投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

Ramathibodi病院(タイ)研修(整形災害外科学研究助成財団トラベリングフェローシップ) (木村竜太)

2023年12月18日から22日の1週間、タイのマヒドン大学ラマチボディ病院で、脊椎外科の研修を行いました。秋田大学整形外科では宮腰尚久教授が日本脊椎脊髄病学会トラベリングフェローでラマチボディ病院を訪問して以来の交流が続いており、現在のchairmanのProf. Pongsthor Chanplakornの秋田研修以来、ここ数年で3名の脊椎フェローの先生が秋田に研修に来られていました。今回秋田からの独自フェロー訪問は初となりました。

ラマチボディ病院は、1023床のとても大きな病院で、さらに周囲の複数の病院と歩行者デッキで繋がっており、巨大な病院網が形成されていました。デッキ間を患者さんがゴルフカートで移動・搬送されているのは日本では見ることのない文化でした。うち整形外科は40床で実情全くベッドが足りていないため、現在は少し離れた分院として、 Chakri Naruebodindra Medical Institute (CNMI)が2017年から一般的な整形外科手術を担当しながら機能を分離しているそうです。今後もバンコク周囲に複数のラマチボディ病院の関連病院がオープン予定であり、バンコクの医療供給が全く間に合っていないことを実感いたしました(待機的脊椎手術は半年〜数年の待機になるそうです)。

外来見学では、日本と同様のシステムで診察を行なっていました。薬剤についても保険でのカバー比率が大きいため、基本的には適切な薬剤選択が可能とのことでした。始まりと終わりに「サワディークラップ」「コップンクラップ」と合掌しながら挨拶される様子は、どこか日本にも通じるものを感じました。

3年前に秋田に研修に来てくれたDr. PilanのCNMIへ訪問し手術を見学することもできました。Dr. Pilanがスタッフドクターとして独り立ちし、秋田の手術技術を取り入れながら治療をしていることを伺い、とても嬉しく思いました。手術はFED-IL(全内視鏡下椎間板摘出術 椎弓間アプローチ)とXLIF(腰椎側方進入椎体間固定術)の見学をしました。XLIFはDr. Pilanにとって初めての一人手術ということで、サポートに入ったことをとても喜んでくれました。無事終えることができ、海外でこのように協力して手術を行うという貴重な経験をすることができました。

Pilanの初めてのXLIFを一緒に終えて。

その夜はDr.Plianの実家に泊まらせていただきました。素晴らしい豪邸で、建築コンサルティング業をしていらっしゃるお父さんから日本としてきた仕事についてのお話をいただけたのもとても楽しかったです。

また5月に来てくれたDr.Issaraも秋田での経験をもとに、現在治療にあたっていることを伝えに来てくれました。秋田に行って本当によかったと言ってくれたことが、何よりのお返しでした。

ディープなタイを案内してもらいました。

転移性脊椎腫瘍に対する除圧固定では、透視なしでスクリュー刺入が行われていました。私達は当然のように透視を使っていることを見つめ直す機会となりました。現在は使われていないものの、Rama spine system(RSS)という独自の脊椎手術システムの抜釘の機会があり、ロングプレートを用いた整復は矢状面、環状面ともに素晴らしい成績でした。またシニアドクターのDr.Ganはタイで初めてFESS(全内視鏡下脊椎手術)を導入され、その多くの経験をもとに、FED ILとendo-TLIF(全内視鏡下腰椎経椎間孔椎体間固定術)の手術を見せていただきました。とても丁寧な手術で、多くの学びを得ることができました。

正面法のみで腰椎ブロックを行っていたので、斜位法を伝えてきました。

脊椎のインプラントとして、通常の医療保険で賄えるのが一世代前のインプラントになる、椎体間ケージは1椎間1つまで、神経モニタリング使用できない(追加の支払いが発生)などの制限があるなか行われている手術を拝見し、我々が国民健康保険によって大きな利点を得られていること改めて実感しました。

また、整形外科には常に30名ほどのレジデントと、10名前後のフェローがいてとても活気がありました。

送別会にて。
トゥクトゥクも初体験。現地人はしっかり値引き交渉してから乗っていました。

マヒドン大学とは、今後も相互交流を継続していきたいと考えます。そして、2024年3月には今回多くの案内をしてくれたDr. Sorasekが秋田に来てくれる予定です。実りの多い研修となるよう準備して参ります。

