月別アーカイブ: 2019年11月

第9回秋田県骨粗鬆症学術セミナー (阿部和伸)

初雪が降り、冬将軍の到来を目前に控える2019年11月23日、「第9回秋田県骨粗鬆症学術セミナー」が秋田ビューホテルで行われました。

一般演題では、中通総合病院整形外科科長の尾野祐一先生に「アジュバント誘発関節炎ラットの続発性骨粗鬆症と関節炎に対するエルデカルシトールとイバンドロネートの効果」、医療法人久幸会今村記念クリニック院長の田村康樹先生に「血清Ca、iPTH、25(OH)DおよびeGFRの変動から考えるエディロール内服の有用性について」という演題でそれぞれご講演いただきました。尾野先生は大学院で取り組まれた基礎研究、田村先生は日常診療と並行して行われた臨床研究によって得られた貴重な成果を発表してくださいました。

特別講演では熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座教授の宮本健史先生をお招きし、「骨粗鬆症の病態の理解に基づく治療法の選択肢」という題でご講演いただきました。骨粗鬆症のメカニズムを深く考察され、そこから新たな治療標的を見出した過程、そしてその結果に基づく治療戦略を学び、大変勉強になりました。骨粗鬆症の病態をしっかり理解し、それぞれの患者さんに合った治療を提供したいと改めて感じました。

今後も日々進歩を続ける骨粗鬆症治療の知識をアップデートし、病態に基づいた最適な治療を行えるよう精進していきたいと思います。

第3回日本リハビリテーション医学会 秋季学術集会(井上純一)

 

2019年11月15日〜11月17日の3日間、第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が静岡で開催されました。本学会はリハビリテーション科のみならず、整形外科を含め、多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。

秋田大学からも総勢7名が参加しました。2020年6月に京都で日本リハビリテーション医学会学術集会を秋田大学が主幹で開催する予定で、今回は発表の場というだけでなく、準備段階としても非常に重要なものとなりました。

島田洋一教授は特別講演をはじめ、ランチョンセミナー、座長とご活躍されていました。秋田大学の脊椎手術の歴史や動向、リハビリテーションロボットの開発など現在の秋田大学整形外科を全国に発信されていました。講演後は質問も多数あり、活発なご討議となっておりました。

その他、来年の東京パラリンピックに関する内容や再生医療に関するリハビリテーションの内容もあり、最新のトピックを学ぶ非常に良い機会となりました。

学会全体を通して、非常に多くの分野からの発表があり、自分の今後の診療・研究を行う上で、視野を広げることになったと思います。この経験をしっかり活かしていきたいと思います。

整形外科市民公開講座 2019 ロコモティブシンドロームを知ろう!! 〜健康寿命は骨で決まる〜  (河野哲也)

 

2019年11月9日秋田市文化会館小ホールにて,「整形外科市民公開講座 2019 ロコモティブシンドロームを知ろう!!〜健康寿命は骨で決まる〜」が開催されました.

まず,宮腰尚久准教授より「健康寿命と骨」と題して基調講演をいただきました.健康寿命の定義や,平均寿命に対する健康寿命の差が8〜10年あることについてご紹介いただき,健康寿命延伸の妨げとなる原因としては,骨粗鬆症と関連がある慢性疾患が増加してきており,背中が曲がると負の連鎖が生じるため,最初の1個目の骨折を防ぐことが重要であり,セルフチェックの方法としてarm spanについてもご説明いただきました.また,最新の知見として,高齢になってから運動を始めても,運動経験が豊富なアスリートと同程度に筋肉量が増えるという研究結果をご紹介いただき,聴衆の皆さんにとっても今後の運動へのモチベーションになったのではないかと思います.

続いて,秋田テレビ杉卓弥アナウンサーに総合司会を務めていただき,パネルディスカッションが行われました.コーディネーターを,もりた整形外科医院森田裕己先生,秋田大学整形外科 粕川雄司先生,パネリストとして,秋田赤十字病院 石河紀之先生,大曲厚生医療センター 阿部利樹先生,工藤整形外科医院 工藤透先生,いしがき整形外科クリニック 石垣智先生,中通総合病院 佐々木香奈先生に務めていただきました.会の最初に「ロコモを知っている方は?」と会場の皆様に確認した際,9割以上の方が手を挙げており,意識の高さに驚きました.パネルディスカッションでは,ロコモについて,チェック方法,ロコモの対策等についてご説明いただきました.また,会の途中には実際に現役で運動をしていらっしゃるお二方に登壇いただき,運動を継続する秘訣,健康のために意識していることなどについて,お話いただき,大変盛り上がりました.

