第2回 AKITA PTH Conference (佐藤貴洋)

2022年4月7日に「第2回AKITA PTH Conference」がZoomによりオンライン開催されました.協賛は研究でも臨床でも非常にお世話になっているテリパラチド酢酸塩「テリボン」でお馴染みの旭化成ファーマでした.このテリボンの開発には宮腰尚久教授も携わっており,秋田大学整形外科にとってはKey drugです.今回はそのテリパラチドから最新の知見をご講演頂きました.

教育講演では秋田労災病院佐藤千晶先生が基礎的な内容としてラットに対する運動とテリパラチドとの併用療法が骨,筋肉と脂肪に与える影響に関してご講演頂き,運動療法を加えることでより好影響を与えることを示されました.実臨床でも同様の効果を是非期待したいです.また,秋田大学大学院医学系研究科整形外科学講座からは土江博幸先生がテリパラチド製剤の継続率に関して様々な要因と検討した内容をご講演くださいました.対象とした病院も町立羽後病院という通院にやや難のある病院を選択されていたところが秀逸でした.テリパラチドの継続率に関してはいつも悩んでしまうところでありますので是非とも長く続けて頂けるように環境を整えたいですね.

そして今回の特別講演と致しましては,大分大学医学部付属病院整形外科診療准教授の宮崎正志先生より「骨粗鬆症性椎体骨折の諸問題と薬物治療の重要性」と題してご講演頂きました.毎日骨粗鬆症の治療に携わっておりますが,忘れてしまいがちな骨粗鬆症の基本的な病態,治療薬の作用機序など初歩的なところからイラストを交えて分かりやすく解説して頂きました.また,現在宮崎先生が現在ご研究されているテリパラチドの週1製剤と週2製剤を使用した場合に作られる骨梁や骨形成能の違いに関する内容はとても新鮮でした.今後の骨粗鬆症治療でもこのことを意識して薬剤選択をしていきたいと思います.研究の続報が非常に気になります.そして,最後に脊椎脊髄疾患のピットフォールと題して特に若手整形外科医向けに注意すべき疾患をご紹介頂きました.今回提示された画像は特に分かりにくい,引っかかってしまいやすいものを選択されており,自分の外来に来た時のことを考えて冷や汗をかきながら拝聴しておりました.本当に充実した約1時間のご講演でした.今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

現在骨粗鬆症治療や骨折治療,脊椎固定術後など多くの場面で使用されるテリパラチドですが,多くの知見が出てきており非常に勉強になりました.今回の内容を明日からの診療に活かしていきたいと思います.