最後にこのような機会をいただき、誠にありがとうございました。この経験をもとに今後も一層精進してまいります。

令和5年度整佑会総会・第19回整佑会特別講演会/秋田大学整形外科忘年会(森下耀/中西真奈美)

2023年12月9日、令和5年度整佑会総会、第19回整佑会特別講演会、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。忘年会は2019年以来4年ぶりの開催となりました。ご多忙の中、ご出席いただいた方々に感謝申し上げます。

整佑会総会では、秋田厚生医療センターの原田俊太郎先生、雄勝中央病院の村田昇平先生が整佑会奨励賞を受賞され、受賞記念講演をしていただきました。
その後、整佑会特別講演会が開催されました。まず、秋田大学の白幡毅士先生より、「手外科と外傷整形外科の二刀流」と題してご講演いただきました。手外科と重度外傷についての実際をお話していただきました。手術はもちろんですが、リハビリにも情熱を注がれており、若手への教育にも精力的で、胸が熱くなる発表でした。次に秋田県立医療療育センター三澤晶子先生から「女性整形外科医としての歩み〜小児・側弯症診療までの道のり」と題してご講演いただきました。先生の今までの歴史と秋田県における側弯症治療・取り組みの変遷をご教授していただきました。第一線で働く女性整形外科お話もいただき、秋田大学では女性整形外科医が増えてきていますので、大変参考になりました。

最後に、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。関連病院院長先生や多数のご来賓の先生方のご出席を賜り、リハビリスタッフや病棟看護師も多くご出席いただきました。はじめに宮腰尚久教授、1病棟8階内山文子師長からご挨拶をいただきました。整佑会長の渡部英敏先生の乾杯の音頭で忘年会が開宴しました。今年は医局活性化大賞、スポーツ大賞、文化藝術大賞の表彰がありました。医局活性化大賞は中通総合病院、大曲厚生医療センター、市立横手病院が受賞されました。スポーツ大賞はボディビルの浅香康人先生、文化藝術大賞は書道の齊藤英知先生が受賞されました。おめでとうございます。部活動の活動報告動画や浅香先生のボディビルパフォーマンス、ビンゴ大会などがあり、盛大な忘年会となりました。最後には本郷道生教授の乾杯で中締めをし、忘年会の幕を閉じました。今年も100名を超える多くの先生方にご出席、ご協力いただき、4年ぶりの忘年会を無事開催することができました。改めて、幹事一同心より感謝申し上げます。

来年もよりよい一年となるよう邁進してまいりますので、引き続きご指導の程よろしくお願いいたします。

第14回秋田県足の外科創外固定研究会(浅香康人)

12月に入って急激に寒さが増し、県内全域で積雪を認め一気に冬らしくなりました。12月2日、パラパラと音を立てて大粒の雪が降る中、秋田拠点センターアルヴェで第14回秋田県足の外科創外固定研究会が開催されました。数年ぶりに現地開催となったこともあり、外の寒さとは裏腹に会場内では熱く活発な議論が交わされました。

一般演題では井上純一先生からは「混合性組織結合病患者に生じた難治性皮膚潰瘍の1例」、関展寿先生からは「外反母趾を合併した第2中足骨短縮症に対し観血的治療を行った1例」、河原木剛先生からは「VAFによる軟部再建を要した下腿開放骨折の1例」、高橋靖博先生からは「中足部の結核性骨髄炎・リスフラン関節症に対して内側列固定をした1例」、野坂光司准教授からは「重度四肢外傷における一時的創外固定の現状と未来」という演題でそれぞれご講演いただきました。普段経験することのない症例が多く、大変勉強になりました。野坂准教授のご講演は特別講演ばりの内容であり、外傷治療の変遷および今後について詳細にご解説いただきました。

またミニレクチャーとして湯浅悠介先生から「橈骨遠位端骨折におけるplate選択」について解説していただきました。日常診療で出会う機会の多いcommon fractureであり、治療方針決定の際の疑問点解決に繋がる内容でした。

特別講演では日本の骨折治療におけるスーパースター、寺田忠司先生(福山市民病院整形外科)より「膝周囲、下腿、足関節骨折症例から考える髄内釘治療の利点と限界」という演題でご講演いただきました。下肢の外傷症例に対する治療戦略を非常に分かりやすく解説していただき、またそのあまりにも完璧な術後写真にフロア一同驚愕しました。間違いなく秋田県の骨折治療のレベルアップに直結した濃密な1時間であったことと思います。

