研究会レポート」カテゴリーアーカイブ

第75回秋田県整形外科医会(小滝優平)

2022年5月7日、オンラインにて第75回秋田県整形外科医会が開かれました。

一般演題から4題、Young Doctors Sessionから11題の発表がありました。各発表に対して非常に白熱したdiscussionが交わされました。Young Doctors Session最優秀演題賞は、「脆弱性骨盤輪骨折(FFPs)のプロトコルに沿った治療戦略」について発表された、大曲厚生医療センター岩本陽輔先生が受賞されました。

その後、教育研修講演1として、順天堂大学大学院医学研究科 整形外科・運動器医学主任教授石島旨章先生より「早期変形性膝関節症―病態に則した治療の実現を目指した現状と展望―」と題しご講演いただきました。K/L分類0、1に分類される早期変形性膝関節症の病態プロセスについて最新の知見を交えて分かりやすくお示しいただき、その治療方針についてご教示いただきました。今後いかに活動性を保ちながら、膝関節への過剰な力学的ストレスを回避させていくかという事が課題なのだと感じました。

教育研修講演2として、信州大学医学部運動機能学教室教授髙橋淳先生より「信州から世界に発信した側弯症の新知見」と題しご講演いただきました。側弯症について、多彩なデータ・エビデンス用いて具体的にお示しいただきながらご説明いただきました。また信州大学より世界へ発信された「S-line, Modified S-line」についてもご教示いただきました。自分の娘に手術するなら、という考えのもと、より低侵襲・低被ばくな手術計画・手術方法を生み出した先生方の功績に非常に感銘を受けました。

一般演題・教育研修講演とも大変勉強になる発表・ご講演でありました。本日学んだことを明日からの診療に役立てて、精進していきたいと思います。

第59回秋田県脊椎脊髄病研究会(笠間史仁)

2022年3月5日に第59回秋田県脊椎脊髄病研究会がオンライン開催されました。

「研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座vol.10」として、今回は「脊椎のリハビリテーション」をテーマとし、秋田大学PT渡邊基起先生から「肩こりと日本人」、市立秋田総合病院PT川越厚良先生から「体幹筋としての呼吸筋」、城東整形外科PT渡部裕之先生から「脊髄神経後枝障害に対する理学療法」についてご講演いただきました。

いずれもリハビリからの目線で、患者さんの病態を深堀りし改善に至るための戦略を学べる素晴らしい内容でした。

ミニレクチャーとして秋田大学木村竜太先生より「秋田のMIST」についてご講演いただき、秋田の最小侵襲脊椎治療のこれまでの発展と現状、そして今後の展望についてご教授いただきました。

現状秋田県には脊椎内視鏡下手術・技術認定医が少なく、今後の手技の発展・拡散に若手脊椎外科医が積極的に関わっていく必要があると感じました。

一般演題6題は貴重な経験症例や椎体終板貫通スクリューに関する発表など多岐にわたり、熱い質疑応答が行われました。

最優秀演題賞は初期研修1年目にして「椎間関節が癒合している変性後側弯症に対して側方侵入法を併用して矯正固定術を行った1例」を発表し、質疑応答でも素晴らしい対応をされた秋田厚生医療センターの秋山美穂子先生が受賞されました。整形外科入局確率99.9%とのことで、今後のご活躍も期待されます。

本当におめでとうございました!

特別講演では、亀岡市立病院脊椎センター長の成田渉先生より「脊椎手術に対するデジタルトランスフォーメーション(DX) -映像配信・メタバース(仮想空間)の試み-」についてご講演いただきました。

30歳頃から一人医長として多くの症例をご経験なさっていたことに驚いたのとともに、安全に手術を行うために様々な映像技術・システム開発を自ら行うという異色さが非常に興味深かったです。またこれらのDXがスタッフなどの教育に効果的であり、実際に木村竜太先生がオンラインで手術見学を行ったお話もスゴイ時代だと感じました。「整形外科的視点」だけではなく、他分野からの視点を持つことも重要ではないかと感じ、非常に勉強になりました。

次回は記念すべき第60回となります。

若手が秋田県の脊椎外科をさらに盛り上げられるよう、本研究会で学んだ内容を診療に役立てていきたいと思います。

第29回秋田県スポーツ医学研究会 (木村竜太)

