第43回日本骨折治療学会 (JSFR2017) 木島泰明    

2017年7月7-8日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」にて第43回日本骨折治療学会が開催されました。2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、同施設内に福島県内最大の収容避難所が設けられ、一時は2,500人もの避難者が入所していたそうです。ここの駐車場は無料でしたので、私は秋田から車で会場入りしました。

本学会の主役の一人は何といっても我らが野坂光司先生でした。いきなり初日の第1会場のヌーンタイムレクチャー(ランチョンセミナー)を担当されており、一番広い会場にもかかわらず聴衆でいっぱいで、このブログ用の野坂先生の晴れ姿を写真に収めることができませんでした(申し訳ありません)。それ以外にも野坂先生は、イリザロフ創外固定と感染性偽関節、イリザロフ創外固定器とインプラント周辺骨折、イリザロフ創外固定器と足関節周辺骨折と立て続けに一般演題でもご発表され、秋田のイリザロフの応用範囲の広さを全国にしっかりアピールしてくださいました。

中通総合病院の千馬誠悦先生も参加されており、PIP背側脱臼骨折の治療というタイトルでご発表されておりました。この千馬先生のご発表を含めて、本学会での秋田大学整形外科関連の発表は合計10演題あったのですが、そのうちの半数、5演題を占めたのは何と我ら股関節グループ(Akita Hip Research Group; AHRG)メンバーによる大腿骨近位部骨折(Hip Fracture)の演題でした。

ご存知の通り秋田県は世界有数の高齢化地域であり、高齢者に多く、生命予後にも直結する骨折が大腿骨近位部骨折です。何よりも予防が大切な骨折で、予防に関して秋田ではA-BONE(Akita Bone and Osteoporosis Network)メンバーがその先進的な研究に携わっておりますが、それでも起こってしまったこの骨折に対しては、どのように治療すればよりよく患者さんに生活に復帰して頂けるのかが大切になってきます。

そのために我々AHRGが考案し、世界に向けて発表しているものが、大腿骨近位部骨折のAkita分類(Area Classification of Hip fracture)です。このAkita分類に関する演題を長幡樹先生、谷貴行先生、久保田均先生、木島が発表してきましたが、私の発表に対して聴衆の方が質問して下さったときに、この分類は非常にわかりやすく有用だと思っていますとお話ししてくださいました。まだAkita分類に関する英語論文は2つ(下記参考文献)のみですが、少しずつ国内外で地道にアピールしていくことで、世界的に使われる分類にしていくことがAHRGの目標の1つです。ぜひこのブログを読んで下さった整形外科医の皆さんにも利用して頂きたいと思います。

参考文献1→http://dx.doi.org/10.1155/2014/359689

参考文献2→http://springerplus.springeropen.com/articles/10.1186/s40064-016-3206-1