ご講演いただきました先生方、研究会の運営に携わっていただいた方々には深く感謝申し上げます。

第38回日本臨床リウマチ学会 参加報告(小林志)

2023年11月18日と19日の両日、北九州国際会議場を中心に開催された第38回日本臨床リウマチ学会に参加してきましたので、ご報告させていただきます。

秋田からは、私、柏倉先生、櫻場先生が参加し、私は高齢RA患者と機能障害についての演題を発表してきました。

この学会は、日本リウマチ学会より小規模で、臨床に関連した演題が多く、より実践的な話が聞けるのが魅力です。

学会の中で、整形外科医のシンポジウムがあり、その中で議題になったのが、「整形外科リウマチ医の存続」でした。40歳以下の整形外科医のリウマチ専門医が少なく、学会員も少ない現状が提示されていました。身体機能の障害が主であるリウマチ症例は、われわれ整形外科医による治療への介入は必須ですので、AORAとしても、後進のDr育成を重視したいと考えております。

今回は、われわれ50歳以上のおじさんのみの参加でしたが、リウマチに少し興味があれば、来年のご参加をご検討いただければと思います。ちなみに、第39回の学会は、2024年11月18日と19日にアクトシティ浜松で行われます。

第57回日本側彎症学会学術集会(尾野祐一)

2023年11月10~11日に大阪で開催された、第57回日本側彎症学会に参加しました。今回の学会会場は大阪市中央公会堂で、1918年に完成後、100年以上の歴史がある建築物で、国の重要文化財にも指定されています。外観・内装ともに壮麗な雰囲気があり、いつもの学会会場とは一味違った雰囲気を味わいました。秋田脊椎グループからは、工藤先生、若林先生、私の3人が特発性側弯症の手術、側弯症検診、成人脊柱変形の疫学についてそれぞれ一般演題で発表しました。

「山田・井上メモリアルレクチャー」での伊東学先生の講演では、側弯症を専門とする女性医師の日本代表として三澤先生の顔写真が紹介されていたのが印象的でした。特発性側弯症は10代女性に多い疾患で、病態によっては年単位で通院してもらうことが必要です。患者サイドから考えると、女性医師の需要の高い分野といえますが、側弯症を専門とする女性医師が少ないのが課題となっています。

秋田でも、脊椎・側弯症を専門とする女性医師が増えるよう今後取り組んでいきたいと思います。

第7回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(佐藤貴洋)

2023年11月3日から5日まで宮崎県のシーガイアコンベンションセンターにて第7回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が開催されました.本会には粕川准教授,河野先生,木村先生,飯田先生,小滝先生と参加致しました.夏季集会ほどではありませんでしたが,リハビリテーションの学会ということもあり,多職種の方々が多く参加し盛り上がりをみせておりました.

粕川准教授は教育講演を担当され,脊髄疾患患者におけるフレイル,サルコペニア、ロコモに関して熱くご講演されておりました.そして本会では遂に小滝先生が学会発表デビューを果たしました.普段通り堂々とした佇まいで立派に発表をしておりました.小滝先生と同じセッションには末梢神経ブロックを用いたリハビリテーションに関してご講演されている先生がおりました.自分自身も研究している内容でとても興味深く拝聴させて頂きました.

夜の同門会は,牛,鶏,芋焼酎など宮崎らしい料理を楽しみました.私自身会期中体調が優れず,観光できませんでした.宮崎は神が宿る町ということで名所も多く,また別の機会に遊びに来たいなと思いました。.

今回でリハビリ学会は2回目の参加でした.今回学べたことを今後も研究に生かしていき,学位論文へとつなげていきたいと思います.今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

第86回秋田書道展一般一科 「特選」を受賞して(齊藤英知)

