第60回秋田県整形外科医会報告(木村竜太)

第60回秋田県整形外科医会報告

秋田赤十字病院整形外科 木村竜太

 

11月22日に第60回秋田県整形外科医会が開かれました。毎回、最優秀演題賞目指して一般演題とYoung Doctors Session(10年目以下)で熾烈な争いが繰り広げられています。さらに今回は秋田大学整形外科の各グループからこれまでの成果、ならびにこれからの展望をシンポジウム形式でご講演いただき、さらに特別講演2題と盛り沢山の内容でした。私はYoung Doctors Sessionとシンポジウムについて報告させていただきます。

 

今回、Young Doctors Sessionは10演題の発表がありました。

 

「初診時 MRI で異常所見を認めなかった化膿性脊椎炎の 1 例」

秋田厚生医療センター 佐藤千晶先生

「診断に難渋した下垂足の 1 例」

雄勝中央病院 長幡樹先生

「血栓溶解療法が奏功した急性上腕動脈閉塞の 1 例」

秋田労災病院 飯田純平先生

「転位のない橈骨骨幹部骨折 2 例の治療経験」

市立横手病院 湯浅悠介先生

「観血的整復固定を行った肩上方懸垂複合体(SSSC)損傷の症例検討」

由利組合総合病院 高橋靖博先生

「CT を用いた Garden stage 読影法の検討」

山本組合総合病院 岩本陽輔先生

「TKA の出血対策としてトラネキサム酸の投与方法で差があるのか」

市立大森病院 塚本泰朗先生

「下肢手術における超音波ガイド下ブロック持続時間の検討」

市立秋田総合病院 尾野祐一先生

「脳原性疾患の痙性尖足に対する治療経験」

秋田県立医療療育センター 河野哲也先生

 

その中で最優秀演題賞をいただくことができました。演題名は「超音波ガイド下頚椎神経根ブロック」です。これは「X線透視下に頚椎椎間板造影をした時に欲しかった安心感」+「腰椎神経根ブロックで痛みが治まったという患者さんの笑顔(ブロック直後には一時嫌われます)」+「斜角筋間でC5、C6ブロックをしていた時の『あれ?他の神経根も見えるからそれぞれブロックしてみればいいんじゃない?』という興味」から生まれました。少しコツをつかめば神経や血管が見えて、効果も得られます。今後整形外科の治療において有用な方法になっていくと考えます。今後はより簡便な手技の確立と、腰椎神経根ブロックへの応用を目標にして参ります。

発表の指導をいただきました秋田赤十字病院の先生方、本法の試案を検討いただきました秋田労災病院の先生方、超音波ガイド下ブロックの基本を教えていただきました市立秋田総合病院の先生方にこの場をお借りして感謝を申し上げます。シンポジウムではAORA(関節リウマチ)、A-BONE(骨粗鬆症)、AHG(手)、AHRG(股関節)、AFG(足)、AIMG(イリザロフ)、AMAG(動作解析)、ASG(脊椎)の8グループの各Directorから御講演いただきました。各グループの詳細は秋田大学整形外科学講座ホームページのトップページからアクセスできますので、そちらに譲らさせていただきます。これだけsystematicなグループ化は全国的にみても稀だと思います。さらに、それぞれのグループが共同でも研究を行っており、これから秋田県の整形外科はもっともっと発展していくこと間違いなしと感じさせていただいたシンポジウムでした。