月別アーカイブ: 2022年1月

整形外科書道部部長、齊藤英知先生の作品が「第44回瀾の会書展」に展示されました(2022年1月21―23日アトリオン2F美術展示室)

2021年10月から宮腰尚久先生が秋田大学大学院整形外科学教室の教授にご就任され、秋田大学整形外科学教室開闢以来、初の文化部である「書道部」が設立されることになりました。この度、初代部長に選出されました齊藤英知です。書道部の活動指針として「本書道部の目的は、文化的な活動「書」を通じて人間の尊重と人格の形成を育み、整形外科への学生の勧誘とその育成すること」と定めました。

なぜ、書道を始めようと決心したかといえば、現在47歳となるまでスポーツと運動器疾患に関わる診療を行って参りましたが、何か芸術的素養も研鑽したいという思いを以前からずっと抱いておりました。そこで、以前からご縁がありました長沼雅彦先生(秋田大学名誉教授、書道、現秋田県書道連盟理事長)に2021年9月より師事することに致しました。

書の練習は、週1回、お手本を頂き、週末の時間のある時に集中して書くことしかできませんでしたが、この度、初めての作品を本書展に展示して頂けたということで非常に嬉しく、また、普段とは違った達成感を得ることができました。

展示していただいた作品は2点です。いずれも長沼雅彦名誉教授にお手本を頂き書き上げました。

作品解説

作品1 「池春芳竹合庭午落花閑」いけはるにしてほうそうがっしていごにしてらっかかんなり(池のほとりは春めいて芳しい草葉は繁り、ちょうど昼下がりに花が静かに散り落ちている)

明代の易恒という詩人の作品のようです。フォントは隷書といって後漢の時代に形作られた書体で、波磔 (はたく)と言って、波のようにうねって見える線が特徴で、一文字一波磔というルールがあります。

作品2 「人盡楽」ひとたのしみをつくす(この3文字の意味は、人それぞれ感じることは異なると思いましたが、私は、コロナ禍の閉塞した世の中で、この2年間、いろいろと不自由で我慢する生活を強いられてきた中で、唯一、自分が楽しいと思えることを行い盡すことで、自らの魂が自ずと救われる、という意味に捉えました。)

作品の制作・出展後の感想

何か作品を作るにはある一定の情熱(エネルギー)が必要でした。書にむかっている間は、たとえ数時間でも集中し無になることができました。多忙ではありましたが、生活に一定の潤いや豊かさを与えてくれました。そのことがまた周囲に人々に活力をあたえたように思えました。書展をわざわざ見に来てくれた医学部の学生さんもいたと伺いました。ぜひ整形外科(書道部)を選択して欲しいところです。次回の出品は4月と10月を予定しております。部員はいつも募集中です。最後に、一言付け加えますと、秋田県の習字教育では、書友社という会社から毎月出版されている「書友」という雑誌があり、退職された教職員の先生方が制作し、この本を元に現役の教員が小・中学生に教育されてきました。自分もよくこの雑誌をみて育ちました。雑誌「書友」では、優秀作品が写真付きで掲載され、同級生なのにすごく上手な字を書く人がいるんだなと思った記憶があります。10級からはじまり、昇段していきます。10段まで昇段すると最後は「天」「地」「人」の位があり、「天」は最上級者のみが与えられる「書友」誌上最優秀の証でもあります。宮腰尚久教授は「天」まで至ったと伺い知りました。宮腰尚久教授は、秋田大学整形外科書道部の顧問でもあります。年末の書道練習会では、40年ぶりに筆をとり、一発勝負の書とのことでしたが、その運筆を見てシビれました。(齊藤英知)

第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会 若手リウマチ医奨励賞受賞者セッション 優秀賞受賞報告 (五十嵐駿)

2022年1月15日に行われた第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会の若手リウマチ医奨励賞受賞者セッションで私の演題が優秀賞に選出されました。