この度、2023年10月28日から11月1日まで第86回秋田書道展(秋田魁新報社主催)が秋田市中通のアトリオンで開催されました。

秋田書道展は県内最大の書道展で、小学生から一般までを対象としており、書道展は学生と一般の部で応募総数は1984点。入賞220点、入選120点が審査により決まりました。一般には一科と二科があり、ざっくり言うと作品の紙の寸法の違いです。一科の方が大きく(横2尺縦8尺:天井からぶら下げるサイズ)、二科はいわゆる条幅サイズ(掛け軸にちょうどいいサイズ)です。比較的決められた約束の範囲内で作風を出せる「自運漢字」と古典を似せて書く「臨書漢字」があります。その他にも「自運かな」「臨書かな」「調和体(近代詩文)」「篆刻・刻字」などのジャンルもあります。賞については、一科では上から、「推薦」「特選」「秀作」「褒状」「入選」があり、「推薦」を3回受賞すると書道の先生を名乗ってもいいとされている「無鑑査」として出品が許されます。最高賞である「魁星賞」はこの「無鑑査」として出品された作品から審査され2点が選出されます。「魁星賞」を3回受賞すると「招待」に格上げになります。

2021年に秋田大学整形外科書道部の初代部長を拝命し、2021年9月から瀾の会という教室に通い、長沼雅彦秋田大学名誉教授のご指導の下、書道のいろはを習い始めました。2022年1月に行われた「第44回瀾の会書展」で、人生初の書展に出品し、書道部としての活動の第一歩を記したことを整形外科ブロクでご紹介させて頂きました。その後、地道に活動を続け、昨年(2022年)の第85回秋田書道展では「秀作」を受賞。今年(2023年)に入って6月の第65回秋田県美術展覧会では特賞(最高賞)を受賞し、県内の書道家の先生がたから熱い応援とプレッシャーをかけられる中の今回の出品となりました。私は昨年同様に一般一科「自運漢字」というカテゴリーに挑戦しました。題材は、「四体書勢」という書論です。Wikipediaによれば、『四体書勢』(したいしょせい)は、西晋衛恒撰。古文・篆書・隷書(八分・行書・楷書の3書体を含む)・草書の4書体について名筆家を列挙したあとに、各書体の起源・書法・逸話などの内容を記述したもの。草書が篆書・隷書と並んで一体をなし、重要な書体としての地位を確立していることが分かる。また、曹喜邯鄲淳韋誕蔡邕の漢代の名人の書の特徴と優劣を論じている[28][38][67][70][71]と記載されています。今回も、長沼先生にご指導戴き、隷書として作品といたしました。作品としては以下となります。

令隷人佐書曰隷字漢因行之濁符

印璽幡信題署用篆隷書者篆之掟

也上谷王次仲始作楷法

四体書勢の一(節) 英知書

今回から主審査の先生が交代になり、石飛博光さんになりました。石飛さんは、北海道出身の方で、東京学芸大書道科で学ばれた大家で、「詩文書」の創作に特に尽力されてきた先生です。本書展では「調和体」というジャンルに当たります。受賞作も行草書、詩文書風の作品が並ぶなか、隷書での受賞は自分一人でした。これは昨年の受賞された作品と特徴を異にしており、主審査員が変わるということは、受賞作の傾向もずいぶんと変わることを実感しました。そのような中でも、「特選」に選ばれたということで、逆に展示場では目立っておりました。今回は、賞状ならびに盾も授与されております。

秋田大学整形外科は、島田洋一前教授のご指導の下、スポーツに秀でた選手が数多く入局してくれ、その情熱で全国に誇れる業績を出し、非常な発展を遂げて参りました。書道部顧問でもある宮腰尚久教授の下では、さらなる発展と人材育成、教育も兼ねて、整形外科開闢以来初となる文化部である書道部を立ち上げました。若手の新進気鋭の脊椎外科医の笠間史仁先生は、筆さばきがよくなると手術の電気メスさばきもよくなった「電気メスの先に神経が通った」と述べております。佐藤貴洋先生は、昨年の筆納め会に出席して、「一生懸命に字を書すことで、心が研ぎ澄まされる感じがして非常に良かった。」と述べています。参加者にとって書道との対峙の仕方はまさに多様性があり、我々秋田大学整形外科は、多様性のある医局として、意欲と好奇心に満ちた若手の先生方と一緒にこの整形外科という分野を盛り上げていきたいと考えております。

秋田大学整形外科書道部は、いつでもご興味ある先生方をお待ちしております。

表彰式の様子

中央:小松紫峯先生(高校のときに芸術の授業で書道を教えてくださった)と再会しました(30年ぶり)。高校の時に授業で書道を学んでいつか本格的にやってみたいという気持ちがどこかにあったのかも知れません。

