木島泰明先生留学便り2-1

この度、フランスに留学させて頂いている木島泰明です。現在、パリ大学付属アンリ・モンドール病院の整形外科で研修中です。前回の留学便りでは、渡仏後1週間の生活立ち上げ段階の記録をお送りしましたので、今回は研修初日の模様をお送りいたします。

研修初日!!朝5時半に起床し、6時半に家を出る。8時に病院で、という約束だが、トラムとメトロを乗り継いで1時間のところなので、早めに出発。次の病院や幼稚園の関係、また、値段の関係でアパルトマンを決めたのでしかたない。1時間弱で到着。到着してもまだ暗い。今のパリの日の出は8時半過ぎだ。整形外科の病棟も外来も6階にあり、その6階に来るように言われていたが、6階のどこかがわからない。(ちなみにフランスの6階は日本でいう7階です。)受付に聞けばいいかと思っていたが、まだ受付も開いていない。うろうろしていると守衛さんっぽい人が「留学生か」的なことを聞いてくれたので、「日本人で整形外科医です」と練習してきたフランス語でいうとカンファレンスルームに案内してくれた。カンファは7時半過ぎからすでに始まっていたが教授はまだ来ていないらしい。だまって聞いているとやがて教授が登場。カンファの最後に僕に自己紹介をさせてくれた。途中までフランス語、途中から英語で、練習通り終了。若手の一人が助手部屋的なところに案内してくれる。5人ぐらいで使っていそうな部屋だがPC付きのデスクが2つに、ソファ1つとローテーブル1つのみ。この部屋もマクドナルドのトイレと同じでコードナンバーを知らないと入れない。初日だからとスーツを着て行ったが、その部屋で白衣を羽織ったところで、手術室に案内してくれる。6階から地下2階まで降りてpharmacyと書いてある方向にしばらく歩いて左に曲がって、またコードナンバー付きのドアを開けると更衣室のドアが1ダースほど並んでいる!このうちのNo.4が整形のロッカールームらしい。ちなみにフランスでは「No.4.」は「N°4」と書くらしい。そしてこのロッカールームに入るにもコードナンバーが要る。いちいちドアを開けるためのコードナンバーをメモしながら歩いていたが、どれがどのドアの番号かわからなくなる。おまけにこのロッカーそのものの鍵が難しい。いわゆる昔の金庫みたいに右に27、左2回転して31、最後にもう一度右に回して3で開く、みたいなやつ。それもメモしたもののメモした紙をロッカーに入れてしまった!まずしょうがない。術衣は秋田のUG病院で人工物の時に着ていたようなディスポのやつ。それを着て、ロッカールームの反対側のドアから出るとシャワーやトイレに面する廊下に出る。廊下の先の出口から出たところに帽子と靴カバーがあるのでそれを装着。靴は外履きのままでいいらしいが術場用のサンダルを用意している先生が多い。そのあたりに食事をするスペースがあり、主に看護師さんたちが弁当やサンドイッチを持ってきて昼食をとっていることが多い。その場所から階段を上がってドア(このドアには鍵がない!)を開けると手術棟に入れる。左に行くとICU的なところ、右に行くと手術室が並んでいる。ちなみにここまで自動ドアは一つもなかったが、手術室のドアも木製の手動ドア。歴史を感じます。ここで、ここまで案内してくれたマーク先生が「僕は今日は手根管とかのデイサージェリーの担当だからあっち行くね。TKAが12番の部屋であるはずだよ」と言って、去ってしまう。しかたないので「N°12」の部屋に行くと患者さんがベッド上に座位にさせられてルンバールを受けている(座位でやっていました)。整形外科医はいない。ここでは麻酔がかかったころに整形外科医が来て体位を取って手術をしたらまた麻酔科医がそのままICU的なところで見てくれるようなのでひたすら手術だけしていればいいらしい。整形外科の手術室は基本的には10番の部屋と12番の部屋の2つで(感染症例などは別の特別なところでやるらしい)、1日5-6件をこの2部屋でこなしている。この日は6件あったので縦に3件ずつ。はじめ12番の部屋でTKAを見させてもらい、次にそのチームは脊椎の手術だったので、10番の部屋に移動してACL再建を見学。最後に大腿骨遠位の開放骨折後の拘縮膝の受動術をジュデのアプローチでやっているのを見させてもらいました。2件目が終わったところで昼食に行こうとしたものの例のロッカーが開けられず、手術場の師長さんにお願いしたら、ロッカーの暗号リストを持ってきてくれたもののその番号でもなぜか開かず、鍵マスターが登場し、ジャラジャラ大量の鍵を試したもののそれでも開かず、結局その鍵マスターがロッカーをぶち壊して終了しました。そのカギ騒動のおかげで初日は昼食を取り逃しました。どこかの医局と同じで、本日、月曜日は17時からカンファレンス。でも違うのは、一通り症例の検討が終わったところで、「ほかにプレゼンしたい人いない?」みたいなことを誰かが言ったら、最初からずっと後方の席に大人しく座っていた、スラッとしたジーンズを履いた美女が手を挙げておもむろに人工椎間板の紹介を始めました。メーカーの人だったようです。プレゼンもPCプレゼンテーションではなく、模型を回して身振り手振りのプレゼンでした。19時前にカンファは終了し、アパルトマンには20時前に着きました。手術についてのあれこれはまたご報告致します!

通勤に使用しているメトロの掲示。右から三番目のクレテイユ・レシャ駅で下車。

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病院全体の案内図。

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病院の全景と、病院玄関前のヘリポート。ちなみにここはパリ第12大学の付属病院です。パリ大は第1から第13まであり、第12大学はパリ東大学とも呼ばれているようです。image006 (640x427) image005 (640x427)