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秋田県骨粗鬆症PTH治療記念講演会(河野 哲也)

2015年2月28日,秋田ビューホテルにて「秋田県骨粗鬆症PTH治療記念講演会」が開催されました.前日のセミナーに引き続き,Osteoporosis Week 第二弾となります.

重症骨粗鬆症や骨折治療への併用など使用する機会が増えているPTHも,最近の外来では卒業する患者も増えてきました.PTHを含め骨粗鬆症治療について,知識を再確認する有意義な会となりました.

特別講演Ⅰでは,日頃からご指導いただいている宮腰尚久准教授より, 「脆弱性・難治性骨折を有する骨粗鬆症患者の薬物療法」と題してご講演いただきました.これまで使用されていたBP製剤やSERM,PTHに加え,抗RANKLモノクローナル抗体製剤であるデノスマブ,静注BP製剤など新しい治療薬について,それぞれの治療薬の使い分けを教えていただきました.

また.仙骨脆弱性骨折,高齢者四肢骨折,非定型大腿骨骨折に対するPTHの有効性についてもご講演いただきました.なかでも,非定型大腿骨骨折はBP製剤との関連性が注目されており,drug holiayや,手術適応についてなど,最新の知見を教えていただきました.

特別講演Ⅱでは,山梨大学大学院総合研究部整形外科学講座教授である波呂浩孝先生より,「骨粗鬆症脊椎疾患の診断と治療選択」と題してご講演いただきました.これまで,新鮮脊椎圧迫骨折には,多くの患者さんに対してコルセットで治療していましたが,体幹ギプスの重要性を再認識しました.また,脊椎変性後側弯症患者に対する変形矯正術の有効性についても勉強になり,実際の術前後での歩容の変化は驚きました.

現在では,多くの患者さんに対して骨粗鬆症治療が行われてきています.しかし,まだまだ未治療骨粗鬆症患者さんが多くいるのが現状です.骨折が起きてから治療を開始するのではなく.骨折予防を目標に,積極的に治療を行っていきたいと思います.

こまち骨粗鬆症セミナー (鈴木 真純)

2015年2月27日(金)ビューホテルにて開催されました、こまち骨粗鬆症セミナーのご報告です。同日より急激に寒くなり,天候も一時荒れましたがたくさんの先生方々のご参加を頂きました。今回は、一般演題2題・学術講演に慈恵医科大学整形外科 斎藤 充准教授をお招きしての開催となりました。

一般演題1題目は「男性骨粗鬆症の検討」、不肖ながら鈴木が発表させて頂きました。続発性であればまだしも、原発性男性骨粗鬆症となると、そう外来で見かける頻度は多くない疾患だけに、発表という機会を頂きつつ勉強する機会を頂いたという実感でした。今回は時間の関係もあり4例に厳選しての報告になりましたが、これを機にまた何か新しい知見があれば発表してゆきたいと思います。2題目は秋田労災病院の佐々木 寛先生の「当院通院中の骨粗鬆症患者における血清25(OH)ビタミンD濃度」のご発表でした。骨粗鬆症治療において、筋や中枢への作用の可能性などを秘めたビタミンDの、血中濃度と、動的バランスなど項目をご検討されたものでした。外来で頻用される治療薬だけに、とても興味深い結果と内容でした。

最後は、斎藤 充准教授の学術講演「新たな骨粗鬆症病型分類をもとにした治療薬の使い分けの実際—骨質劣化は骨折重症化の危険因子」でした。骨強度の30%を占めると言われている骨質を中心に、種々の骨粗鬆症の病態・それに合った治療戦略・ビスホスホネートの最近の知見などのお話を頂きました。実際の臨床で様々な骨粗鬆症治療薬が治療のツールとして使えるようになってきている現在、「使い分け」を強く意識していなかった(理解していなかったという方が良いか)自分にとても勉強になるご講演でした。特に自分の研究テーマにしているminodronateの、resedronateからの切り替えのお話や、Vit B6の骨粗鬆症治療における影響のお話などは衝撃的でした。感銘を受けると同時に己の不勉強が恥ずかしくなる、正に教育的な御講演でした。

この会の後は、斎藤 充准教授を囲む会が川反某所でひらかれ、野坂光司先生の奥様、野坂恵子先生にもご参加頂きました。アカデミックな話は勿論ですが、先程の会とは打って変わって非学術的なお話も大いに盛り上がりました。特筆すべきは野坂恵子先生よりカミングアウトされた「ぶるぶるチェアー」のお話でした。プライバシーの問題がありますので、詳細はここでは控えさせて頂きます。

セミナーも、そしてセミナーの後も非常に充実した内容の1日となりました。

 

秋田大学整形外科 大学院 鈴木 真純

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