右:嶋野青城先生(自運かな推薦受賞)。今回はダブル受賞。小松書道教室のエース書道家。

ASBMR紀行2023(大屋敬太)

去る2023/10/13、我々秋田大学A-BONEグループは、世界的な骨代謝学会として名高いASBMRに向けて旅立ちました。国内線とは異なる搭乗手続きに内心戸惑っていたのか、コートをその場に忘れて保安検査を通過して、館内放送で呼び出されるという小事件から幕を開けました。まずは秋田から羽田へ飛び、国際ターミナルの江戸小路で最後の日本食を噛み締め、開催地のバンクーバーに向けて出国。

決意新たな粕川准教授、岡本先生、渡辺先生

十分に眠気を蓄えていたつもりでしたが全然寝付くことができず、一方、機内食でビールを頼んでいた粕川准教授は熟睡しており、到着前から海外学会の経験値の差を感じたのでした。機内で食べたのが夜食なのか朝食なのかわからないでいるうちに、長かったフライトが終わりバンクーバーに降り立ちました。寝不足以外は順調と思っていましたが、われわれ大学院生のポスターがいつまで待っても運ばれてきません。ポスターの無いポスターセッションという悲劇的なビジョンが脳裏を一瞬よぎりましたが、スーツケースとは別部門の床に置かれている(転がっている)ことが判明しひと安心。次からはスーツケースの中に入れようと心に決めました。

現地時間は、ASBMR開催日の前日の昼下がり。ホテルに着いて一息ついた後は観光がてらに街を歩き、アメリカンなステーキハウスで最初の食事をとることにしました。そこは「グラム」表記の無い、「オンス」の世界。親しみの無い単位に量の想像ができていない我々は図らずもフードファイトをすることとなり、岡本先生に至っては、なんと肉だけで600gを超える皿と格闘しておりました。味は大層美味しく、また付け合わせの野菜もとにかく大きく、明日以降の学会に向けエンジンは満たされたのでした。

付け合わせのポテトも巨大!

ASBMR開催日当日、ホテルから歩いて海沿いの会場へ。なぜか自分の参加証だけ文字化けしておりましたが、証明書とASBMRのロゴ入りのバッグを獲得。地下の売店にはパーティーグッズのような派手なシルクハットまで売られており、まさに骨代謝のお祭り。ポスター会場にはそこかしこにボードが用意されておりましたが、明らかに小さすぎるポスターが貼られていたり、縦向きに貼られて下にはみ出していたりと、セッションも含めてとても自由な雰囲気でした。粕川准教授のポスターセッションを傍で見守り、一仕事終えたあとは海に面したレストランで海鮮に舌鼓を打ちました。

受付後の記念写真

粕川准教授のポスターセッション

会場近くの海沿いの通りは非常に賑わっており、犬の散歩をする人やベビーカーを押す家族連れだけではなくランナーも非常に多く、カナダのジョギングシューズ事情をそれとなく知ることができました。かくいう私は、革靴は持参せずにアシックスのゲルカヤノとオンのウォータープルーフしか持って来なかったのですが、今出張を通じて足の痛みとは無縁でした。

蒸気時計の周りには観光客が大勢

名物と言われるガスタウンの蒸気時計を見届けたあとは、カナダ在住の現地ガイドさんとビール醸造所を巡りました。なんとこのガイドさんは、バンクーバーのガイドブックの執筆者でもあり、バンクーバー独特の交通機関の使用法や、本に載っていない店の情報をたっぷり教えて頂きました。電車やバスで移動し、クラフトビールの醸造所であるRed Truck Beer、Main Street Brewing、R&B Aleの3店舗に連れて行ってもらい、バンクーバーのビールをこれ以上ない程満喫することができました。

1件目で飲み比べセット(Flight)を注文

ビールを堪能しつくした翌日は、岡本先生と渡辺先生と私のポスターセッションのため再び会場へ赴きました。会場の配置は偶然にも渡辺先生と私が向かい合い、さらにお互いの隣に日本人の先生がおり、予想外に日本語で情報交換会をすることとなり、コロナ禍の研究事情や他の先生方の研究の内容など、非常に有益なお話を聞くことができました。また粕川准教授が留学していた際の恩師であるMohan先生にも自分の研究をプレゼンする機会をいただき、アクリジンオレンジの有用性について身振りを混じえてお話ししました。拙い言語にもかかわらずポスターの図表と要点から汲んで理解してくださったMohan先生や、興味を持って質問してくれた他の海外の先生にも感謝です。

