ドイツ留学だより(齊藤英知)

2014年7月1日から半年間、島田洋一 教授の御高配によりドイツ、Hannover市にあるSports Clinic Germanyというクリニックで、Philip Lobenhoffer教授の下で、膝関節外科のfollowとしてお邪魔になっております。このクリニックは、Lobenhoffer教授を頼ってヨーロッパ、中東アラブ諸国から絶えず紹介患者さんが訪れております。年間の手術件数は3000件ほどあり、1日に十数件の手術を手際よく終えていく様に、professionalのあり方の一つと感じずにはいられません。膝関節と肩関節の手術が主ですが、手術時間に関しては、ざっといって、TKA 30分、ACL再建 30分、Oxford UKA 30分、ARCR 30分、ABR 20分、鏡視下Latarjet 50分くらいです。Lobenhoffer教授の下にSenior doctorが3人と肩関節班にfellowが一人のスタッフでやっておりますが、驚くべきは、どの手術をだれがやっても、同じ手順でやっていることです。医学教育の実践指導のあり方として「step by step」というコンセプトは非常に参考になります。また、骨折治療の基本でありAO conseptを進化発展させてきた民族だけあって、骨折治療の基本であるsoft tissue handlingを見るにつけ、非常に参考になります。特に膝周辺はsoft tissueが薄く、外傷後のTKA症例の際には瘢痕組織でflapを作るようなテクニックには非常に驚かされます。

自分は、Lobenhoffer教授の手術で手洗いさせて頂くわけですが、最初のカルチャーショックは、こちらの手洗い方法です。我々は、流水(水道水)とイソジンスクラブなどで手洗いするのが常識なのですが、こちらでは100% アルコールを使用します。アルコールが乾燥したら、ザール衣を着せてもらうわけです。当初の3ヶ月は、システムと言葉に慣れるまで、手洗いはするものの、術野では触らせてすらもらえませんでした。英語も看護師さんには通じないので、当然ながらドイツ語の用語を覚えないといけません。器械出しのNsも手順のすべてが頭に入っており、Perfectです。(こちらではscrub nurseといって器械出し専用Nsは、専門の教育を受けています。)ちなみに、全身麻酔の時のUSガイド下の大腿神経ブロックはこちらの麻酔科では必須技術で、覚醒後、痛がっている患者さんはおりません(皆無)。

週末はできるだけ、ドイツ国内を小旅行することと、週5回はランニングすることを心がけております。こちらに来て、規則正しい生活と運動により、少し健康を取り戻した気もします。

9月に佐々木香奈先生、斉藤公男先生、佐藤千恵先生、瀬川豊人先生先生が日本の空気を運んできてくれて大変ハッピーでした。ありがとうございました。帰国後、詳細なご報告をさせていただければと思います。不在中、いろいろとご迷惑をおかけしているかとは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

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クリニック外観

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Color Run Hannoverという粉まみれになるランニング大会に参加(7月8日)

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ドイツW杯優勝(7月13日)麻酔科のDr.Pilger(右隣)の友人(左隣)宅にて

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夏休みスイス、アイガー北壁付近にて(8月10日)

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念願のマッターホルンの足元 (8月12日)

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Lobenhoffer教授を囲んで(9月16日)

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瀬川先生と白ビールと白ソーセージ(ハイデルベルグにて)