月別アーカイブ: 2023年12月

令和5年度 第3回秋田大学整形外科書納め会(中西真奈美)

12月30日、医局カンファレンス室にて秋田大学整形外科恒例の書納め会が行われました。

3回目となる今年、事前に部長の英知先生より示されたお題は「青雲之志」、「雲外蒼天」、そして「熊」です。朝9時より3時間一本勝負で、思い思いの書をしたためました。

早くから教授もいらっしゃり、華麗な立ち書道にてその達筆な腕前をご披露なさいました。蒼の字が難しいのだと仰っておりましたが、こちらが見惚れてしまうほどのスムーズな筆運び、やはり流石でした。迷いを感じさせない筆運びで大判半紙にしたためられた書は医局廊下に展示されておりますので、皆さんぜひご覧ください。

今年は木村竜太先生、笠間史仁先生、佐藤貴洋先生の恒例メンバーに加え、木下隼人先生にもご参加いただき、作品をしたためていただきました。やはり今年の秋田といえば「熊」だったのでしょう、先生方みな味のある「熊」の一文字を書いておられました。木村先生の「熊」は行書体でしょうか、ものすごく迫力があります。笠間先生は、部長兼師範の英知先生に篆書、隷書の筆運びを教えていただき、そのコツを掴んで素晴らしい「熊」をしたためておられました。英知先生より、みんな年を経るごとにレベルが上がっている!とのお褒めの言葉を頂きました。そんな部長は羊毛使いで圧巻の書をしたためておられました。

後半は、期待の新入局員、間杉健輔先生が来てくれました。筆を握るのは小学校以来だということですが、その堂々とした筆運びに教授、部長も唸りました。来年度からの仕事ぶりにも期待が高まります!(プレッシャーではありません)

かくいう私も高校生の選択授業以来、久しぶりに筆を握ることとなりましたが、やはり書道は難しいと感じました。英知部長に少しでも近づけるように、今後は精進して参ります。先日の御用納めでは大変な納まり方をしてしまっておりました。ご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした。本日、書でもってなんとか一年を納めることが出来たかもしれません…。

今年の作品は去年のものと一緒に、医局廊下に飾られております。このブログをご覧の皆さん、是非とも先生方の素晴らしい書を見に行かれてみてください。写真で見るのと実物を見るのとでは迫力も違いますし、作品ごとの“味”を感じられると思います。

来年はさらに多くの皆様のご参加を心待ちにしております。それではよいお年を。

Ramathibodi病院(タイ)研修(整形災害外科学研究助成財団トラベリングフェローシップ) (木村竜太)

2023年12月18日から22日の1週間、タイのマヒドン大学ラマチボディ病院で、脊椎外科の研修を行いました。秋田大学整形外科では宮腰尚久教授が日本脊椎脊髄病学会トラベリングフェローでラマチボディ病院を訪問して以来の交流が続いており、現在のchairmanのProf. Pongsthor Chanplakornの秋田研修以来、ここ数年で3名の脊椎フェローの先生が秋田に研修に来られていました。今回秋田からの独自フェロー訪問は初となりました。

ラマチボディ病院は、1023床のとても大きな病院で、さらに周囲の複数の病院と歩行者デッキで繋がっており、巨大な病院網が形成されていました。デッキ間を患者さんがゴルフカートで移動・搬送されているのは日本では見ることのない文化でした。うち整形外科は40床で実情全くベッドが足りていないため、現在は少し離れた分院として、 Chakri Naruebodindra Medical Institute (CNMI)が2017年から一般的な整形外科手術を担当しながら機能を分離しているそうです。今後もバンコク周囲に複数のラマチボディ病院の関連病院がオープン予定であり、バンコクの医療供給が全く間に合っていないことを実感いたしました(待機的脊椎手術は半年〜数年の待機になるそうです)。

外来見学では、日本と同様のシステムで診察を行なっていました。薬剤についても保険でのカバー比率が大きいため、基本的には適切な薬剤選択が可能とのことでした。始まりと終わりに「サワディークラップ」「コップンクラップ」と合掌しながら挨拶される様子は、どこか日本にも通じるものを感じました。

3年前に秋田に研修に来てくれたDr. PilanのCNMIへ訪問し手術を見学することもできました。Dr. Pilanがスタッフドクターとして独り立ちし、秋田の手術技術を取り入れながら治療をしていることを伺い、とても嬉しく思いました。手術はFED-IL(全内視鏡下椎間板摘出術 椎弓間アプローチ)とXLIF(腰椎側方進入椎体間固定術)の見学をしました。XLIFはDr. Pilanにとって初めての一人手術ということで、サポートに入ったことをとても喜んでくれました。無事終えることができ、海外でこのように協力して手術を行うという貴重な経験をすることができました。

Pilanの初めてのXLIFを一緒に終えて。

その夜はDr.Plianの実家に泊まらせていただきました。素晴らしい豪邸で、建築コンサルティング業をしていらっしゃるお父さんから日本としてきた仕事についてのお話をいただけたのもとても楽しかったです。

また5月に来てくれたDr.Issaraも秋田での経験をもとに、現在治療にあたっていることを伝えに来てくれました。秋田に行って本当によかったと言ってくれたことが、何よりのお返しでした。

ディープなタイを案内してもらいました。

転移性脊椎腫瘍に対する除圧固定では、透視なしでスクリュー刺入が行われていました。私達は当然のように透視を使っていることを見つめ直す機会となりました。現在は使われていないものの、Rama spine system(RSS)という独自の脊椎手術システムの抜釘の機会があり、ロングプレートを用いた整復は矢状面、環状面ともに素晴らしい成績でした。またシニアドクターのDr.Ganはタイで初めてFESS(全内視鏡下脊椎手術)を導入され、その多くの経験をもとに、FED ILとendo-TLIF(全内視鏡下腰椎経椎間孔椎体間固定術)の手術を見せていただきました。とても丁寧な手術で、多くの学びを得ることができました。