われわれが大学院生になってから初の海外学会は、長いようであっという間に終わりを迎え、美味しかった数々の料理を思い浮かべながらバンクーバーを後にしました。お土産はやはり鮭とメープルシロップ。またも浅い眠りを繰り返してフライトを過ごして日本に到着。このまま日本整形外科学会基礎学術集会に向かわれる岡本先生と粕川准教授と別れ、私と渡辺先生は秋田に帰りました。国際学会で発表するという、一人では決して叶わないような素晴らしい機会を与えていただいた、宮腰教授をはじめとするA-BONEグループの先生方、右も左も分からない我々を導いてくださった粕川准教授、われわれが不在の間の業務を担っていただいた大学の先生方には最大限の感謝の意をお伝えするとともに、この記事が国際学会に行かれる若手の先生方の参考に少しでもなることを願っております。円安が続いているため、余ったカナダ紙幣は換金せずにしばらく取っておこうと思います。

第50回日本股関節学会(阿部寛道)

2023年10月27〜28日に第50回日本股関節学会がヒルトン福岡シーホークで開催されました。Akita Hip Research Group (AHRG)からは8演題発表がありました。

学会に先立ち、10月26日に教育研修セミナーベーシックコースが開催され、市立秋田総合病院 藤井昌先生が講師の1人としてご講演されました。とても勉強になる内容でしたし、大御所の先生方の中でご活躍する藤井先生の姿に非常に感銘を受けました。

AHRGの先生方の演題を中心に、自分が興味のある一般演題も回りましたが、各病院で行われている最先端の研究を知ることができ、刺激を受けたと同時に、股関節分野の奥深さも再確認しました。来年は自分も演題を出せるように臨床と並行し研究も進めていければと思います。

今回はなんと、大曲厚生医療センター研修医1年目の西澤実柚先生が学会に参加いただきました!整形外科、中でも股関節分野に興味があるとのことで、日々積極的に勧誘いただいている岩本陽輔先生はじめ、大曲厚生医療センター整形外科の先生方には感謝申し上げます。10月27日の夜にはAHRG大同門会が開催され、西澤先生にも参加いただき、とても楽しい福岡の夜を過ごしました。学会期間中を通じて、もつ鍋や水炊き、海鮮料理といった美味しい博多料理を堪能でき、満足しております。

最後になりますが、日々ご指導頂いております宮腰尚久教授はじめ、不在期間中に業務を代行して下さいました先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第48回日本足の外科学会学術集会(富永健太)

2023年10月26〜27日に大阪市のグランフロント大阪で大阪医科薬科大学の安田稔人会長のもと第48回日本足の外科学会学術集会が開催されました。

当教室からは柏倉剛先生、野坂光司准教授、千田秀一先生、青沼宏先生、平鹿総合病院の理学療法士の佐藤さん、そして私で参加して参りました。

会長講演は『これからのアキレス腱断裂診療―アスリートの早期スポーツ復帰のために―』というテーマでご講演いただきました。Foot&AnkleとSportsを志している自分にとってはとても刺激的で勉強になる内容でした。

その他にも足の外科関連の様々な最先端の内容に触れることができ有意義な2日間を過ごせました。

自分は秋田県の足根骨癒合症についての調査を発表させていただきました。獨協医科大学埼玉医療センターの前教授である大関先生から「こういう疫学的な調査は極めて大切です。引き続き頑張ってください。」といった温かいお言葉をいただきました。発表だけで終わることなくしっかりと論文化いたします。

また学会前夜には獨協医科大学、佐賀大学、島根大学、埼玉医科大学の同年代の先生方と懇親会をさせていただき親交を深めることができました。全体懇親会では早稲田大学スポーツ科学学術院の熊井司先生をはじめ各大学の先生方にご挨拶させていただくことができました。柏倉先生、野坂先生、千田先生がこれまで対外的にご活躍されてきたことで他大学の先生方との繋がりがあり交流することができました。今後自分もこの流れを絶やすことなく継続していければと思います。 最後にいつもご指導頂いております宮腰尚久教授をはじめAFG/AIMGメンバーの先生方、不在の期間に業務を代行して下さった先生方に感謝申し上げます。