第49回日本側彎症学会及び第24回日本脊椎インストゥルメンテーション学会(本郷道生)

2015年11月5日と6日の2日間、新潟市のりゅーとぴあ・新潟市民芸術文化会館で,第49回日本側弯症学会が開催されました。学会長は、新潟脊椎外科センターセンター長の長谷川和宏先生です.また,同じ会場で11月6、7日には日本脊椎インストゥルメンテーション学会(会長 冨士 武史先生・独立行政法人地域医療機能推進機構 大阪病院)があり「Spine Week Japan Niigata 2015」として合同開催となりました.二つの学会の同時開催により,両方参加の場合は参加料の割引されたり,似たようなテーマのセッションが重複しないようさまざまな工夫がなされていました.

今回の日本側彎症学会では,いくつかの新しい発表形式が試みられており,スライドは全て英語での発表となり,またステージに左右二つの演者台を置き交互に発表し,討論は一括とすることで時間を短縮し,より多くの演題発表ができる工夫がされていました.これにより例年のように活発な討論が行われつつ,かつスムーズな進行がなされていました.

学会のテーマは「健全な脊柱バランス:Natural Spinal Balance」です.このテーマに沿い,脊柱バランス,成人脊柱変形,進行機序,学校検診などの主題を含む合計194演題の発表がありました.秋田からは,これらの主題に沿って,県立医療療育センターの三澤晶子先生は側弯の進行機序と潜在性二分脊椎に関する口演発表,木下隼人先生は心機能障害を伴う重度脊柱変形の手術例の2例報告のポスター発表,佐々木研先生が脊柱後弯変形のmotion analysisのポスター発表,私からは脊柱アライメントに関する口演発表の4演題を発表しました.

他の発表は,メインテーマテーマに沿った特に成人脊柱変形の診断学,手術成績などに関する演題が多く見られました.これに関連して,フランスからこの分野の第一人者であり,CDシステムという脊椎インストゥルメンテーションの開発者であるDr. Duboussetによる脊柱変形治療の原理・原則に関する講演を拝聴しました.また,トピックスとしては,全身の2方向同時の撮影が低被爆で可能なEOSという装置のフランスからの専門家による講演がありました.日本まだ4台しか導入されていないものですが,このEOSを用いた研究の演題も増えており,今後普及が進むことが期待されます.側弯症学校検診のセッションでは,平成28年度から新しい運動器検診が始まるにあたり,側弯症検診のありかた,整形外科医の関わり方に関して,賛否両論の様々な意見交換がありました.

一方日本脊椎インストゥルメンテーション学会では「脊椎インストゥルメンテーションの光と影」をテーマとして新しい手術手技の成績とともに合併症の発表が多数報告されました.特別講演の新潟脊椎外科センターの本間隆男先生からは「頸椎頚髄外傷の診断学の劣化について-訴訟例からの考察-」と題して様々な難しい事例を提示してくださり,基本的な診察,診断手技の重要さを再認識しました.

昼間の学会終了後には,仙台の西多賀病院,千葉の船橋整形,千葉大の若手の先生方と新潟の繁華街である古町にてご一緒させていただき,夜更けまで交流を深めることができました.

以上のように,新潟にて研究成果を発表し,最新知見を得,様々な交流を深めることができて有意義な学会でした.留守中に業務を代行していただいた宮腰尚久准教授はじめ脊椎班の先生方,医局の方々に感謝申し上げます.