2022年2月19日、第29回秋田県スポーツ医学研究会がオンライン開催されました。

下記、プログラムからの転載になりますが、それぞれがとても興味深い内容ばかりで、スポーツの幅広さを実感いたしました。ご講演いただきましたシンポジストの先生方、誠にありがとうございました。

【シンポジウム1】スペシャリストからの提言

1)「SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種後の抗体価」

富樫 賢 先生 (あきた 腎・膠原病・リウマチクリニック)

2)「アスリートと生活習慣病」

森井 宰 先生 (秋田大学 糖尿病・内分泌内科)

3)「秋田県医師会「明日はきっといい日になる」ロコモダンスプロジェクト」

高橋 郁子 先生 (秋田大学 小児科)

4)「秋田県女性ジュニアアスリートと女性医学指導の実態」

小野寺 洋平 先生 (秋田大学 産婦科)

【シンポジウム2】障がいを超えた地域スポーツの取り組み

  • 「スポーツを通した子どもたちとの関わり」

佐藤 理枝子 先生 (秋田県立医療療育センター リハリハビリテーション部門)

2)「eスポーツでつくる新たな参加の形」

若狭 利伸 先生 (社会福祉法人北杜 障がい者支援施設ほくと)

3)「義足スポーツサークルAmbeinsについて-スポーツ活動からみる義足の可能性-」

佐藤 陽介 先生 (秋田厚生医療センター リハビリテーション科)

4) 「パラアスリートサポートの最前線 〜 Tokyo 2020 Paralympic Games 活動報告 〜」

藤井 昌 先生 (市立秋田総合病院 整形外科)

特別講演1は、「最期まで自分の脚で歩くためのスポーツ疫学研究~こどもからトップアスリートまで~」と題して、千葉大学大学院国際学術研究院准教授(千葉大学大学院 医学研究院 整形外科学)山口智志先生にご講演いただきました。

山口先生は整形外科医でありながら、教育学部関連のご所属ということで、疫学をもとにしたアプローチを主体にご講演いただきました。ロコモーティブシンドロームへの介入の重要性についてデータを元にご説明いただき、改めて積極的な介入の必要を実感させていただきました。また、ヘルスリテラシーを高めるという点について、インターネット上に誤情報が多くあるからこそ大切な介入点だと思いました。アキレス腱の治療は日本は手術が増加傾向、子供は身体が硬いのが普通、扁平足は痛みの原因でない、アスリートのトランスジェンダーなど多くの話題で、疫学調査から得られる学びをご教授いただきました。

また、東京オリンピック2020で金メダル獲得のスケートボード種目の、裏側のお話も興味深く、テレビ中継の裏ではかなりのご苦労があったことを知ることができました。

スポーツ障害について、疫学調査から介入を始めるというお考え、とても素晴らしくぜひ秋田でも取り組みたいと思います。

特別講演2は、「総合診療と喘息・スポーツ」と題して、秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座 教授 植木 重治先生にご講演いただきました。

喘息の基本的な知識から、IgEが日本で発見された(石坂公成先生)こと、IgEが関係しない喘息(非アトピー型喘息、成人発症)があり、気道の上皮障害などが原因で生じること、整形外科で多用するNSAIDsに関連するアスピリン喘息(N―ERD)について、アスピリンに対するアレルギーではない=アレルギー学的検査では診断不能、問診が重要など、なかなかブラッシュアップできずにいた知識について、とてもわかりやすくご教授いただきました。

アスリートの喘息有症頻度が一般より高いこともあり、プレーへの影響がどうなのか気になっていたのですが、オリンピックのメダリストは参加者の中でも喘息有症率が高いということで、コントロールできているとプレーに影響しないということで、アスリートの支えになる内容でした。

また、総合診療部で行われている渡航外来では、英文診断書・証明書の作成や、ワクチン接種、マラリアや高山病予防薬などに取り組まれていらっしゃり、スポーツ選手にも大切な存在が身近にあることを知りました。

講演中、植木先生が不意に発せられた、「スポーツを通して全人的にみる」という表現が素敵だなと思いました。スポーツが好きな医療者は、スポーツを通してその人そのものをみたいのかもしれません。

最後に、秋田県スポーツ医学研究会では、パラスポーツ推進ワーキンググループを作り、パラスポーツ(障がい者スポーツ)の普及にも取り組んでまいります。

第15回東北MISt研究会 Best Discusser Award受賞報告 (木村竜太)

