整形外科留学だより―イタリア編2:病院にて研修開始(土江博幸)

研修初日、病院に着いたら教授室に直接来るか、分からなければ電話を頂戴、と秘書さんから連絡を受けていたので、まず受付に聞いてみるか、と考えていたのだが、入口を入っても受付らしき所が無い…。歴史的な建物で趣があるのだが、売店と奥には庭がある。仕方がないので秘書さんに電話してみる事に。「今どこにいるの?」と聞かれるも、なんて表現したらよいか分からず、「正面玄関で、売店と、奥に庭があります」と言うも、伝わってないのか、そんなんじゃわかんねえよ、といった感じなのか、ちょっと困った感じの雰囲気を漂わせ「今行くからそこで待ってて」と言われる。あとからわかったのだが、入口真正面の建物は教授室や事務的な事がメインの建物で、向かって左にあるのが病院であり、どっちの入口なのか、を聞きたかったようだ。程なく秘書さんが登場。そのまま教授室へ。色々と事務的な書類のサインなどのやりとりをしているところにprof. Donattiが登場しご挨拶をする。しかし、予定があるのかすぐにいなくなる。秘書さんからも「今日はこれでおしまい。明日Medical checkにきてね」と言われる。緊張して来たのだが、なんともあっけない初日であった…。

後日、medical checkなども終えて、ついにカンファに初参戦の日となる。毎週火曜日がカンファレンスの日で、カンファレンスは朝8時から病棟にある小さい部屋で行われ、prof.Donattiの率いる第3整形外科にはレジデント達も含めて、大体15~18人くらい所属しており(まだ把握できず)、全員骨軟部腫瘍をやっている。カンファは1週間の間に行われる患者の紹介がメインなのだが、容赦なく完全にイタリア語なため、内容の理解は難しい…。しかもスライドなどのプレゼンテーションは作成しておらず文字が無い。電子カルテ上の写真を画面に出して、みんなで討論するという、事前準備ほとんどなさそうなカンファである。なんだか一般病院と似た雰囲気を感じた。これを大体2時間弱やった後に教授回診、という流れであった。入院患者さんはほとんど3人部屋で、総回診も日本と似た雰囲気で、なんだか違和感がない。人種と外の景色が違うだけのようだ。教授回診が終わると、後は各自仕事に戻り、午後に、放射線科や化学療法の先生達との、治療方針を決定するための合同カンファがある。この日、実は自己紹介があるだろうと思い、あらかじめイタリア語でいくらか準備していて、挨拶のカンニングペーパーを前日の夜など何度も見返していたのだが、全くそんなイベントは無くすべてのカンファレンスが終わってしまった…。うーん、イタリア人はドライだ。

レジデントの先生に聞いたのだが、イタリアも日本と同じように、大学が6年あり、その後専門医の資格をとるため、5年間レジデントとして働くようである。ただ日本とは違い、すぐに専門をやるとの事。なんとなくレジデントの先生が誰かはわかってきたが、やはり欧米人なので日本人より年を取っているように見える。レジデントの先生に年齢を何度か聞かれたが、37歳というと、一瞬間が空くのはそういう事だろう。イタリア人は、髭を生やしている人が多く、若い人でのメジャーな生え方は、もみあげからあご、あと頬に無精ひげが伸びたような感じの髭が多いようだ。これは白人であるからカッコよくなるのであり、また、日本人でもイケメンならいいのだろうが、ブサメンの私には到底不可能である。遭難から帰ってきた汚らしいおじさんになってしまう。もう少し大人に見えるように、自分も良い髭の生やし方を考えてみようか、と思うのであった。

※写真説明

Fig.1: 正面玄関

Fig.2: 正面玄関の向かって左にある、病院の正面玄関

Fig.3: 正面玄関を入った建物。趣がある。

Fig.4: 中庭Fig.1 %28800x600%29 Fig.2 %28800x600%29 Fig.3 %28800x600%29 Fig.4 %28800x600%29