月別アーカイブ: 2023年3月

宮腰尚久教授就任祝賀会(小滝優平)

3月4日に宮腰尚久教授就任祝賀会が盛大に開催されました。

コロナ禍で開催時期が遅れてしまいましたが、この度開催できたことを教室の一員として大変嬉しく存じます。

未だコロナ禍ということもあり会場内は50人の人数制限の下の開催でしたが、学内外より多くの来賓の方々にご臨席賜り誠にありがとうございました。

【論文掲載報告】9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析 (北秋田市民病院 塚本泰朗)

この度, 9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析に関する論文がSensors (IF 3.847)に掲載されました.

Tsukamoto, H.; Saito, K.; Saito, H.; Kijima, H.; Akagawa, M.; Komatsu, A.; Iwami, T.; Miyakoshi, N. A Novel Classification of Coronal Plane Knee Joint Instability Using Nine-Axis Inertial Measurement Units in Patients with Medial Knee Osteoarthritis. Sens

ご指導いただきました宮腰尚久教授, 齊藤英知先生をはじめ, 臨床研究グループのメンバーにこの場を借りて深謝申し上げます.

変形性膝関節症は日本国内に約2530万人いると推計されており、痛みや可動域制限などのため日常生活に支障をきたし, 要介護の原因となりうる疾患です. 進行するとラテラルスラストと呼ばれる歩行時の膝の外側への横ぶれ現象を認め, ラテラルスラストは痛みや病期の進行度との関連が深い異常運動として整形外科医の間で一般的に知られています. 我々の先行研究にて, 9軸慣性センサと呼ばれるウェアラブルデバイスを下肢に装着して歩いてもらうだけで, ラテラルスラストを簡易的に定量評価する手法を開発しました(Hiroaki Tsukamoto, Kimio Saito, Toshiki Matsunaga, Takehiro Iwami, Hidetomo Saito, Hiroaki Kijima, Manabu Akagawa, Akira Komatsu, Naohisa Miyakoshi, Yoichi Shimada, Diagnostic Accuracy of the Mobile Assessment of Varus Thrust Using Nine-axis Inertial Meas). その研究の中で, 人間の目では捉えられないほど小さなラテラルスラスト(潜在的スラスト) が生じていることがわかりました.

そこで今回の研究では, 9軸慣性センサから得られる加速度データを用いて歩行時に膝に加わる慣性力の方向によって4つの歩行パターンに分類し, ラテラルスラストを歩行パターン間で比較検討しました. 結果は立脚初期に大腿および下腿に反対方向(内/外側)の加速度が生じている歩行パターンでは潜在的スラストが生じていることがわかりました. さらに, この異常な歩行パターンは従来のレントゲンでは異常を認めない早期変形性膝関節症患者に多く認められるという結果でした.

ウェアラブルデバイスはスポーツ現場から我々の日常生活まで広く浸透してきており, 整形外科分野においても臨床応用が期待されています. 将来的には, デバイスをつけて歩くだけで変形性膝関節症の重症度や予後判定ができるようなデバイスやアプリの開発につながることを期待して, 臨床と研究をバランスよく実践していきたいと思います。

第60回秋田県脊椎脊髄病研究会(渡辺学)

2023年3月4日秋田市にぎわい交流館AUで第60回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田赤十字病院の尾野祐一先生が務めておりました。Zoomと現地のハイブリッド開催となり少しずつ現地へ足を運べる回数が増えてきたように思われます。最近はコロナ感染も少しずつ落ち着いてきており3月中旬からはノーマスクが可能となり5月には5類となることが決まっております。今後も現地開催が増えることを祈っております。

研修医や若手整形外科への基礎講座として由利組合総合病院の菊池一馬先生、秋田大学医学部付属病院の工藤大輔先生、能代厚生医療センターの佐々木寛先生からそれぞれ出血への対応、硬膜損傷、髄液漏への対応、術後感染への対応をレクチャーしていただきました。脊椎外科を目指す研修医や若手の先生にはとても有意義かつ大事な内容であり、臨床に役立つ内容でした。

また今回は記念すべき第60回であり、記念企画として秋田大学医学部付属病院の本郷道生先生からこれまでの秋田県脊椎脊髄病研究会を振り返ってというお話をいただきました。第1回から現在まで、写真や懐かしいエピソードを交えたお話を聞くことができました。今後の展望も考えられており自分たちもその一員として成長していきたいと思いました。

一般演題は5題あり、珍しい症例や治療に難渋する症例の報告が多く、活発な議論がなされておりました。その中でも記念すべき第60回の最優秀演題賞に選ばれたのは、秋田赤十字病院の浅香康人先生でした「ブラウンセカール型の症状を呈した上位頚椎OPLLを伴う非骨傷性頚髄損傷の一例」についての報告であり、治療に難渋する症例で多くの意見が飛び交っておりました。

特別公演は稲波脊椎・関節病院院長の高野裕一先生より「脊椎脊髄疾患に対する内視鏡アプローチの最新のトピックス」についてご講演いただきました。ご自身の経験から早期離床の必要性を強く確認し内視鏡へ移行した経緯、従来法からMEDやLIFへの移行や注意点のお話、FESS(full-endscopic spine surgery)やUBE (unilateral biportal endoscopy)などに関する最新のお話などがあり大変興味深く拝聴いたしました。

来年にはさらにコロナ感染が落ち着き、第61回も現地の空気を感じながら開催されることを祈っております。ご講演いただいた先生方、本会開催に当たりご尽力いただきました方々に心より感謝申し上げます。