魁新報に『高齢者とスポーツ』、ついに連載開始!! (秋田県スポーツ医学研究会事務局 野坂光司)

 秋田県スポーツ医学研究会は平成5年の発足以来、会員のスポーツ医学の研賛や情報交換、症例検討などを行う傍ら、県教育委員会などと協力し、学校管理下における突然死の問題に対する提言、秋田県体育協会のスポーツ医事委員会と協力しわか杉国体開催時本県のスポーツ選手の強化に対するアドバイス、ABS秋田放送番組「スポーツと健康」の担当、甲子園出場校の帯同ドクターの派遣などの事業を行なって参りました。
 県民の健康維持増進に役立つような情報発信をすることができないかということで秋田魁新報社様といろいろ検討を重ねて参りましたところ、この度、魁新聞の紙面を通じて定期的にスポーツ医学的見地より読者の皆様に分かりやすく、日常的なお話を提供できるような運び(本年中は月1回の連載、木曜日くらしの欄)となりました。
 このたび、『高齢者とスポーツ』を題材にいたしました『エンジョイスポーツライフ高齢者編』の、島田洋一教授による第一報が掲載されましたので報告いたします。

「エンジョイスポーツライフ~高齢者編①」
島田洋一/県スポーツ医学研究会長、秋田大医学部教授

 人口推計2014年6月報によれば、日本の65歳以上の高齢者人口は3212万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は25・2%に上る。本県は既に3割を超えており、日本でも先頭を走る高齢県となっている。こうした社会で求められるのは高齢者が自立した生活を送り、健康寿命を伸ばすことだ。
高齢者は骨粗しょう症やサルコペニア、心血管障害、糖尿病などを併発した体力低下が著しい。身体機能を高めるためには運動・スポーツ活動が有用だ。
総務省統計局によると、2011年に何らかのスポーツを行った高齢者は1419万9千人で、行動者率は51・4%。06年と比べると、4・8㌽上昇し、特に70~74歳では7・9㌽も上昇している。スポーツの種類別行動者率を年と比べると、「ウオーキング・軽い体操」が4・4㌽と最も上昇しているのに対し、その他の項目は横ばいだ。
「ウオーキング・軽い体操」が上昇したのは、元気な高齢者が健康維持を目的に散歩するケースが増えたほか、デイサービスが機能訓練として、体操を取り入れ始めたことなどが影響しているとみられる。
内閣府によれば、自主的なグループ活動に参加している高齢者のうち、「健康・スポーツ」は10年前に比べ8・4㌽、20年前に比べ14・8㌽増加している。「生涯学習に関する世論調査」(12年)における「行ってみたい生涯学習の内容」のトップには「健康・スポーツ」が選ばれ、60~69歳で47・5%、70歳以上で31・8%となっている。
文部科学省の「体力・スポーツに関する世論調査」(13年)では、週に3日以上スポーツを実施する高齢者の割合が60歳代42・4%、70歳代53・6%となっており、活発な高齢者が多い。 
こうしたデータを見ても、現代社会においては高齢者のスポーツ活動は広く普及しているといえる。しかし、高齢者は加齢に伴い体力が低下しいるばかりでなく、何らかの疾病を合併していることから、事故防止に向けた正しい安全管理が必要だ。
本欄では「県スポーツ医学研究会」に所属する医師たちが、あらゆる角度から高齢者とスポーツとの関わり方について解説していく。本県高齢者の健康寿命を少しでも延ばすことにつながればと願っている。
【しまだ・よういち】 55年三種町(旧山本町)生まれ。札幌医科大医学部卒業後、秋田大医学部医学研究科博士課程修了。07年から同大学院整形外科学講座教授。県スポーツ医学研究会長

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