2000年から始まった本回は,今回で第25回となります.今後秋田県はさらなる高齢化が予想されます.この市民公開講座が,1人でも多くの方がロコモティブシンドロームを理解され,健康で生き生きとして生活が送れるようなお手伝いとなれば幸いです.最後に,この場をお借りしましてご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます.

第53回日本側彎症学会(本郷道生)

このたび群馬県高崎市で11月8日~9日に開催された『第53回日本側彎症学会学術集会』に参加しました.学会長は榛名荘病院 群馬脊椎脊髄病センター長の清水敬親先生が務められました.学会テーマは,“全脊椎を様々な角度から眺めてみよう!”で,小児・成人・頚椎の3本柱を軸にした講演,シンポジウム,セッションが組み合わされたプログラムでした.この3本柱のそれぞれの国内外のエキスパートによるご講演や,総演題数204題の発表があり,また学会のpre meeting sessionとして乳幼児症例検討会も開催されました.秋田からは,宮腰尚久准教授,秋田厚生医療センターの小林孝先生,医療療育センターの三澤晶子先生と私の計4名が参加しました.

5つのシンポジウムが組まれ,英語シンポジウム「脆弱骨への対応」では宮腰准教授が,「骨脆弱性を有する脊椎のマネージメントにおける未解決の問題」と題してご講演し,国内外のエキスパートとの英語でのディスカッションで,脆弱骨への技術的な対策から薬物治療まで,まさにメインテーマに沿った多角的な議論がなされていました.また,三澤先生がシンポジウム「これからの側弯症健診と健診システム」で,「側弯症検診のこれから~運動器検診の問題点」として,秋田県の現状を踏まえた検診のあり方を述べ,ディスカッションでは様々な意見が出されて熱い議論となりました.私は背筋運動療法による2年以上経過観察例のX線計測結果についてポスター発表しました.他には,世界のエキスパートによるWorld Symposium,頚椎変形,成人脊柱変形のシンポジウムでは最先端の研究の発表があり,その間でセミナー,一般演題,ポスターセッションが組まれ,随所に学会長の清水先生の工夫がみられる内容の濃い学会でした.

学会場であるビエント高崎は,広々としつつコンパクトにまとまり,またアクセスも良くて学会に集中できる快適な環境でした.また全員懇親会では,榛名荘病院スタッフや,事務局として学会を仕切る榛名荘病院の井野正剛先生(大曲厚生医療センター,井野剛志先生のお父様)みずから,オールブラックスのハカの余興が披露され大変な盛り上がりをみせ,おもてなしの気持ちが伝わる素晴らしい学会でした.

日本側弯症学会は長い歴史があり,年々演題数も増えて規模も大きく内容も多岐に渡ってきており,今後秋田からもさらに演題を出していけるよう研鑽を深めたいと思います.

第29回日本リウマチ学会 北海道・東北支部学術集会に参加して(三浦隆徳)

2019年11月2日(土)~3日(日)につがる総合病院リウマチ科の浦田幸朋会長のもと青森市で開催された第29回日本リウマチ学会 北海道・東北支部学術集会に参加して参りました。

本学会は、「免疫療法を俯瞰する」というテーマのもと開催され関節リウマチ、膠原病だけでなく、近年自己抗体製剤が開発されている喘息などのアレルギー疾患などについても講演がなされていたのが印象的でした。同門からは柏倉Director、浦山先生、相澤先生、櫻場先生、青沼先生、杉村先生、河野先生、私が発表させて頂き、AORAレジストリーの解析や自施設の経験など多彩な知見を発信してきました。特に、最近AORAで取り組んでいる「漫然と」ステロイド投与しないことを目的とした演題が多く、ステロイドを中止できない症例や、その要因、ステロイド性骨粗鬆症予防治療の推移などの発表は他県の先生方にも十分PRできたのではないかと思われます。

盛会に終わった本会ですが、来年は秋田主幹で開催されるとのことでしたので、臨床知見を蓄えて微力ながら貢献できるように精進していきたいと思いました。