2022年1月23日、第15回東北MIST研究会が、当番世話人である福島県立医科大学ふたば救急総合医療支援センター兼整形外科学講座 渡邉和之先生のもとWeb開催されました。

前日の東北脊椎外科研究会に続いて、web開催です。

MIStという単語は、「Minimally Invasive Spinal Treatment」の略で、日本語では「最小侵襲脊椎治療」と言われます。

脊椎治療を、患者さんに、医療者に、そして社会にやさしい治療にできるよう考える場となっています。

秋田からは工藤大輔先生が「経皮的 self-tapping 椎弓根スクリューの安全性の検討 」を、私が「若手整形外科医の超音波ガイド下頚椎神経根ブロック習得の取り組み 」を発表いたしました。本演題は当大学の笠間史仁先生が企画してくれたものを、一緒にまとめたものになります。頚椎神経根ブロックも超音波ガイド下に行うことで、多くの患者さんに対して、安全で有益な治療を提供できていると感じています。超音波ガイド下神経ブロックを、整形外科医全員が行える安全で有効な手技に昇華させていけるよう、今後もハンズオンセミナーなどを定期的に継続してまいります。

特別講演は香川県立中央病院 整形外科 部長 生熊 久敬 先生から『 脊椎側臥位手術(single position surgery)の適応とコツ そして落とし穴について ( 骨粗鬆症例を含めて)』 と題してご講演いただきました。

側臥位手術は、LLIFと呼ばれる側方進入手術や、びまん性特発性骨増殖症(DISH)の椎体骨折などに有用と聞いていましたが、生熊先生の取り組みは、そのさらに何歩も先を行かれるような内容でした。安全に行うため、ナビゲーションの必要性もあると思いますが、ぜひ秋田でも取り組んでいきたい手術です。

また本会では優秀演題としてBest Presentation Awardがあり、今回「テリパラチドの椎弓根皮質骨・椎体皮質骨に対する影響 : 腰椎固定術患者における縦断的 CT 解析」 新潟大学の田中裕貴先生と、「DISHを伴う椎体骨折における、メイフィールド三点固定器を用いた体位の工夫 -前方開大予防、整復の試み-」 福島県立医科大学の小林洋先生が受賞されました。おめでとうございます。

もう1つの賞として、会で一番質問をした人に贈られるBest Discusser Awardがあり、今回私が頂戴することができました。本研究会は、脊椎外科医を志したきっかけの会であり、このような賞を頂戴できたことをとても嬉しく思います。

大変な状況で、中止される地方MISt研究会もある中、開催いただきました渡邉先生はじめ、関係の皆様に御礼申し上げます。

令和3年度整佑会総会・第17回整佑会特別講演会(佐藤貴洋)

2021年12月11日に秋田大学整形外科学講座同門会であります、令和3年度整佑会総会および第17回整佑会特別講演会がオンラインで開催されました.毎年この後に大忘年会が開かれているのですが,昨今のコロナ渦で2年連続のオンライン開催となりました.

早く収束し盛大に開かれる日を心待ちにしております.

今回は総会の中で新入会員お二人の御挨拶がありました.

現在整形外科1年で町立羽後病院での後期研修を頑張っている中西真奈美先生と,現在市立秋田総合病院で研修されている久田朱里先生でした.久田先生はすでに整佑会への入会をしている石垣先生と同期で来年度から整形外科1年目となります.今後もより一層の活躍を期待しております.お二人から今後の抱負を聞かせて頂きました.

これからも一緒に頑張っていきましょう!

第21回整佑会奨励賞は秋田労災病院佐藤千晶先生と,市立角館総合病院三浦隆徳先生が受賞されました.

佐藤千晶先生からは「卵巣摘出,尾部懸垂ラットにおけるテリパラチドと有酸素運動の骨,筋肉と,脂肪に対する効果」,三浦隆徳先生からは「Association between global sagittal malalignment and increasing hip joint contact force, analyzed by a novel musculoskeletal modeling system」という内容で御講演頂き,いずれも臨床へと直結しうる研究内容でした.お二人とも大学院で御研究された内容が実を結んだ結果で,素晴らしい御発表でした.大学院の後輩として先輩方の御活躍はとても誇らしく思い,また自分達の研究の励みにもなります.本当におめでとうございます.

