第9回秋田県足の外科・創外固定研究会(村田昇平)

2018年11月24日に第9回秋田県足の外科・創外固定研究会が開かれました.一般演題からは9題,そして特別講演として奈良県立医科大学救急医学・高度救命センター講師前川尚宣先生から「重度四肢外傷に対する初期治療・再建の実際〜安全確実な再建を目指して〜」という内容で,また獨協医科大学埼玉医療センター第一整形外科主任教授大関覚先生から「Ilizarov法を応用した下肢機能再建術」という演題にてご講演いただきました.

一般演題では県内の重度外傷や,変性疾患に関する治療への専門的な治療の発表があり,各病院の先生から活発な討論がありました.秋田大学整形外科の得意とするIlizarov創外固定の有用性や神経ブロックをまとめた発表などとても勉強になりました.
またミニレクチャーとして「足関節果部骨折」という内容で男鹿みなと市民病院の柴田暢介先生にご講義いただきました.果部骨折に対する様々な最新の知見,具体的な技術をご教示いただき,これからの診療に非常に役立つ内容でした.

特別講演Ⅰの前川尚宣先生からは数々の衝撃的な重度四肢外傷,見事な治療や再建術をこれでもかというくらい多数ご教授いただきました.前川先生はマイクロサージャリー,Ilizarov創外固定など多数の分野に極めて精通されており,大変刺激的な内容でした. 前川先生が後輩の指導で大事にされていることは「プランニング」であることや,「本当にトレーニングをつんだ外科医にしかできない重症な症例は多くない. 基本事項の積み重ねで多くの症例に対応できる.」という言葉には,大変感銘を受け,今後の自分の症例との向き合い方に是非とも活かして行きたいと思いました.

特別講演Ⅱでは大関覚先生が,股関節,膝関節,足関節,距骨下関節,足部の高度変性疾患をIlizalov創外固定を用いて,達人技で加療された症例を多数ご教示いただきました.直立2足歩行には「等張性 ,アライメント ,関節の可動性,安定性」が大事であるという言葉からご講演は始まり,患者さんに満足した歩行をしてもらうためには何が大事なのかということを大変熱心にご講義いただきました.先生の豊富な経験や,知識によって立案されたIlizalov創外固定のストラテジーは,興味深い内容ばかりで,非常に勉強になりました.Ilizalov創外固定の盛んな秋田大学整形外科の一員として,今後の加療に是非とも活かしていきたいです。

最後になりますが,本研究会で学んだたくさんのことを今後の日常診療に役立て,より邁進していきたいと思います.