私の演題は「関節リウマチ患者における残存症状とロコモ25スコアおよびロコモ度との関連」であり、近年のトピックスである関節リウマチ患者の残存症状(薬剤による治療が十分行われているのにも関わらず残存してしまう痛みや倦怠感など)と、ロコモティブシンドロームの評価方法であるロコも25の点数や進行度との関連を調査したものです。

関節リウマチ患者はロコモティブシンドロームの原因疾患の一つでありますが、今回の研究により残存症状を認めるリウマチ患者はロコモティブシンドロームの合併が多く、リハビリテーションの介入が効果的となる可能性を提示致しました。

今後高齢化により高齢リウマチ患者に対する治療方針や、ロコモティブシンドロームへの取り組みの必要性は増していくと考えられます。そのような背景のもと本研究を開始し、その成果が由緒ある本学会において評価されたことは至上の喜びです。

宮腰教授をはじめ、AORAの先生方のご指導とご協力により私が代表して受賞できた賞だと思います。この場を借り、改めて皆様に感謝申し上げます。

今後はさらに研究を続け、その成果を論文として世に送り出すために今後も頑張ります。今後ともご指導何卒よろしくお願いいたします。

第15回東北MISt研究会 Best Discusser Award受賞報告 (木村竜太)

2022年1月23日、第15回東北MIST研究会が、当番世話人である福島県立医科大学ふたば救急総合医療支援センター兼整形外科学講座 渡邉和之先生のもとWeb開催されました。

前日の東北脊椎外科研究会に続いて、web開催です。

MIStという単語は、「Minimally Invasive Spinal Treatment」の略で、日本語では「最小侵襲脊椎治療」と言われます。

脊椎治療を、患者さんに、医療者に、そして社会にやさしい治療にできるよう考える場となっています。

秋田からは工藤大輔先生が「経皮的 self-tapping 椎弓根スクリューの安全性の検討 」を、私が「若手整形外科医の超音波ガイド下頚椎神経根ブロック習得の取り組み 」を発表いたしました。本演題は当大学の笠間史仁先生が企画してくれたものを、一緒にまとめたものになります。頚椎神経根ブロックも超音波ガイド下に行うことで、多くの患者さんに対して、安全で有益な治療を提供できていると感じています。超音波ガイド下神経ブロックを、整形外科医全員が行える安全で有効な手技に昇華させていけるよう、今後もハンズオンセミナーなどを定期的に継続してまいります。

特別講演は香川県立中央病院 整形外科 部長 生熊 久敬 先生から『 脊椎側臥位手術(single position surgery)の適応とコツ そして落とし穴について ( 骨粗鬆症例を含めて)』 と題してご講演いただきました。

側臥位手術は、LLIFと呼ばれる側方進入手術や、びまん性特発性骨増殖症(DISH)の椎体骨折などに有用と聞いていましたが、生熊先生の取り組みは、そのさらに何歩も先を行かれるような内容でした。安全に行うため、ナビゲーションの必要性もあると思いますが、ぜひ秋田でも取り組んでいきたい手術です。

また本会では優秀演題としてBest Presentation Awardがあり、今回「テリパラチドの椎弓根皮質骨・椎体皮質骨に対する影響 : 腰椎固定術患者における縦断的 CT 解析」 新潟大学の田中裕貴先生と、「DISHを伴う椎体骨折における、メイフィールド三点固定器を用いた体位の工夫 -前方開大予防、整復の試み-」 福島県立医科大学の小林洋先生が受賞されました。おめでとうございます。

もう1つの賞として、会で一番質問をした人に贈られるBest Discusser Awardがあり、今回私が頂戴することができました。本研究会は、脊椎外科医を志したきっかけの会であり、このような賞を頂戴できたことをとても嬉しく思います。

大変な状況で、中止される地方MISt研究会もある中、開催いただきました渡邉先生はじめ、関係の皆様に御礼申し上げます。