そして,特別講演会では秋田大学整形外科木島泰明先生と,大曲厚生医療センター阿部利樹先生からご講演をいただきました.

 まず,木島泰明先生のプレゼンテーションは「シン・察所見から考えるコ(゛)関節の痛みーPain-demicに備えてー」という題名で,題名からキャッチーな印象ですが,内容構成もキャッチ―で,ウィットに富んだ引き込まれるプレゼンテーションでした.内容も木島先生が専門にされている股関節以外に,肩痛,膝痛,腰痛まで痛みの原因に関する御研究の足跡を披露頂きました.AHRGを代表する研究であるAkita Area分類や,さらにはシン・Area分類に関してはその研究に行き着くまでの経緯も披露頂きました.ご自分の研究だけでなくAHRGメンバーの研究もご紹介頂き,木島先生のプレゼンテーション約20分に先生自身の足跡だけでなくAHRGメンバーの功績も詰め込まれており非常に有意義な内容でした.そして,来るPain-demicに備えて我々も身を引き締めて準備していきたいと思います.木島先生,流石です!!

 

続いて,阿部利樹先生からは「脊椎外科医として思うこと」と題して経験豊富な利樹先生が,これまでどういったことを考えて臨床をなされ,現在どういったことをお考えなのかお話頂きました.まず,PLIFという脊椎外科医以外では尻込みしてしまうような手術も,実は脊椎外科の基本であり,むしろPLIFをできる〇〇外科医を目指そうという画期的な考え方でした.実際阿部利樹先生とともに働いている脊椎外科以外の先生方でもPLIFを執刀されており,非常に教育的な姿勢がわかりました.また骨粗鬆症性椎体骨折に対する手術に関しては,これまで先生が数々のご経験をされ様々お考えになられていたことから,現在のBKPという手術に辿り着いたその道筋をお話頂きました.BKPはそれだけ価値のある手術であることを再確認できました.最後に先生が大曲厚生医療センター整形外科の新体制として赴任され,その手腕から現在は県内屈指の整形外科チームへと成長させた,その素晴らしいご功績の裏側をご教示頂きました.今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

 オンライン開催ではありましたが出席者は100人を超え,素晴らしい会となりました.次回こそは,現地ができることを祈っております.

第12回秋田県足の外科創外固定研究会 (岡本憲人)

2021年12月4日に第12回秋田県足の外科・創外固定研究会がオンライン開催されました。

一般演題はそれぞれ,秋田労災病院浅香康人先生,秋田大学原田俊太郎先生,秋田県立医療療育センター大屋敬太先生,由利組合総合病院三田基樹先生,男鹿みなと市民病院柴田暢介先生よりご発表いただきました。

特に骨盤骨折や創外固定に関する演題では,後ほどご講演頂く新潟大学の普久原朝海先生からもご質問があり,非常に有意義なディスカッションとなりました。

ミニレクチャーでは秋田大学野坂光司先生より『関節リウマチ合併骨粗鬆症における薬物療法と手術療法』についてご講演頂きました。

ステロイド骨粗鬆症に対する治療から,人工関節周囲骨折に対するイリザロフを用いた手術治療まで,野坂先生の豊富なご経験を基に解説頂きました。併存症の多い高齢者手術にはより一層の注意を払って臨んでいきたいと思います。

特別講演Ⅰでは新潟大学医歯学病院高次救命災害治療センター助教の普久原朝海先生より『大学病院で整形外傷を専門として10年、新潟の整形外傷治療は変わったのか?』と題し,「運と縁」をテーマに先生の整形外傷医としてのこれまでの経験をご講演頂きました。

大学の救命センターで整形外傷医として勤務されるにあたって苦労されたことや,整形外傷を若手整形外科医へ普及するために尽力された内容など,非常に興味深く拝聴させて頂きました。個人的には普久原先生が若手に向けて主催されている外傷合宿は非常に魅力的でした。秋田県においても,外傷という分野を全員が勉強し,若手に向けて教育できる体制を構築することが必要と痛感しました。自分も今後の外傷診療に貢献できるよう研鑽を積んでいきたいです。今回の講演は専門を問わず,録画して何度も見たくなるような内容でした。

特別講演Ⅱでは聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院整形外科病院教授の原口直樹先生より『変形性足関節症に対する関節温存手術』についてご講演頂きました。

