頚椎人工椎間板 (石川慶紀)

頚椎椎間板ヘルニアや頚髄症には,これまで頚椎前方固定術が行われてきました (下図).病巣を切除し固定することで,症状は改善しますが,手術固定部位の動きが制限されます.長期的にみると,固定した病巣の隣接関節への負担が増加し,続発病変が出現することがあるということがその問題点のひとつとされております.

前方固定手術

有名アーティストの方が,海外で頚椎人工椎間板手術を受けられましたが,現在,日本でもその手術が承認され,国内手術が実施可能となっております.頚椎人工椎間板では手術部の動きを維持することが可能となり,上記で述べた,隣接関節への障害を低減させる事が期待されております.

人工椎間板手術

海外での使用実績は長く,術後5年成績では,①頚部痛による活動制限 ②再手術率 ③X線の異常 ④神経症状の悪化 ⑤合併症などが頚椎前方固定術と比較され,治療成績は同等ですが,隣接関節の変性に関しては少ないと報告されております.

適応は,椎間板ヘルニアや骨のとげのいずれかを伴う神経/脊髄の圧迫で,頚椎の形が悪い症例には適応が限られますが,年齢制限はありません.

秋田大学ではジンマーバイオメット社製のMobi-C®人工椎間板をおこなう事ができます.現在,全国9箇所のプロクター施設という限定施設において本手術が可能です.プロクター施設に関しては,以下のホームページでも確認ができます.

http://www.jssr.gr.jp/topics/files/topic180718_1.pdf

 

当院手術症例も術後経過良好です.適応が限られるところはありますが,少しでも多くの方に新しい治療法,良好な手術成績をお届けできればと考えております.手術希望のある方がおられましたら,来院,ご相談いただければと存じます.