月別アーカイブ: 2022年9月

東日本整形災害外科学会(岡本憲人)

9月16日から17日にかけて第71回東日本整形災害外科学会がグランドプリンスホテル高輪を会場に開催されました。一般演題はweb登壇、主題やシンポジウム、アウォードセッションは現地登壇という形式で行われ、秋田大学からも多くの先生がご参加されており、首下がり・腰曲がり治療の最前線というシンポジウムでは宮腰尚久教授が座長を務められました。また先日入局したばかりの大曲厚生医療センターの東條元旗先生、長岡佑樹先生も一般演題で発表されており、今後ますますの活躍が期待されます。

筆者はケースシリーズアウォードで現地参加して参りました。同年代の先生方の発表を拝聴し非常に刺激となりました。今後の研究・臨床に活かしていきたいと思います。

来年は北海道旭川市での開催が予定されております。現地参加できるよう毎日の診療に取り組んでいきたいと思います。

第11回秋田・札幌整形外科合同セミナー(小滝優平)

令和4年9月10日第11回秋田・札幌整形外科合同セミナーが開催されました。

コロナ禍での開催に伴いオンライン形式での開催となりました。

一般演題は札幌医科大学側から、札幌医科大学の杉憲先生から「肩関節の機能と解剖を踏まえた治療戦略」同じく札幌医科大学の輿村慎一郎先生から「当科における膝前十字靭帯損傷の治療」以上2題の発表がありました。

続いて秋田大学側から2題、秋田大学の木村竜太先生より「さまざまな病態に合併する仙腸関節障害へのアプローチ」、羽後病院の益谷法光先生より「秋田県における非定型尺骨骨折に対する治療の現状」に関して発表していただきました。実臨床における最近の取り組みから基礎的な研究まで、多岐にわたる発表を拝聴することができました。

特別公演1では「迷わない骨粗鬆症と骨粗鬆性大腿骨近位部骨折治療―AO分類やVancouver分類はコストがかかりすぎ⁉―」という演題で、秋田大学整形外科木島泰明先生よりご講演いただきました。前半はインプラント選択に有用なAkita分類を中心に、後半は実際の症例をご提示いただき大腿骨近位部骨折の治療戦略に関してご教授いただきました。有限要素によるバイオメカ的な領域から実臨床の領域まで幅広くご講演頂き、症例数の多い大腿骨近位部骨折に対す知識を深めることができました。

特別公演2では札幌医科大学寺本篤史先生から、「変形性足関節症の治療戦略~骨粗鬆症を含む保存治療から手術治療まで~」に関してご講演をしていただきました。変形性足関節症の治療戦略について田中高倉分類にあわせた保存療法、骨切り術、鏡視下関節固定術、人工関節術など関し実臨床でのデータを含めてご教授いただきました。専門性の高いイメージであった変形性足関節症の治療戦略について分かりやすく明快に示していただき、明日からの診療に役立つ知識を勉強することができました。

上肢下肢脊椎にわたる幅広い領域に関して勉強することができ、とても有意義なセミナーとなりました。オンラインの開催となったためセミナー後恒例の懇親会を催すことは残念ながら叶いませんでしたが、未来の懇親会で有意義な討論が可能となる様に日々研鑽を積む所存です。

第8回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会(大屋敬太)

2022年8月27日に第8回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会が開催されました。

本会に先立ち、12時から秋田市にぎわい交流館AUを会場に、モデルボーンを用いたハンズオンが開催されました。前線で活躍する先生方からの手厚い指導のもと、関節鏡や膝・肩人工関節、膝周囲骨切り術の手術手技を体験できるという、コロナ禍始まって以来の一大イベントになりました。筆者は他病院勤務の予定があり、現地の熱気を拝むことは叶いませんでしたが、専攻医のみならず研修医や学生の参加もあり大盛況だったようです。若き駿馬の皆さんが、すこしでも興味を持ってくれると嬉しいですね。

本研究会は塚本泰朗先生の座長のもと、スポーツに関するシンポジウムから始まりました。藤井昌先生はプロスポーツ選手の診療についての発表で、LINEを活用した情報の共有や教育方法が印象的でした。三浦隆徳先生はTHA後のスポーツについて、冨手貴教先生はTKA後のスポーツについての発表で、インプラントに対する衝撃の度合いから各スポーツを3つに分類し、術後に何なら可能なのか等を詳細にレクチャーくださいました。手術を考えている患者さんに説明するうえで大変役立つ内容でした。杉村祐介先生は肩の画像診断とスポーツについて、瀬川豊人先生はリハビリとスポーツ復帰についての発表で、それぞれ、どの肢位で撮影し、タイトネスなどをどう評価するのか、リハビリでどこまでの訓練が可能になったらどの運動を許可できるのか等、具体的に学ぶことができました。自分もここ数カ月の間、右肩の四辺間隙などが痛み可動域が低下していたので、実践したく思います。

続いて木島泰明先生の座長のもと、赤川学先生のミニレクチャーが始まりました。TKAの周術期管路の、真の最小侵襲についての講義でしたが、これは聞いていた方、特に若手の先生方にはかなり勉強になったのではないのでしょうか。執刀する医師によって手法が違うと感じていた筆者の気持ちを代弁するような事前のアンケート結果を踏まえ、文献を紹介しつつ当たり前のように行われているカクテルなどの根幹に踏み込んで解説していただき、とても知識が深まりました。

最後は齊藤英知先生の座長のもと、大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座教授・国際医療センター長、中田研先生から「スポーツ運動器疾患のSaMD開発研究に向けて:ハードウェアからソフトウェアまで」の題名で特別講演をしていただきました。

半月板縫合の新規器具の開発のような、医療機器開発の話に始まり、大阪大学で行われた大学生のウェアラブルデバイスによる歩数の分類や動向など、ここ秋田県に長く暮らしている身としてはもはや近未来を感じさせるほどの眩しい内容でした。自分もGPS搭載の歩数や高度などがわかるランニング用の時計を持っていますが、そのようなウェアラブルデバイスでデジタル医療に活用できそうな研究を思いつくことに驚かされました。

自分はアナログ世代だからなどという言い訳はせずに、新しいものをどんどんと吸収したくなる研究会でした。ご講演くださった先生方には心より感謝を申し上げます。