関節の腫脹>をいかに評価するかが重要であることを学びました.

AORAの活動を振り返ると,たった5年間で周囲に追いつき,もうすぐ追い越せるところまできました.小池名誉教授からいただいた,「秋田のRA患者さんたちは本当に幸福だ」を心の糧に活動を続けます.

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第2回こまち疼痛を考える会 (尾野祐一)

第2回こまち疼痛を考える会が秋田ビューホテルで開催されました。

一般演題1では市立秋田総合病院の若林育子先生から「下血を合併した腰椎椎間板ヘルニアの1例」を発表していただきました。消化器内科医のアンケート結果や文献報告をふまえ、症例ごとの鎮痛薬の使い分けを提示していただき、臨床現場で非常に役立つ内容でした。

一般演題2では能代厚生医療センターの安藤滋先生から「急性腰背部痛を主訴に整形外科を受診した大動脈解離の3例」を発表していただきました。外来でよく遭遇する腰背部痛患者の中に、整形外科疾患ではなく、他科領域の疾患、特に大動脈瘤や大動脈解離など緊急性を要するような疾患が隠れていることを提示していただき、普段の臨床現場でも注意しなければならないと改めて強く認識させられました。

特別講演は山梨大学整形外科の江幡重人准教授から「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」についてご講演頂きました。椎間孔部での神経根障害を疑う際の画像所見のポイントや頚部脊髄症患者に腰椎病変を合併例が多いこと、またO-armを用いたPPS挿入の様子などを提示していただき、大変興味深い内容でした。腰部脊柱管狭窄症に関して基礎的なこと、定義や診断方法、保存治療、手術治療、手術を勧める際の基準など、分かりやすく教えていただき大変勉強になりました。この会で学んだことを普段の臨床現場でも活かしていければと思います。

 

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秋田大学整形外科大学院 尾野祐一