正面法のみで腰椎ブロックを行っていたので、斜位法を伝えてきました。

脊椎のインプラントとして、通常の医療保険で賄えるのが一世代前のインプラントになる、椎体間ケージは1椎間1つまで、神経モニタリング使用できない(追加の支払いが発生)などの制限があるなか行われている手術を拝見し、我々が国民健康保険によって大きな利点を得られていること改めて実感しました。

また、整形外科には常に30名ほどのレジデントと、10名前後のフェローがいてとても活気がありました。

送別会にて。
トゥクトゥクも初体験。現地人はしっかり値引き交渉してから乗っていました。

マヒドン大学とは、今後も相互交流を継続していきたいと考えます。そして、2024年3月には今回多くの案内をしてくれたDr. Sorasekが秋田に来てくれる予定です。実りの多い研修となるよう準備して参ります。

最後にこのような機会をいただき、誠にありがとうございました。この経験をもとに今後も一層精進してまいります。

令和5年度整佑会総会・第19回整佑会特別講演会/秋田大学整形外科忘年会(森下耀/中西真奈美)

2023年12月9日、令和5年度整佑会総会、第19回整佑会特別講演会、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。忘年会は2019年以来4年ぶりの開催となりました。ご多忙の中、ご出席いただいた方々に感謝申し上げます。

整佑会総会では、秋田厚生医療センターの原田俊太郎先生、雄勝中央病院の村田昇平先生が整佑会奨励賞を受賞され、受賞記念講演をしていただきました。
その後、整佑会特別講演会が開催されました。まず、秋田大学の白幡毅士先生より、「手外科と外傷整形外科の二刀流」と題してご講演いただきました。手外科と重度外傷についての実際をお話していただきました。手術はもちろんですが、リハビリにも情熱を注がれており、若手への教育にも精力的で、胸が熱くなる発表でした。次に秋田県立医療療育センター三澤晶子先生から「女性整形外科医としての歩み〜小児・側弯症診療までの道のり」と題してご講演いただきました。先生の今までの歴史と秋田県における側弯症治療・取り組みの変遷をご教授していただきました。第一線で働く女性整形外科お話もいただき、秋田大学では女性整形外科医が増えてきていますので、大変参考になりました。

最後に、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。関連病院院長先生や多数のご来賓の先生方のご出席を賜り、リハビリスタッフや病棟看護師も多くご出席いただきました。はじめに宮腰尚久教授、1病棟8階内山文子師長からご挨拶をいただきました。整佑会長の渡部英敏先生の乾杯の音頭で忘年会が開宴しました。今年は医局活性化大賞、スポーツ大賞、文化藝術大賞の表彰がありました。医局活性化大賞は中通総合病院、大曲厚生医療センター、市立横手病院が受賞されました。スポーツ大賞はボディビルの浅香康人先生、文化藝術大賞は書道の齊藤英知先生が受賞されました。おめでとうございます。部活動の活動報告動画や浅香先生のボディビルパフォーマンス、ビンゴ大会などがあり、盛大な忘年会となりました。最後には本郷道生教授の乾杯で中締めをし、忘年会の幕を閉じました。今年も100名を超える多くの先生方にご出席、ご協力いただき、4年ぶりの忘年会を無事開催することができました。改めて、幹事一同心より感謝申し上げます。

来年もよりよい一年となるよう邁進してまいりますので、引き続きご指導の程よろしくお願いいたします。

第14回秋田県足の外科創外固定研究会(浅香康人)

12月に入って急激に寒さが増し、県内全域で積雪を認め一気に冬らしくなりました。12月2日、パラパラと音を立てて大粒の雪が降る中、秋田拠点センターアルヴェで第14回秋田県足の外科創外固定研究会が開催されました。数年ぶりに現地開催となったこともあり、外の寒さとは裏腹に会場内では熱く活発な議論が交わされました。

一般演題では井上純一先生からは「混合性組織結合病患者に生じた難治性皮膚潰瘍の1例」、関展寿先生からは「外反母趾を合併した第2中足骨短縮症に対し観血的治療を行った1例」、河原木剛先生からは「VAFによる軟部再建を要した下腿開放骨折の1例」、高橋靖博先生からは「中足部の結核性骨髄炎・リスフラン関節症に対して内側列固定をした1例」、野坂光司准教授からは「重度四肢外傷における一時的創外固定の現状と未来」という演題でそれぞれご講演いただきました。普段経験することのない症例が多く、大変勉強になりました。野坂准教授のご講演は特別講演ばりの内容であり、外傷治療の変遷および今後について詳細にご解説いただきました。

またミニレクチャーとして湯浅悠介先生から「橈骨遠位端骨折におけるplate選択」について解説していただきました。日常診療で出会う機会の多いcommon fractureであり、治療方針決定の際の疑問点解決に繋がる内容でした。

特別講演では日本の骨折治療におけるスーパースター、寺田忠司先生(福山市民病院整形外科)より「膝周囲、下腿、足関節骨折症例から考える髄内釘治療の利点と限界」という演題でご講演いただきました。下肢の外傷症例に対する治療戦略を非常に分かりやすく解説していただき、またそのあまりにも完璧な術後写真にフロア一同驚愕しました。間違いなく秋田県の骨折治療のレベルアップに直結した濃密な1時間であったことと思います。

ご講演いただきました先生方、研究会の運営に携わっていただいた方々には深く感謝申し上げます。