第30回創外固定・骨延長学会学術集会 (湯浅悠介)

 

3月3、4日福岡県久留米市にて第30回創外固定・骨延長学会学術集会が開催されました。秋田からは島田洋一教授、野坂光司先生を始め、医師9名、看護師5名の計14名が参加いたしました。本学会の総演題数123演題のうち、秋田からは14演題の発表があり、秋田における創外固定の勢いを改めて実感いたしました。

学会は久留米大学医学部整形外科学教室白濵正博教授の挨拶から始まりました。シンポジウムでは全国トップランナーの先生方から「急性期外傷に対する創外固定」、「合併症に対する治療」、「脆弱性骨折に対する創外固定」のテーマでの講演があり、当教室の野坂先生からも“脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定のコツ”と題して発表がありました。高齢化率全国1位の秋田県における高齢者を絶対に寝たきりにさせないため、早期全荷重を可能とするIlizarov創外固定手術の有用性を再認識することができました。一般演題では、市立秋田総合病院の柏倉剛先生、市立横手病院の冨岡立先生、平鹿総合病院の千田秀一先生、市立角館総合病院の青沼宏先生、そして秋田大学から益谷法光先生、長幡樹先生、湯浅悠介の7名が発表致しました。下腿外傷はもちろん、足部外傷、上肢外傷、Ilizarov周辺骨折、関節リウマチなど様々な用途で創外固定が使われており、秋田の技術の高さを感じました。また、コメディカルセッションでは岩原香織さんから“創外固定のケアの向上、後方支援施設との連携を目指して創外固定ケアセミナー「秋田県で広げよう創外固定輪・和」開催報告”、仲山晴香さんから“イリザロフ創外固定患者が退院後に抱える生活上の問題点と退院支援への課題”と題して発表がありました。Ilizarov創外固定手術患者における入院日数の長期化は全国的にも問題とされておりますが、秋田県は大学病院を中心として医師のみでなく、看護スタッフも指揮をとり、様々な工夫のもと期間短縮がなされていることを学びました。また、退院がゴールではなく退院後生活に対するケアも行っており、改めてIlizarov創外固定手術はコメディカルスタッフの支えがあって成り立っていることを感じました。

そして島田洋一教授からは『創外固定の未来~高齢者脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定の有用性~』と題してご講演いただきました。島田教授がIlizrovを導入した経緯や全県各地へ広めるための努力、そして高齢者の多い秋田県におけるIlizarovの有用性など、様々なことを学ばせていただきました。教授のIlizarovに対する愛により、「秋田はIlizrov王国」と呼ばれるまで成長するに至ったのだと感じました。教授の卓越した話術により時には会場から笑い声が上がるほどの盛り上がりをみせました。

今後はIlizrovとMicroの融合をテーマに秋田は進んでいきます。僭越ながらその一助になれるように私自身、日々精進していきたいと思います。