足関節の解剖や変形性足関節症の病態なども踏まえて解説してくださり,変形性足関節症の診療経験がまだ少ない自分でも理解しやすいご講演内容でした。後半では果部骨折やピロン骨折の変形治癒に対するサルベージ手術についても紹介して頂きました。中でも原口先生の「受傷から時間が経過していても関節温存しながら患者満足度を向上できる」という言葉は,多くの患者さんを勇気づける一言であり,とても感銘を受けました。今後も原口先生にご指導頂きながら多くの患者さんを救えるように精進していきたいと思います。

一般演題から特別講演まで,非常に刺激を受けた研究会となりました。本日得た知識を患者さんへフィードバックしていきたいと思います。研究会の運営に携わった先生方,この場をお借りして感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第74回秋田県整形外科医会(笠間史仁)

2021年10月30日、第74回秋田県整形外科医会がZOOMでオンライン開催されました。

 

今回は一般演題5題、Young Doctors Session10題の発表がありました。特にYoung Doctors Sessionでは、活発なディスカッションが行われ、非常に充実したセッションとなりました。最優秀演題賞は「尺骨神経脱臼に上腕三頭筋内側頭の弾発を伴った1例」を発表された秋田労災病院の齋藤光が受賞されました。本当におめでとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教育研修講演1には、群馬大学医学系研究科整形外科学教授の筑田博隆先生から、「多施設ランダム化比較試験からみた非骨傷性頚髄損傷の治療戦略」についてご講演いただきました。OSCIS試験の背景から実際の道のり・裏側までご講演いただき、非常に感銘を受けました。日本国内から世界へ高いエビデンスを発出したことに感激し、私もいずれそのようなスタディに関われたらと感じました。

 

教育研修講演2には、川崎医科大学 骨・関節整形外科学教授の三谷茂先生から、「先天股脱の50年の経過から-変形性股関節症の関節温存手術と保存療法を考える-」についてご講演いただきました。豊富な症例と、超長期観察症例の数々をお示しいただき、クイズ形式のご講演であったため非常に楽しく聴講させていただきました(筆者は3割程度しか正解できませんでした)。先天股脱の治療変遷も垣間見ることができ、非常に勉強になりました。

 

本研究会で勉強させていただいたことをしっかりと吸収し、明日からの臨床・研究に努めていきたいと思います。

第10回秋田県股関節研究会(五十嵐駿)

令和3年10月9日(土曜日)に第10回秋田県股関節研究会がオンラインで開催されました。

まず、一般演題では、

三浦隆徳先生(市立角館総合病院)には、CroweⅢ股関節症の高度屈曲拘縮例に対するS-ROMステムの使用経験について、

河原木剛先生(秋田厚生医療センター)には治療に難渋した透析患者の脆弱性骨折について、

岩本陽輔先生(大曲厚生医療センター)には大腿骨頸部骨折症例におけるcorail stemのstem周囲骨密度の推移について、

藤井昌先生(市立秋田総合病院)には大腿骨近位部骨折の骨折形態と骨強度パラメーターとの関連について発表していただきました。

質疑応答も活発に行われ、どの発表も今後の診療に役立つとても興味深い内容となっておりました。

 

特別公演Ⅰではではまず、平鹿総合病院の佐々木研先生に「股関節と脊柱骨盤矢状面アライメント」についてレクチャー頂きました。近年注目されているHip-spine syndrome、脊椎疾患と股関節疾患の関係性についてわかりやすく説明して頂きました。

続いて、秋田労災病院の加茂啓治先生に「高齢者に対する人工股関節置換術」についてレクチャーを頂きました。高齢化が特に進んでいる秋田県において大変重要な内容を発表して頂きました。

 

特別講演Ⅱでは、宮崎大学医学部整形外科学教室教授の帖佐悦男先生から「股関節学-critical thinking-」と題して、先生のこれまでの経験から導かれた整形外科医としての教訓を始め、寛骨臼形成不全やHip-spine syndrome、骨盤骨折等に関して多くの知見をご講義いただきました。画像所見の適切な評価や厳密な手術適応の検討の重要性など若手にとっても習得が必須な内容を大変分かりやすく解説して頂き、非常に感銘を受けました。

 

