第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会 (工藤大輔)

第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会を2017年4月13日〜4月15日、札幌市のロイトン札幌、さっぽろ芸文館で秋田大学整形外科主幹のもと開催させていただきました。遠方にもかかわらず演題数約1500題、参加者数約2300人といずれも過去最大級の学術集会となりました。会長は当教室島田洋一教授で開会式では本大会のテーマ「サイエンスに基づく脊椎脊髄外科の進歩 The practice of spine surgery is an art, based on science」とともに教育研修講演、シンポジウム、パネルディスカッションなどについてご紹介いただきました。また秋田ならではのおもてなしの一つとして秋田銘菓かおる堂についてご紹介いただきました。

各セミナーでは、日本の第一線でご活躍されている先生方に教育的かつ最新の知見について幅広い分野からご講演いただきました。秋田からは阿部栄二先生より成人脊柱変形の治療の変遷と現在の最新知見について、宮腰尚久准教授より骨粗鬆症患者における転倒・骨折予防に対する運動療法とビタミンDの有効性について大変分かりやすくご講演いただきました。また河谷正仁教授より慢性疼痛に関するfMRIや遺伝子工学などを用いた最新のメカニズムについてご講演いただきました。

本学術集会の目玉の一つであるパネルディスカッションでは「医工連携による脊椎バイオメカニクス研究」として日本あるいは世界最先端のシミュレーション技術、バイオメカニクスについて各大学の先生方から最新の研究をご紹介いただき、活発なディスカッションとなりました。特に秋田大学からは理工学部教授巌見武裕先生、当科飯田純平先生より秋田大学独自の最新のシミュレーションモデルについてご紹介いただきました。本モデルの作成は現在もなお進行中で、近い将来本モデルを用いて臨床データをより迅速に検証、評価できるようになるものと期待されています。

会長講演では島田教授より脊柱変形診療の歴史についてご講演いただきました。30年以上も前から秋田県ではモアレ法を用いた側弯症検診が行われてきたこと、1992年当時に世界に先駆けて当教室で胸椎椎弓根スクリュー法が開発されたことなどをご講演いただきました。現在では胸椎椎弓根スクリューは側弯症手術におけるゴールドスタンダード法ですが、当時は危険な方法として世界に受け入れられなかったことなど先輩の先生方の当時の革新的な手術法の開発、それに伴う苦労が伝わってきました。

会期中は一時季節外れの吹雪にも見舞われましたが、幸い大きなトラブルもなく、日本全国のみならず教育講演として世界中から第一線でご活躍されている先生方にもご参加いただき大盛況にて閉幕となりました。ご参加くださいましたすべての先生方、関係者の皆様、企業の皆様、また2年前から本大会を支えてくださいました株式会社コングレの皆様にこの場をお借りして深謝申し上げたいと思います。また本大会が大成功しましたことを会長の島田教授に改めてお慶びお祝い申し上げます。