第19回日本低侵襲脊椎外科学会学術集会(JASMISS)、第18回脊椎内視鏡下手術・技術講習会 (水谷 嵩)

2016年11月24日25日にステーションコンファレンス東京で第19回日本低侵襲脊椎外科学会(JASMISS)学術集会が開催され、秋田からは木村竜太先生と私が参加し、特別講演のために秋田厚生医療センター阿部栄二院長も御参加されました。この日は観測史上初めて11月に東京で積雪が確認されるという寒い日でしたが、寒さを感じさせない熱い討論が繰り広げられており、私も化膿性脊椎炎に対する経皮的固定術の症例報告を発表してきました。

今年のテーマは『脊椎外科の低侵襲化の現状と近未来展望』でした。脊椎の低侵襲手術は傷を小さくしたり出血量が少なくなるなど患者さんにとってはいい事尽くめのようですが、合併症や再手術、手術時間、執刀医の技術など未だ多くの課題が議論されています。このような低侵襲化の現状について再確認し、今現在取り組まれている施設で、今後技術をよりいっそう高め、新たに始めようとする人たちにもいかに教育していくか、という近未来の展望について話し合われていました。

阿部栄二先生のご講演は『成人脊柱変形の矯正手術のポイントと低侵襲化』という演題でした。個人的には阿部院長は低侵襲手術というよりは、大掛かりな変形矯正や椎体置換など侵襲の大きい大変な手術をバリバリやられているという印象が強かったので、低侵襲をテーマにした本学会でどのようなお話をされるのか大変楽しみでした。豊富なご経験から臨床で学んだ見解をもとに、これまでの歩みなどをお話されました。侵襲が大きい手術を多くご経験されてきた中で、低侵襲化の必要性を感じるようになり、新たな技術や考え方を導入してきた軌跡など大変興味深い内容でした。

私と木村先生はそのまま神戸に移動し、11月26日の脊椎内視鏡下手術・技術講習会を受講してまいりました。生きた豚を使って実際と同じような手術行い脊椎内視鏡手術の技術、知識を学べる絶好の機会でした。椎弓の幅や椎間高が狭く、1枚膜が多いなどヒトと解剖が異なる点もありましたが、モニターの見方や器械の設置の仕方、骨を削って除圧を行うなどの作業は問題なく学ぶことができ、硬膜や血管に気をつけて行う処置は実際の手術のような緊張感で挑めました。

低侵襲づくしの3日間で非常に多くのことを学ぶことができ、今回の経験させていただいたことを臨床にも還元していければと思います。

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