第10回の秋田県股関節研究会も大変有意義な研究会となりました。

今回学ばせていただいたことを今後の臨床、研究に活かして、また明日から一人でも多くの患者様に満足していただける医療を行えるように努めたいと思います。

第7回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会 (原田俊太郎)

秋田の短い夏が足早に過ぎて行こうとしている2021年8月29日に「第7回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会」がオンライン開催されました。

 

シンポジウムでは三浦隆徳先生から「当院での人工膝関節周囲骨折の経験」、赤川学先生から「CT-free robotic assisted TKA(NAVIO)」、杉村祐介先生から「化膿性肩関節炎を発症した関節リウマチの1例」、嘉川貴之先生から「当科にて試行したARCR 77例の経過について」、岡本憲人先生から「脳性麻痺児の膝蓋骨高位に対し脛骨結節前進移動術を行なった1例」を御講演いただきました。どの先生方の発表も大変興味深く拝聴させていただきました。

 

ミニレクチャーでは秋田労災病院関展寿先生から「スポーツ選手を惹きつける診療のポイント」をご講演いただきました。我々若手整形外科医が日常診療で不安に感じていたスポーツ選手の治療について具体的に大変わかりやすくご発表いただきました。関先生はご自身がスポーツ選手だったこともあり、選手に親身に診療されておりもし私が学生だったら関先生に診ていただきたいと強く感じました。私も「来た時よりも美しく」を目標に今後の診療に努めてまいりたいと思います。

 

特別公演の1題目は長崎大学医学部整形外科学教室病院准教授、米倉暁彦先生から「膝周囲骨切り術の新たな治療戦略」を御講演いただきました。我々若手整形外科医がまだ接する機会が少なく、知識として不十分であった骨切り術に関して各術式の適応や注意点を大変わかりやすくご教示いただき、骨切り術がより身近なものに感じられるようになりました。

 

特別公演2題目は滋賀医科大学整形外科学講座教授、今井晋二先生より「肩関節脱臼後障害と鏡視下ラタルジェ手術」を御講演いただきました。動画を交えての骨欠損を伴う症例の系統的な治療プロトコールは大変わかりやすく、明日の診療から役立つ知識ばかりでした。また新デバイスであるsasumata guideを用いた手術は大変興味深く、完成し我々も使用できる機会を心待ちにしております。

 

講演後はフロアからも質問が殺到し、大変な盛り上がりを見せておりました。私自身も多くのことを学ばせていただき、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。今回学んだ内容を今後の診療、研究に役立て行きたいと思います。

第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 (阿部和伸)

例年になく暖冬となっている2020年2月1日、「第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会」が仙台の江陽グランドホテルで行われました。この研究会は、東北地方で骨粗鬆症診療にあたる先生方が骨代謝に関する諸問題に関して、基礎・臨床両面の研究成果や新知見を発表し、議論を深める会であり、今年で41回目と大変歴史の深い研究会です。

当大学からは、臨床部門で粕川雄司講師が「同一高位に生じた骨粗鬆症性椎体骨折と胸椎黄色靱帯骨化症の手術成績」に関してご発表されました。基礎部門では大学院生の齋藤光先生が「慢性腎臓病モデルラットにおける骨と筋肉の検討」、私が「2型糖尿病モデルラットにおける,テリパラチドと運動療法の骨・骨格筋に対する効果の検討」という題で、大学院で行っている研究に関して発表させていただきました。発表の後には活発なディスカッションが行われ、鋭いご指摘や建設的なアドバイスをいただきました。また、他大学の研究からも刺激を受け、大変有意義な研究会となりました。

研究会の終わりには、この会の発足当初から重要な役割を果たしてこられた、佐藤光三名誉教授に感謝状が贈られました。佐藤光三名誉教授は秋田大学整形外科学講座の第二代教授であり、第5回の研究会から世話人となられその後代表世話人を務められるなど、実に35年に渡って研究会の運営にご尽力されました。秋田大学整形外科の礎を築いてこられた佐藤光三名誉教授がこのように表彰されることは、私たち秋田大学にとっても大変喜ばしいことであり、後進にあたる私たちはより一層骨代謝・骨粗鬆症に真摯に取り組んでいかなければならないと感じました。

今後も骨代謝研究、骨粗鬆症治療に関しての知見を積み重ね、患者さんにとって最適な医療を考えていきたいと思います。